132 応接室にて
ハンスをベッドまで運んで応接室に戻ると、アルスとララベルがソファに腰掛けて待っていた。
先に戻っていたパミルも、すでに席に着いている。
テーブルには温かい紅茶と香ばしい焼き菓子が並んでいた。
「パミルから聞いたわ。またたくさん不思議なおもちゃをくれたって。ハンスは遊び疲れてミレイアさんの腕の中で寝ちゃったんでしょ? 本当にありがとうね」
ララベルが柔らかく微笑む。
「なんだか、ごめんなさい。また勝手に変なおもちゃをあげちゃって……。新しい魔道具ができると、つい誰かにあげたくなっちゃうんです。ノエルにも商会のみんなにも、いつも叱られてるんだけど……」
「まあ、どうして?」
ララベルが眉をしかめたので、ミレイアは慌てて言葉を継いだ。
「あ! 危険がないことはちゃんと確認済みですよ。わたしの作る魔道具は一応商売道具なので……発売前に知られるのはよくないし、みんなにただで配ったら儲けが出ないだろって言われてて。でも、喜ぶ顔が見られた方が嬉しいから……わたし、商売は向いていないんです」
「そうだったの。確かにあなたの作る魔道具は高価で売られているものね。たくさんもらっちゃって申し訳ないわ……」
「そんな! わたしがあげたくてあげてるだけです。だいたい、わたしの手作りの魔道具はそんなに高価なものじゃないですよ。売る金額は、いつも商会におまかせしているので……」
アルスが口を挟んだ。
「ミレイアの作る魔道具には、高い価値があると思うよ。むしろ、平民でも頑張れば買えるくらいの価格設定は良心的すぎると思うけどね。他国に出張した時、同じものが十倍の価格で売られているのを見たよ」
「え、そんなに……?」
ミレイアは目を見開いた。
「手作りのプレゼントは控えめにするのがいいかもしれないね」
アルスは言いながら、ほんの少し表情を曇らせた。
「ちなみに……君が前にくれた瞬間記録機だけどね……役に立ったよ。今日、君を呼び出したのはこの話をするためなんだ」
空気がわずかに変わる。
「それって、わたしが聞いても大丈夫な話?」
パミルが問いかける。
アルスは一拍だけ迷い、静かにうなずいた。
「そうだね。パミルにはきつい話になるかもしれない。しかし、無関係とは言えないかな。……王妃様の話だよ」




