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127 港町の再会

「ただいま! ティナ」

ミレイアは、クラリスとロイのいる王宮から、ティナの乗る馬車へ転移してきた。


「わっ! 急に現れないでよ、ミレイア。心臓に悪い」

向かいの席でティナが胸を押さえている。


「驚かせてごめん、ティナ。次からは連絡を入れてから転移するわ。ーーもうすぐ港町につきそうだね」

馬車の窓の向こうには、青い海が広がっていた。


「さっき、もうすぐ到着するってルイスに連絡したところ」

ティナが携帯通信機をちらっと見せた。


「間に合って良かった」

ミレイアが微笑む。


「うまくいったの?」

ティナが興味津々で身を乗り出す。


「まあ、とりあえずは」

ミレイアが王宮での出来事をかいつまんで説明しているうちに、馬車は港へと到着した。


「着いたみたいね」

ティナが先に馬車を降り、ミレイアが続く。


「ティナ、ミレイアさん!」

ルイスと妹のウララが駆け寄ってきた。


「ルイス、ウララ。お待たせ」

ティナが片手を軽く挙げる。


「お出迎えありがとう。また会えて嬉しいわ」

ミレイアがにこやかに挨拶する。


「待ってました、ティナちゃん! ミレイアさん! うちの家族が待ちわびてます。町の人たちも会えるのめっちゃ楽しみにしてて……とにかく、行きましょ!」

ウララが2人の手を引っぱる。


ルイスは鼻歌まじりで後を追い、スキップを踏んでいる。

「フフフン♪ 今日はいい日だなー。ティナとミレイアさんが会いに来てくれるなんて!」


「兄ちゃんご機嫌だね」

ウララがクスクス笑いながら振り返る。


ひんやりした潮風に吹かれながら、石畳の通りに入ると、町人たちが次々と集まってきた。


「女神さまが降臨なさった! ありがたやーありがたやー」

拝み倒す老紳士。


「おおぉぉぉ! ミレイアさま! また会えるなんて感激だ。相変わらずお美しい!」

雄叫びを上げる屈強な漁師。


「あの時命を救っていただいた御恩、一生忘れません……!」

膝をつき涙を流す若い女性。


ミレイアは苦笑いしつつも、一人一人に優しく声を掛けていく。


「ティナちゃんだ! 遊ぼー遊ぼー!」

ティナにまとわりつく子供たち。


「ティナちゃん元気にしてた? 後でうちにも顔出してちょうだい」

優しく微笑む年輩女性。


「商会にも顔を出してくれよ、ティナちゃん。みんな待ってるよ」

きちんとしたスーツ姿の男性。


ティナは「うん、後で行けたらねー」と軽く受け流している。


ルイスの家の前についた時、ミレイアがぽつりと不満をもらした。

「ねえ、なんだかティナとわたしの扱いが違いすぎない? わたしもティナみたいに気楽に接してもらいたいんだけど」


ウララが首を横に振る。

「ミレイアさんに気楽に接するなんて、とんでもない! 町をよみがえらせた奇跡の女神ですよ!」


「町を助けたのはティナも同じじゃない……」

ミレイアが頬を膨らませる。


するとティナがズバッと言い放つ。

「同じじゃないよ。あの時のミレイアは正に女神だったもん。一瞬で広い海を浄化して、瀕死状態の町民を元より元気に治療しちゃったんだから。わたしは、お金を貸したり商会支部で雇ったりしたけど、ビジネスの域を超えないから、“ルイスの金持ちの友達“ぐらいの扱いなだけだよ」


「そうだよ、ミレイアさん!」

ルイスが前に回り込んで加勢する。


「そもそもミレイアさんは俺の憧れの夢幻の女神で……町のみんなは最初、空想の話だと思ってたみたいだけど、実際あんな姿を見せられたら、女神は実在したんだって思うのも仕方ないよね! それに、ティナの兄ちゃんが作ったグッズが広まってからは、毎日ミレイアさんの顔を見ながら拝めるようになって、ますます神格化していったというか……、あ! これ内緒だった」


ティナが、口を押さえたルイスの額を軽く小突く。

「ミレイアグッズのことならもうバレてるよ。せっかくミレイアが販売を許してくれたんだから、余計なこと言わないように!」


「え! 許してくれるって? やっぱ女神じゃん」


「はぁ……わたしは、神様扱いされるのは苦手なのよね。人間扱いしてくれないなら、グッズ販売はやめさせようかな……」

ミレイアが盛大にため息をつき、ルイスとティナが慌てる。


「な! 冗談だよー。ミレイアさんは俺たちと同じ人間だよー!」


「そうよ! ルイスのいつもの冗談だってば。ミレイアが実はただの自由なおせっかい天然娘だってこと、わたしたちはわかってるから!」


「それってフォローになってる? ふふっ。……まあ、わたしも冗談よ。わたしの顔入のグッズ販売は恥ずかしいけど、売り出す前にチェックさせてもらえるなら止めたりしないわ。どうせすぐにみんな飽きるでしょうしね」


「そ、そうかもね……」

ティナとルイスが顔を見合わせる。


その時、家の中からバタバタと足音が聞こえてきた。


「おい、ルイス! なんで入ってこないんだよ。さっきから話し声が聞こえてたぞ。ーーミレイアさん、ティナちゃん、俺に会いに来てくれてありがとう」

父のエクスが勢いよく飛び出してくる。


「父ちゃんに会いに来たんじゃないでしょ?」

「そうだよ。ルイス兄ちゃんに会いに来たんだろ」

「ウララ姉ちゃんが呼んだって聞いたよ」


「ミレイアさんきれい〜。ティナちゃんかわいい〜」

「遊ぼ、遊ぼ!」


賑やかな弟妹たちが次々と溢れ出す。


「「ティナちゃん、ミレイアさん! 待ってたよー!」」

双子のカヤとマヤが声をそろえる。


そして最後に、12人目を妊娠中の母オリーが顔を出した。

「よく来てくれたわね。とりあえず中にどうぞ」


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