第2話 2
優一がサクヤを無視して二度寝を始めた時間、つまり、午前5時頃、
人の気配が全くしないような深い森の奥に、天城終夜いた。
額にはうっすらと汗を滲ませて、一心不乱に拳を振り抜く。
天城終夜の朝は早い。
午前4時には目を覚まし、朝の鍛錬をする。
終夜の人間離れした力を制御するためには日頃から鍛錬を重ねて、上手く扱えるようにしていた。
力の制御を誤れば、あらゆるものを破壊してしまう。
建物や車などの色々なものとそして、《人間》をいとも簡単に壊してしまう。
終夜が小さい頃は上手く制御が出来ていなかった。
だが、《とある人物》に終夜は鍛錬のしかたを教えてもらい、今なおそれを続けている。
勿論、その《とある人物》からは色々なことを教わった。
中学までの一般教養、終夜の力の使い方、そして、終夜の夢を見付けた。
人の優しさ、愛情をもらった。
終夜はその《とある人物》に敬意を払って「兄さん」と呼んでいる。
その人物に進められ、今通っている高校にも入学した。
しかし、今の終夜の近くにはその人物はいない。
少し前までは一緒に暮らしていたのだが、その人物は遠い所に行ってしまった。
先ほどまで額に汗が滲む程度だったのだが、今は汗をダラダラと流しながら、肩で呼吸をしている。
そして、不意に動きを止め、近くの木に立てかけてあった細長い袋を手に持った。
そして、その袋の中から二本の木刀を取り出す。
呼吸を整え構えをとる。
普通、剣道の二刀流の場合、一つは真っ直ぐに構え、もう一つをやや切っ先を自分の方へ傾けながら上段で構える。
そして、上段にある手で攻撃をすると同時にもう片方を上段に持って行き、敵の攻撃を防御する。
それが、剣道の二刀流である。
防御をしながら攻撃出来るため、相手の攻撃を防ぎやすく、守りやすいのだが、片手で攻撃するので、圧倒的に力不足なため、一本をとりずらい。
負けることも少ないが勝つことも少ない。
しかし、終夜の二刀流の構えは普通とは違っていた。左手は真っ直ぐ正面に構える。
右手も普通の剣道の二刀流と同じく上段で構えるのだが、木刀の先が斜めしたの地面に向いている。
つまり、逆手に木刀を持っている。
剣道ではこの構え方、いや逆手なんて持ち方はしない。
おもむろに終夜は木刀を振り始める。
縦に横に斜めに、終夜はゆっくりと身体に馴染ませるように、流れるように両手で振るう。
数十回とそれを繰り返し、終夜はピタリと動きを止め、周り一帯を見渡した。
勿論、深い森の中のため人はひとりもいない。
「…よし、誰もいない、なっ!!」
その言葉をきっかけに終夜の背中に紅き翼が生える。
そして、終夜は両手に力を込める。
それと同時に、木刀は姿を変えた。
木刀はまるで一枚の羽をかたどったような片手剣になっていた。
一旦終夜は深呼吸をして、再び構える。
勢いよく一歩踏み出し、右手、つまり逆手に構えた剣をまるで殴るかのように斜め上から振り下ろす。
振り下ろした所で刃の向きを変え、両手を揃え斜め上に振り抜く。
振り抜くと同時に身体を捻り、右足で軽く跳躍し、右手を捻った身体を戻す同時に全体重を乗せ、地面に叩き込む。
それと同時に轟音と砂煙が舞う。
その砂煙で咳き込む。
ただし、咳き込んでいるのは終夜ではなかった。
終夜はその咳き込む声のする方を向き構えをとるが、直ぐに解いた。
何故なら、
「ごほっごほっ、思いっきり砂吸い込んじゃった~」
涙目で咳き込む、結衣だったのだから。
「何でここに来たんだ?結衣」
結衣はこの間買ったばかりの服に付いてしまった砂埃を払いながら、
「だって、終夜が勝手にどこかに行っちゃうんだもん」
結衣は頬を膨らませながらそう応えた。「はいはい、俺が悪かったよ」
