15 帰還
レガリア王宮の正門前ーーミレイアとレオンは、転移をした瞬間、帝国に比べて冷え込んだ空気に、思わず身を震わせた。
連絡を受けて待っていたのは、近衛騎士が数名と、第二王子アルヴィンだった。
「おかえりなさい、……兄上、ミレイアさん」
「アルヴィン……ただいま。えっと……」
これまで一度も、まともな会話を交わしたことのなかった兄弟の間には、気まずい沈黙が流れる。
そんな2人の空気を変えるように、ミレイアが明るく話しかける。
「アルヴィン殿下、今日はお迎えありがとう! ……レオンはね、あなたとたっくさん、話したいんだって!」
アルヴィンが、一瞬目を見開いて、照れたように小さく頷く。
ミレイアが言葉を続ける。
「アルヴィン殿下は? レオンと何がしたい?」
「僕は……、一緒に遊びたいな」
「うんうん、他には?」
「一緒に食事をしたい。勉強も見てほしい。訓練の相手もしてほしい。それに……家族で旅行もしたい。それから……兄上に、今まで聞けなかったことを聞きたい……」
「いいね! これからは、たくさんできるよ。ねえ、レオン」
「ああ、そうだな。俺たちは兄弟なんだから。遠慮なんてしなくていい。アルヴィンが、俺に聞きたかったことって何だ?」
「あのね……兄上は……」
アルヴィンは一度言葉を切り、ぎゅっと拳を握った。
「……僕と母上のことが、嫌い?」
「……嫌いじゃないよ。仲良くなりたいと、ずっと思ってた」
レオンは、アルヴィンに近づくと、軽々と抱き上げて呟いた。
「意外と重いな……」
「あ、当たり前だよ。僕はもう11歳なんだから。……恥ずかしいよ、兄上」
「恥ずかしがっててくれ。俺は、ずっとこうしたかったんだ。……このまま、母上と父上に会いに行こう」
アルヴィンは、落ちないように、しっかりとしがみいて、レオンの肩に顔を埋めた。
ミレイアは、ほっと息をつき、2人に温かい視線を送りながら、少し後ろを歩き始める。




