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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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118/126

118 クロザル 

ランチはナシゴレン、サテ、ソトアヤム。


ナシゴレンはスパイシーで甘辛く、複雑な旨味があって、とろっとした目玉焼きの黄身を崩して、パラパラのライスと一緒に食べると、味と食感の変化が楽しくも美味しい。


サテは濃厚でクリーミーなピーナッツソースが決め手の香ばしい串焼きで、ソトアヤムは鶏の旨味が凝縮されていて驚くほど濃厚なのに、レモングラスやライムの酸味で後味はすっきり爽やかなスープ。


挿絵(By みてみん)


移動開始してお茶休憩を挟み、暗くなる前にハウスで野営。


次の日もゆっくりと移動して街道まであと30分くらい、というところで、キィキィと猿とゴリラの間くらいの大きさのヒヒのような黒い猿達が木と木を飛びながら現れた。


迎え撃つ態勢をとったけれどアイクが止めた。


「待て!敵意はない。これは弱い品種で絶滅が危ぶまれ、確か前回来た時には既に保護が通達されていた猿だ。何かから逃げてきたようだし」


パールがボスっぽい猿と何か話していると、猿達が来た方向から人の声が聞こえた。


女冒険者1「逃げ足が速いわね。これ以上奥に行くのは止めたほうがいいんじゃない?」


女冒険者2「でもせっかく見つけたのに」


女冒険者3「そうよ、こんな浅い場所で見つけたなんてチャンスよ」


女冒険者4「でもギルドには出せないから他国の闇ギルドまで保管しておかないと駄目よね?インベントリはもう容量あまり空いてないわよ?」


女冒険者3「高く売れるんだから他のを捨ててもいいじゃない」


なんと、あの迷惑女冒険者達だった。


勿論、保護対象でも攻撃されたなら反撃するのは罪には問われないが買取はしてもらえないし、密猟と分かっていて追いかけてまでなんて、かなり悪質だ。


すぐさま結界を広げて猿たちを保護して奥へ移動しようとしたけれど、見つかってしまった。


女冒険者1「ちょっと!私達が先に目をつけた獲物よ」


女冒険者2「あっ!あなたたち!探してたのよ。最下層を攻略したって聞いて乗合馬車に乗るのやめて探してもどこにもいなくて、熱帯雨林の方へ行ったのを見たって聞いたから探してたのよ。臨時じゃなくて正式にパーティーに入れてよ」


アイク「は?断る」


女冒険者3「私達が入ればどんな難度の高いダンジョンも攻略可能になるのよ?私達【魅惑の媚薬ブラックローズ】のアドバイスを聞けば上手くいくって有名よ?」


アビー「強くもない奴を入れても足手まといだし、強くてもお前たちはお断りだ」


女冒険者4「その女だって激弱でしょ!それに1人だけじゃ性欲発散できないでしょ?色気的にも私達の方が魅力的だし。それに強さが欲しいなら他にも男数人入れればいいじゃない」


伴侶を愛する行為を性欲発散と言い、男をミツキにあてがうと言った、あのセーフティーエリアでの事を思い出した双子が殺気全開で女達を睨みつけると、氷魔法の冷気が女達の方まで届き空気が冷えていく。


「「「「ひっ!!」」」」


パールとコハクが吠えながら女冒険者に迫っていくと、叫びながら逃げていく女たち。


「ほら、今のうちに奥に逃げて。街道近くへは行っちゃだめよ?」


黒い猿はお礼のように頭を下げて顔を上げると笑顔になった。


「ふふふ。そんな笑顔になるのね、かわいい」


挿絵(By みてみん)


しばらくするとパールとコハクが戻ってきた。

けっこうな距離を追いかけたようなので、私達は街道には出ないように湯治場の方面へ向かう。


アイク「もうあの女達には会わないように移動に集中して休憩は最低限にしよう」


「密猟までするなんて凄い人達だったね、ギルドに行った時に一応報告した方がいいかな。み、み、魅惑の媚薬ブラックローズ?のこと」


自分のパーティー名ではないのに、口に出して言うだけで少し恥ずかしい。


アイク「ああ、決定的な証拠がないとギルドも何も出来ないと思うが要注意パーティーとしてチェックさせておいたほうがいい」


アビー「あの感じだと密猟以外でも既に対人間で問題が挙がってそうだがな」



少し急いで進み、1時間くらいで湯治場区域に到着。


湯治は管理された場所のほうが便利だけれど、自然の中にも何箇所かあるようなのでアイスとウインドに乗り奥へ入っていく。


暗くなってきたのでハウスで野営して翌朝に良さそうな湯治場探し。

天然のは全身で入るような大きさはなかなか無いのと濃度が濃いので足湯だけでいいかな。


薄めてコテージとかで使うことにして小さな樽に入れてインベントリへ。


足先だけでも気持ちいい。


アイク「気持ちいいな」


アビー「足だけでも温まってミツキの肌がほのかに赤くなってるぞ」


管理されている湯治場の方へ戻り、温泉卵の販売所があったので、食べ比べてみると濃度が違うと、味も微妙に違って面白い。


ダイの港町チェンマーイの方向へ移動して、30分くらいで到着。


港周辺を通り過ぎ、少し奥まで行き森に入る手前の草原にコテージを出し、ご飯を食べて少しお酒を飲み、たっぷり愛され眠りについた。




☆☆☆☆☆☆☆



『クロザル』


インドネシア、スラウェシ島北東部にのみ生息する希少な霊長類。


全身が真っ黒で、頭のてっぺんにある逆立ったモヒカン状の毛、突き出した鼻筋と、表情豊かな顔つきをしている。


尻尾が約2cmと非常に短く、尻がピンク色。


果実が大好物で、非常に平和的、群れ(20~50頭)の中での争いはほとんどない。


2011年、カメラマンの機材を使って撮影した自撮り写真が世界中で話題になり、この写真は著作権を巡る訴訟にまで発展した。


森林伐採による生息地の減少や、食用としての密猟により、野生の個体数は激減していて現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に指定されている。



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