「ホントはそう思ってないでしょ。これで何回目だと思ってるの」
終夜は結衣を宥めようとそう言うが、結衣は終夜を睨みながら唇を尖らせる。
結衣の言うとおり、終夜は毎朝身体の鍛錬を行っている。
終夜は自分の都合のみで朝早くから結衣を起こすのは良くないと思い、こっそり抜け出している。
一緒に暮らし初めて最初の頃は終夜が朝の鍛錬から帰って来るなり、「どこ行ってたの!!」と、怒鳴られ、抱きつかれ、挙げ句の果てに泣き出した。
その様子を見た絶が怒り、終夜に文句を永遠と言い続けるなりされて、終夜にとってはうんざりする事になった。
だが、朝の鍛錬を辞める訳にもいかず、何度も同じようにこっそり家を抜け出している。
「でも、私から逃げようなんて百年早いわよ」
新しく買ったばかりの空色のワンピースにカーディガンを着た結衣が、ふふんと、鼻をならしながら、どうだと言わんばかりに胸を張る。
そうなのだ。
最近は終夜の鍛錬場にまで結衣は終夜の後をこっそりつけてきている。
終夜も一度周り一帯に人の気配がないかどうか確認するのだが、それでも結衣は見つけられない。
いや、見つけてはいるが、あえて声を掛けないだけなのかもしれない。
何故なら、終夜の鍛錬はとても集中力を必要とする。
特に、手にしていた、今は木刀に戻ってしまったあの羽をかたどった剣の精製には特に集中力を要する。
それに、しっかりあたたまった身体で唯一の家族と呼ぶべき人から教わった型をしっかりと練習したかったのだ。
「でもどうやって俺の後をつけてこれたんだ?俺はここまで走って来たんだぞ」
終夜はこの場所までウォーミングアップがてら走って来ている。
それも、少女ではとても追いついて来れないぐらいの速さで走っている。
朝の鍛錬をする場所は深い森の中と決めているだけなので、毎日同じ場所では行わない。
なので、ついて来ない限り終夜までにはたどり着けない。
だが、終夜の目の前にいる少女、結衣は終夜の所までたどり着いている。「…そりゃあ、…愛の力だよ」
終夜のその指摘に対し、結衣はほのかに頬を赤く染め、その頬に両手を当てながら、上目遣いで終夜を見ながら言った。
「……ふーん、そうなのか」
「なに、その言い方っ!!」
終夜のあっけらかんとした発言に、結衣は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
そして、終夜の頭をポカポカと叩く。
結衣は終夜のことが大好きである。
それは《家族》としての感情でもあるが、《異性》として好きという感情の方が強い。
終夜も薄々感づいてはいるのだが、《家族》として好きなのだろうと解釈をしている。
そして、終夜は自分は《バケモノ》なのだから、愛されてはいけない、好かれてはいけないと思い、ついすぐに身を引いてしまう。
「あー分かったから、そろそろ頭叩くの止めてくれ」
「うそっ!!全然分かってないぃ!!」
終夜の懇願もあっさりと切り捨てられ、結衣終夜の頭を叩き続ける。
そこで、終夜は切り札を使う。
「今日の晩御飯、結衣の好きなもの作るから、もう止めてくれ」
その言葉と同時にピタリと結衣の動きが止まる。
「…ゼッタイだからね」
結衣はそう言うと、終夜から離れる。
終夜の作る料理はとても美味しいらしく、結衣曰わく、三つ星レストランのオーナーがひっくり返るほど、らしい。
ずっと昔から終夜は料理を作っていたらしく、作り始めた当初は料理本を片手に悪戦苦闘をしていたが、年を重ねるごとに上手になっていった。
だが、終夜自身、他の人の作った料理を余り食べないため、自分の料理の腕を余り分かっていない。
