109 中層階ボス、毒カエル
扉を開けると広い洞窟のような空間に岩場が所々あった。
少し遠い岩場に現れたのは赤、黄色、青、鮮やかな色がまだらに混ざった毒ガエルらしい色のすごく大きなカエル。
「パールとコハクは引き付けてる間、距離をなるべく取ってね」
ヨシヨシして送り出す。
パールとコハクがカエルに目につくように唸りながら岩場に走り込む。
カエルも反応してジャンプしながら近くに行って毒ツバを飛ばしてくるが2匹がすばやく動くので全く当たらず翻弄されているカエル。
2匹は素早く避ける、ツバを飛ばす、避ける、と数回繰り返すと怒ったのか、近くにいたコハクだけにロックオン。
毒ツバではなく直接身体を舌で絡め取ろうとする動きに集中しようと思ったようだ。
低いジャンプをしながら凄いスピードで近づくけれど、コハクの方が素早く動くので追いつかない。
コハクに夢中になっている隙にパールが待ち伏せのように構えていて、すれ違うように走り出しギョロッと出ている目を攻撃した。
ゴロン!と転がり痛みに耐えているような動きになり、片目のまぶたを閉じた状態になったがジャンプは出来るようでパールを追いかけ出す。
散り散りに動いていた2匹が私達側に近寄り高い岩場に寄り添って動きを止めると、カエルもピタリと止まったけれど、雷を落とせる高さがないので火魔法でカエルを囲んだ。
炎だけではなく熱風も当てる感じでグルリと囲む。
遠くにいる私たちにも熱さが伝わるくらいの熱に囲まれたカエルはグエェ⋯⋯と鳴きながら突っ伏すような態勢になった。
火魔法を止めると、遠くから双子が魔法攻撃を始める。
風はあまり効かないのと氷は塊だと分厚い皮膚に阻まれて跳ね返されてしまうので、皮膚を薄くスライスするような攻撃をする。
皮膚に傷がつき、茶色の血液が滲み出した体をガバっと起き上がらせ、口を上に向けて毒を霧吹きのように出した。
アイクが風魔法で誰もいない方へ毒を流し、喉がむき出しになったので下顎を狙撃スキルのあるアビーが氷の矢で刺すと痛みなのか舌が上に向けて長く出てきたのでアイクが氷の刃で舌を切り落とした。
身体をひっくり返しビクビクと弱く動くカエルにアイクが身体強化で近寄り氷をまとわせた大剣で斬りつけるが、体が大きく心臓までまだ届かないのでアビーもかけつけ強靭な足の付け根を切り落とそうとする。
パールとコハクはカエルの手にそれぞれ爪をめり込ませ動かないように押さえている。
毒はさっきの大量の霧吹きで出尽くしたみたいだけれど、みんなに毒が飛ばないように風魔法で風を送る私。
少しすると心臓に届いたのか絶命した様子になったので、私も恐る恐る近寄りインベントリへ収納。
アビー「パールとコハクが狙いやすい位置に誘導してくれてうまくいったな」
アイク「ああ、かなり早く討伐できた」
うちの子達はお利口さん、とヨシヨシする。
アビー「火の影響であんなに動きが鈍くなるんだな」
アイク「ああ、前回はあのデカい体で早い動きだったよな。よし、移動するか」
ドアと宝箱が現れ、宝箱を開けると私の顔より大きな葉が1枚入っていた。
確か2人が欲しいと言っていた世界樹の葉。
アイク「これは食べたり煎じて飲むと、老いるスピードを20年程遅くできるようだ」
アビー「俺達が前回手にした頃は若くて舐められる事もあったから年取るのが遅くなるのは望んでなかったし、長生きにも拘りがなかったからまだ使っていないが、今の年代が長く保てるならいいタイミングだよな。パールはフェンリルだから長寿だが、アイス、ウインド、コハクにも長生きしてほしいから、みんなで使いたいが1枚で20年分だから、もう1枚欲しかった。前回のと合わせて使おう」
アイク「まさか長生きを望む時がくるなんて思ってもなかったし、死んでも神界で共にいられるが、人間としての夫婦生活も長く楽しみたいのと、アイスやウインド、コハクとも長く過ごしたいからな」
アビー「でも、この葉はものすごく苦いと聞いた」
ものすごい苦いと聞こえたコハクが嫌そうに鼻にシワを寄せる。
「ふふふ。なるべく苦味が分からなくなるように料理するね」
これもコピーできなかった。
やはりダンジョン宝箱から出たものは出来ないのかも。
世界樹の実は100年寿命を延ばすと言われているけれど、実際に手にしたという話は聞かないから実際に存在するのかは謎みたい。
そして、この苦味は料理方法でどうにかなるものではなかったようで、苦味で病気になりそうなくらい苦く、数分動けなくなった私、殺し屋のような目つきになった双子(ミツキ以外にはわりと良くする目つき)、ゴロゴロとのたうち回り苦しむコハク、立ったまま数分気絶したアイスとウインド。
それを見ていた葉が必要ないパールは、フェンリルで良かったと心底思う事になるのは少し未来の話。




