表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/405

8 強い衝撃

カミリアが、今もなお受け続けている父親からの暴力と支配。

最愛のレオンを奪われた後、味方してくれた義母の不審な死。

ゼファルが企てた、シオンとアリアの暗殺。

そして――ゼファルの強姦によって生まれた、アゼルの存在。


すべてを語り終えた後、ミレイアは、頭を抱えるレオンをそっと抱き寄せた。


「レオン……。あなたがショックを受けることは、最初からわかってた。なのに……わたし、かける言葉も見つけられない……」


レオンは、温かいミレイアの胸に顔を埋め、静かに呼吸を整える。

しばらくして、ゆっくりと顔を上げた彼の瞳は、しっかりと前を見据えていた。


「ミレイア。俺は……ずっと、あの人に騙されていたんだな。父母が俺を嫌っているという話も、先代陛下が傲慢で残虐な国王だったという話も、ミレイアとの関係を応援しているという言葉も……全部、嘘だった。

それなのに俺は、最も信頼できる大人だと、疑いもしなかった……」


一度言葉を切り、レオンは低く息を吐く。


「……母上が受けていた虐待も、アゼルの出生の秘密も、少し前の俺なら、信じられなかったと思う」


「今は……信じられる?」


「ああ。ミレイアの話なら、信じられるよ。

それに……認めたくなかっただけで、本当は気づいていたのかもしれない。

あの人の笑顔の裏に、仄暗い精神魔法が潜んでいることに……」


レオンは、まっすぐにミレイアを見つめる。


「なあ、ミレイア。あの人は……聖女の日記に出てきた、バッカルの生まれ変わりなんだろう?」


「……うん。ミレットが命をかけて倒したバッカルの生まれ変わり。

アゼリオを殺したカルファルの生まれ変わり。

そして、レオナルを暗殺したカラハルの生まれ変わり……。

わたしは、そう考えてる」


ミレイアは、静かに続けた。


「彼は今世も、すべての記憶を持ったまま生まれてきている。この輪廻を断ち切らなければ、また同じ不幸が繰り返されるわ。

……倒すことでは、何も解決しないの」


「ミレイアには、何か考えが?」


「……精神魔法を使えないよう、封じ込めたい。

そして、残りの人生をかけて、今まで犯した罪を償ってほしいと思ってる。

ただ……具体的な方法は、まだ見えていないの」


少し視線を伏せてから、ミレイアは言った。


「本当は、アルヴィン殿下とパミルの婚約披露パーティーまでに、何とかできればいいんだけど……」


「……待って。もしかして」


レオンが、大きなベッドの上で、隣に座るミレイアの腰を掴む。


「ミレイアは、パーティーに行くつもりでいるのか?」


「ええ。イグニッツ侯爵たち、不正に関わった第二王子派の貴族を、パーティーの最中に一斉に検挙する予定だもの。

……あれ? 言ってなかったっけ?」


「……告発の準備を進めていることは聞いている。

だが……ミレイアが、自ら断罪の場に立つつもりだとは知らなかった」


レオンは、苦笑まじりに視線を逸らす。


「正直に言えば……俺は、ミレイアをできるだけ他の男の目に晒したくなくて、誘っていなかったんだ。

ノクシア侯爵と行くつもりか?

……もし行くなら、俺のパートナーとして参加してほしい」


ミレイアは、レオンの顔を覗き込み、わずかに眉をひそめた。


「あのね……言いにくいんだけど。この日は……」


「……何?」


ほんの一拍の沈黙のあと、ミレイアは告げた。


「……別れてほしいの……」


「……は?」


「わたしは、ベルトランの婚約者として、パーティーに参加するわ」


レオンは、今日聞いたどの重い真実よりも、強い衝撃を受けた表情を浮かべた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