とりあえず、人並み程度に料理が出来ると終夜の中では結論付けてある。
とりあえず、結衣の攻撃が止んでくれたことに対し、終夜はほっと一息をついた。「それじゃあ、そろそろ帰るか」
終夜は木刀をしまい、結衣の頭をポンと叩く。
終夜はそのまま歩き始めようとするが、結衣が一点を見つめて全く動かない。
「終夜って《剣術》とかするの?」
結衣は木刀を指差しながら言う。
結衣と対峙した際は剣など使ってはいなかった。
「剣術は余りやらないが、昔、ある人に教えてもらってな。今でもたまにこうやって動きを思い出しているんだ」
頭を掻きながら、余り答えたくなさそうに答える。
「その《ある人》って?」
「俺のとても尊敬してる人だな。俺はその人に沢山のことを教えてもらって、生きる意味をくれた人だ。俺は本当の《兄》のように思ってる」
どこか遠い目をしながら終夜は応えた。
「そうなんだ、私も会ってみたいなぁ、終夜のお兄さんに。ねぇ、その人は今どこに居るの?」
結衣は、今まで知らなかった終夜の事を知れて少し嬉しそうな顔している。
そして、その人に会いたいのも確かである。
終夜の事をもっと知れると思ったからだ。
「もう、いない」
「…えっ?」
終夜がバサリと言葉で切り捨てたことに驚き結衣は終夜の顔を見る。
それは悲しみ、苦しみ、色んな負の感情に満ちた顔だった。
「遠い所に行ってな、しばらく会えないんだよ」
終夜は心配そうな顔で見ている結衣に気が付き直ぐにいつもの顔に戻し応えた。
だが、その顔の奥には何とも言えない悲しみが隠された表情だった。
「あ…そうなんだ…」
結衣も終夜に深く聞くことが出来ず、そう応えるので精一杯だった。
「あんまり、気にするなよ。それじゃ、帰るぞ。絶も心配しているだろうからな」
終夜はもう一度結衣の頭をポンと叩き、結衣に笑顔を見せて言う。
それに結衣も「うんっ」と頷き終夜に笑顔を見せた。
そして、終夜と結衣は森の出口まで歩き始めた。
静かな森の中を終夜と結衣の2人で歩く。
太陽は完全に顔を出し、2人の歩く道を明るく照らす。
恐らく、6時をまわったところだろう。
だが、帰り始めた時は元気だった結衣の歩くペースが明らかに落ちている。
その異変に終夜が気が付き、結衣の顔を覗き見てみた。
…夢の世界に片足を突っ込んだまま歩く結衣の姿はそこにはあった。
それもそのはず、結衣は昨日の晩から一睡もしていなかった。
終夜の朝の鍛錬について行くつもりだったからだ。
ついて行くと言っても、終夜が何時に家を出て行くのか分からず、何時に起きれば良いのか全く分からない。
昨日も一昨日も起きた時には終夜はおらず、今日こそはと意気込み、徹夜で終夜の気配を読み、見事に終夜について行くことが出来た。
だが、その達成感と安心感と春特有の暖かさで結衣は夢の世界に片足を突っ込んでいる。
終夜は、はぁ~、と盛大に溜め息を吐いた。
「…結衣」
「なぁ~に?」
呂律も回らなくなってきていた結衣の前に終夜は後ろを向きながらしゃがみこんだ。
「…俺がおぶって連れて帰ってやるから、少し寝ろ」
「…えっ?」
終夜の発言に一瞬目を覚ましたが、睡魔には勝てず、結衣は終夜の言われるように終夜の背中に寄りかかりおんぶされる形になった。
(どうせなら、お姫様抱っこの方が…)
なんて思った結衣だったが、終夜の背中は心地よく、直ぐに夢の世界に墜ちていった。
幸せそうな結衣の顔を終夜は覗き、終夜の顔は自然に綻んだ。
ついこの間までは狂気に取り憑かれていた少女。
だが、今ではあの時の事が全て嘘だったかのように、結衣は笑っている。
どこからどう見ても普通の少女。
急に終夜の顔が強張る。
(俺は一緒に居ていいのか?)
