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明日の約束

明日の朝、再び王宮に行くことを約束し、アゼルは転移の光に消えた。


アルスとの通信も切れ、ノエルは、ミレイアの就寝準備をそそくさと終えた後、すぐに部屋を出て行った。


ミレイアは、いつの間にかベッドで眠っている3匹の聖獣たちを横目に、西の森から持ってきた聖女の日記をパラパラとめくりながら呟いた。


「まだ、何かが足りないよね……」


その時。ドレッサーの上にある携帯通信機が、音を出して震えた。


「あ、レオンからだ」

手をかざすと、小さなレオンの虚像が浮かび上がった。


『ミレイア。まだ起きてた?』


「うん。レオン、交渉はうまくいった?」


『まあ……大体はね。皇太子のヨウィエルは、思ってたより気さくな男だったよ。しかし、ちょっと気に食わない条件をつけられてしまってさ……、どうすればいいか悩んでる』


「それって国家機密?わたしが聞いても大丈夫?」


『はあ……。もう正直に言うよ。彼は、夢幻の女神に会うことを希望している。会えなければ、俺を王国には帰さないそうだ』


「夢幻の女神……ん?わたし!?」


『彼は、以前、救出活動中の薄紫に光る君を目撃して……興味を持ったらしい。ちなみに、帝国にも、ルーエ商会が作ったグッズが出回っているんだが……、流石に苦情を言ってやめさせた方がいいんじゃないか?俺のミレイアが切り売りされているみたいで気分が良くない』


「あー。リュシアンさんには一応、忠告はしたんだけど、グッズはパミルも喜んでたし……コソコソ売らない約束で許可を出したの。……そんなことより!わたしがいなければ交渉が進まないのなら、帝国にいくよ。何を悩むことがあるの?」


『だって……。これ以上、ミレイアを他の男に会わせたくない。……ライバルを、増やしたくないんだ』


小さな虚像のレオンが、拗ねたように口を尖らせる。


「もう。レオン……心配しすぎだよ。交渉の条件なんでしょ?わたしは、行くわ!明日の午後はどう?」


『はあ……。君に話した時点でこうなることはわかっていたけどね。じゃあ明日……待ってる。今日はもう遅いから、ちゃんと休むんだよ』


「うん。レオンおやすみ……愛してるよ」


『……今すぐ触れられないのがもどかしいよ。俺も愛してる……おやすみ、ミレイア」


 通信が切れると、ミレイアは、モフィたちを起こさないように静かにベッドに横になった。


「あ……、今日の手紙だわ」

天井から光を放ちながら落ちてきた緑色の封筒を、ミレイアは、慣れた手つきで掴み取り開封した。


【ミレイアへ】

今日知ったことを忘れないで

明日は嘘はつかないで


「明日は……、王宮で王妃様やアルヴィン殿下の治療をして……、帝国で皇太子殿下に会って、レオンを連れて帰るの……嘘はつかないわ……」


ぶつぶつ呟くミレイアの手から、光の粒になった手紙が舞い上がっていった。

それと同時に、不思議な眠気が押し寄せ、ミレイアは眠りについた。


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