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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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105/128

105 美しい庭 

本殿への通行口にいた係員に、ケンさんに渡されていた名刺サイズのプレートのようなものを見せると二度見された。


一般には入れないエリアに入る事が出来る貴重な証を頂いていたのだ。


一歩、本殿エリアに入ると空気が変わったのが分かった。

一般エリアと同じような美しい庭だけれど、清らかな空気感のレベルが違うというか、言葉では表現できない。


「空気が全然違うのね」


アイク「そうか?」


アビー「俺達にはよくわからないが、もしかしたらルーツの妖精が関係あるのかもな」


本殿エリアにはメルと呼ばれる多重塔が10基あり、3層~11層と高さが違う。


最高位の11層のメルの前で水の精霊に祈りを捧げる。


パシャパシャっと水音が聞こえて振り向くと水面が波立っていた。


「魚?」


近づいて見てみても透明度のある池なのに魚はそこにいなかった。


アビー「精霊か?」


「精霊って存在するの?キャ!」


パシャン!と水が跳ねて私を少し濡らした。


アイク「大丈夫か?」


「ふふふ。いたずらな精霊さんは存在するみたいね。精霊さんの存在を疑ってごめんね?これからもこの地をお守りください」


水面が小さく波打ち、パシャンと少し跳ねて静かになった。


挿絵(By みてみん)


翌日ダンジョン入り口へ向かい、小屋にいる受付に冒険者カードを出すと高ランクだったからなのか、二度見された。


軽く結界を張り、狭い洞窟の入り口を入っていくと坂道になっていて角度がけっこうある。

進むにつれて外よりも涼しくなって心地よい。


しばらく進むと道が3本に分かれる。

どの道へ行っても低層階のボス部屋の前で合流するが、距離、魔物、魔獣の種類、多さに違いがあるようだ。


3倍距離が長くなるけれど大勢の冒険者は難易度の低い道を選ぶみたい。

私達は一番難易度の高い道を進む。


湿った洞窟内を進むと地下へのドアがあり、入ると道幅が急に広くなった。


中から擦るような音がするのでそっと見ると、ダンゴムシのようだが足が長く無数にあり、ゆっくりと歩き回っている。


小型犬くらいの大きさで紫色をしていて気持ち悪い。

私は結界に入って遠くから魔法で攻撃する事にした。


2人と2匹は走って行くと、動きが遅かった虫達が私達に気づき丸まって高速で転がって向かってくる。


それを魔法や大剣、爪でどんどん倒していくアイクたち。


私も何匹か氷の刃を当てて倒し、時間的には少ししか経っていないのに全滅できたようだ。


魔物も人間も死体になると30分くらいすればダンジョンに吸収されてしまうから、魔石が小さそうなのや素材が売れるものでなければ放置する。


虫系の素材はあまり扱いたくないけれど、わりと使い道があるからギルドで買い取りに出すと喜ばれるというのでインベントリへ。


先へ進みスロープのような下り道を下がっていくと、サッカーボールくらいの大きさで半透明の塊がカタツムリのような速度で地面を動いていた。


「わぁ!スライムいるの!?」


異世界の魔物といえばスライムのイメージだったのに全く見た事無かったから少し感激。


アビー「何で嬉しそうなんだ?見た目的にミツキは嫌いそうな魔物だと思ったが」


「魔物といえばスライムだったけど今日まで見た事無かったから」


アイク「スライムはダンジョンにしかいないからな」


「物理攻撃?魔法攻撃?」


アビー「どっちでも中心にある核を破壊出来れば死ぬが物理攻撃の方が早いな。でもしぶといから面倒くさくて放置する奴が殆どだ。買取も300Gとかだから成人したての新人冒険者が攻撃の練習がてら倒すような魔物だな。生きたままだと3倍くらい高く売れるがインベントリには入れられないから荷物になる。でも確か化粧品に使われる素材の1つだったぞ」


火魔法を当ててみると中心地まで届かないので氷魔法を試しても、スライム素材のせいで軌道が変わり核に当たらない。


短剣を出して突き刺してみてもぐにっと歪み、核に当てられないので、すぐには倒せないし、反撃してきたり、こちらを襲ってくる感じではないから放置する人が多い事に納得。


雫型でもないし、ポヨンポヨン、ぷよぷよ、という感じの可愛い動きもしないから私的にも放置なのだけれど、化粧品に使われている素材なら少し持っておきたい。


アイクが私から短剣を受け取り、一発で核を突き刺して倒してくれた。


「ありがとう。角度とスピードが決め手なのね」


ツンツンしてみるとネチョッとした感触だった。


軽いランチを済ませて時折魔物などを倒しながら進み、夕方近くの時間になったのと少し広いスペースに出たので、ここで野営する事にした。


セーフティゾーンではないから結界の魔道具があっても交代で見張りをするのがセオリーだけれど、私達の持つ結界の魔道具なら低層階レベルは大丈夫なのと、パールがテント入口付近で仮眠しながら注意しておいてくれるというので私達はゆっくりと休ませて貰うことにした。



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