表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/386

過去を視る

夕食を終えたあと、ミレイアはノエルと共に自室に戻った。


窓の外には、夜の街の灯りが連なっている。

ミレイアは、そっとカーテンを閉めた。


中央のテーブルの上に、円盤型の魔道具が置かれている。


「……それが、例の魔道具ですか?」


ノエルが、視線を落として尋ねる。


「そうよ。聖女が視えたものを、そのまま映像として映し出してくれる魔道具。

……実際に使うのは初めてだけどね」


ノエルは小さくため息をついた。


「……私が寝ている僅かな時間に、こんなにすごいものを、さらりと準備しているなんて……言葉もありません」


「まあ、ほとんどはエリサさんが作ったものだけどね」


「さすがエリサさん。間違いなくシオンさんのお姉さんですね……」


肩をすくめたノエルと、微笑みを浮かべたミレイアが、ソファに座ろうとした時ーー

突然、2人の間に淡い光が弾けた。


「ミレイア、お待たせ。また会えて嬉しいよ」

現れたばかりのアゼルが、当たり前のようにミレイアを抱きしめる。


「アゼル!来てくれてありがとう」

ミレイアは嬉しそうに笑い、自然に抱きしめ返した。


「まったく、揃いも揃って……」

ノエルが軽く咳払いをして、2人に向き合う。

「アゼルさん!連絡せずに急に現れるのはやめてください。それから、お嬢様に軽々しく触れるのもやめてもらえます?お嬢様も、普通に受け入れすぎです!」


ノエルの怒り顔を見て、慌てて離れた2人は、互いに苦笑した。


3人は、それぞれソファに腰掛けた。ミレイアの隣りに座ろうとしたアゼルは、ノエルの無言の圧力に負けて向かい側に。ノエルはミレイアの隣りに並んだ。


「アルス叔父さまに通信をつなぐわ」


ミレイアは通信魔道具を操作した。

空間に小さなアルスの虚像が映し出される。


『ノエル、聖女の力を使えるようになったんだって?』


「ええ、そうなの。兄さんに役立つような情報が視えるかはわからないけれど……」


『……無理はしなくていいからな。体に負担を感じたらすぐにやめてくれ』


「わかったわ」


頷くノエルの隣りで、ミレイアが可視化魔道具を起動させて、空間に大きな光幕を作り出している。

アゼルはその様子を息を呑んで眺めていた。


「アルスおじさま、今からこの光幕にノエルが聖女の力で視たものが、映像として映し出されます。そちらから、ちゃんと見えていますか?」


『ああ。しっかり見えているよ』


「ノエル、準備はいい?」


「はい、お嬢様」


ノエルは深呼吸をした後、魔道具に手をかざした。

集中して、王妃カミリアの過去を想像する。


しばらくして、淡い光が揺れーー断片的な映像が映し出された。


ーー


暗い部屋。幼い少女が何度も鞭で打たれている。


「痛い!痛いよ……やめて……」


悲痛な泣き声と共に聞こえてきたのは、男の怒号。


「魔力が全くないくせに、精神魔法が効かない体質だけを持っているなんて……どこまでがっかりさせれば気が済むんだ……欠陥品が!」


再び鳴り響く鞭の音。

絞り出される少女……カミリアの声。


「痛いよお……どうして……?なんでこんなことするの?

……お父様!」


映し出されたのは、彼女の父親。若かりし頃のゼファル・グラウベン公爵だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