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聖女の能力

「ねえ、ノエル。聖女の特殊能力って、どうすれば覚醒するのかな?」


「……私は知りませんよ。お嬢様は覚醒した時、どんな感じだったんですか?」


「え、わたし? 覚醒した記憶なんてないわよ。……そもそも、わたしの聖女の能力って何?」


「……確かに。お嬢様は何でも出来すぎていて、どれが“聖女の能力”なのか分かりませんよね。転移魔法かもしれませんし、瀕死の病すら一瞬で完治させちゃう治癒魔法かもしれない……。次々に妙な魔道具を作る創造能力の線もありますし……いや、むしろ“他人をたらし込む能力”の可能性も」


「何それ……」


からかうノエルに、ミレイアは苦笑する。


「まあ、お嬢様の魔力や頭脳が規格外なのは、シオンさんの血筋の影響も強そうですけどね」


「うーん……。やっぱり、わたしには聖女の特殊能力なんてないんじゃない? 聖女の血を引いてるからって、誰にでもあるわけじゃないみたいだし。というか、そもそも“聖女”って何なのか、わたし意外と知らないのよね。大おばあさまに聞いてみようかな」


「奇遇ですね。私も今まさにそう考えていたところです。西の森に行った日に、『聞きたいことができたらいつでも連絡しておいで』と言われてたので」


そう言うとノエルは、ミレイアの部屋に備え付けられた通信魔道具に手をかざす。


「西の森のおばあさまに繋いで」


頭で思い描くだけで通信が繋がる仕組みだが、ノエルはいつも声に出す癖がある。


淡い光の中に、ゆっくりとユキアの姿が浮かび上がった。


『やあ、ノエル。連絡が来るのを待っていたよ』


「おばあさま、まさか、また遠隔透視で覗いてたんじゃ——」


『いやいや。今回は覗いてないよ』


ユキアが首を横に振ったその傍らから、イリウスがひょこっと顔を出す。


『ついさっきアルスから通信があってな。ノエルが近いうちに連絡してくるって聞いたんじゃ。元気にしておったか?』


「おじいさまこそ元気なの? わたしは大丈夫だけど……」


『ああ、ミレイアからもらった魔力入りの魔石のおかげで、森の外にも出られるようになってな。絶好調じゃよ』


イリウスの声を聞いたミレイアは、通信魔道具の前へ歩み寄る。


「大おじいさまも大おばあさまも、お元気そうで安心しました」


『ノエルさん、ミレイアさん。私も元気ですからね』

マーサも近くに寄ってきて、にこやかに手を振っている。


「マーサさん!今度また、アゼルと一緒に会いに行きますね」


『ありがとうございます、ミレイアさん』


挨拶がひと段落したところで、ノエルが改まった声を出した。


「おばあさま……私、聖女の特殊能力を“覚醒させる方法”を知りたいんです」


ユキアは頷いて背筋を伸ばした。


『分かっているよ。ノエルがその話を切り出すのを、ずっと待っていたからね』


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