終夜の中で、何かが渦巻く。
(俺は《バケモノ》だ。バケモノの俺が結衣と一緒に居ていい資格なんてな…)
「…しゅ~や。ずっとず~っと一緒だよ…」
突然の声に終夜の身体が跳ねる。
結衣の顔を見てみるが、相変わらずの幸せそうな寝顔。
つまり、単なる寝言。
「全く、結衣にはかなわないな」
終夜の顔も気が付けば笑顔になっていた。
そして終夜はその《幸せ》を背中に背負いながら、真っ直ぐ森の出口へ歩き出した。
終夜の顔は終始綻んでいた。
終夜は結衣に救われていたのかもしれない。
兄と呼んだ人と別れてからはずっと終夜は独りきりだった。
学校でも、いつも周りに壁を作り独りであり続けた。
「自分は《バケモノ》なのだから」
そう自分に言い聞かせ続けた。
実際にその高い壁を乗り越えて来る人間なんていなかった。
そう、つい最近までは。
1人はクラスメートだった。
今まで、全く関わりのない彼だったが、とある事件をきっかけに友達になった。
今では、週に何日も家に押しかけて来て一緒にご飯を食べるようになった。
友達の彼、優一は終夜の《力》を知っている。
それを知りながらも優一は終夜の友達になりたいと言った。
そして、現在に至っている。
そして、もう1人。
終夜の壁を乗り越えて、そしてなおかつさらに身を寄せる少女がいた。
今、終夜が背負っている、少女、結衣だ。
終夜のことを一番に考え、終夜の支えになろうとしている。
いや、終夜の支えになっている。
終夜も結衣のことを終夜のなかで本当の家族になりつつある。
終夜も、結衣と暮らし始めて、全てが変わった。
孤独じゃない、と思えるようになった。
毎日が笑顔で溢れている。
まさに幸せだった。
終夜にとって結衣は大きな存在になっていた。
それを嬉しく思い、結衣をもう一度背負い直す。
幸せの重みを噛み締め歩き出す。
終夜は笑顔を浮かべながら、歩いた。
だが、それがいけなかった。
違うことを考えていたために、森を出たことに気が付かず、小さな道路を横断してしまった。
盛大な音に終夜は一瞬で現実に戻り、音の方を向く。
直ぐそばまで自動車が迫ってきていた。
恐らく、終夜の前で止まるもう間に合わないぐらいの速度で迫って来ていた。
終夜の筋力が人間を遥かに凌駕していようともう間に合わない。
終夜は直ぐに結衣を正面に抱えて、自動車に背を向け結衣を思い切り抱き締めた。
(俺はどうなっても構わない。だから、結衣だけは!!)
終夜は自分の身が壊れようとも、目の前に居る幸せを教えてくれた少女だけは救うと心に決め、襲いかかって来るであろう衝撃に備えた。そして、直ぐに衝撃が終夜を襲った。
終夜は僅かの時間で出せるだけの力を足に込めたが、意図も簡単に身体が宙に浮いた。
しかし、終夜の身体が宙に舞い、身体が飛ばされたのは、終夜の右側だった。
終夜の左側からは凄まじいブレーキ音が鳴り響く。
そして、そのブレーキ音が終夜から離れていく。
終夜の身体は確かに宙に浮いたが、大した衝撃はなかった。
終夜は閉じていた目を開けた。
「怪我はないか?」
短めの銀髪をした無表情の青年が、終夜と結衣を抱えて歩道に立っていた。
そして、直ぐに終夜達を降ろす。
「えっ、ああ、大丈夫です」
頭が混乱していたためか、普段使わない敬語が終夜の口から飛び出した。
「そうか…次からはしっかり左右の確認をしてから道路を渡れよ」
青年はどこか優しげにそう言う。
「助けてもらったことは礼を言わせてもらう。でもなんで助けた?下手したらあんたが危なかったんだぞ」
未だに頭は混乱していたが終夜は思ったことを口に出した。
「失敗はない、と私の頭の中でそう結論を出せたからやったまでだ。それに、」
無表情の青年は終夜を見つめ、
「目の前で人が傷付くのはみたくない」
無表情の顔でも、どこか優しさがにじみ出ていた。
終夜はそう思った。
その言葉を最後に青年は急に耳の後ろ側に人差し指と中指を当て、急に黙り込んだ。
「すまん、呼ばれているので失礼する」
指を離した青年はそう言うと歩いていってしまった。
終夜は必死に落ち着かせて頭で考えた。
恐らく、いや、確実に間に合わないと思っていたのだが、あの青年は、その僅かな時間で結衣を抱えている終夜を抱えて歩道まで駆けた。
絶対に間に合わないと思っていたのだが、ひょっとしたら、混乱しててよく分からなかっただけかも、と結論づけた。
そして、終夜の顔が急に引き締まる。
「大丈夫か、結衣!!」
思い出したかのように、終夜は未だに抱き締めている結衣の顔を見た。
真っ赤な顔をした結衣の顔があった。
大丈夫か!?、と言いかけて終夜は口を詰むんだ。
「終夜が抱き締めてくれた。終夜が、終夜が…」
結衣はそう呟き、最後には「きゃっ」なんて言いながら頬に両手を当てた。
結衣の無事を確認すると同時に終夜は大きく溜め息を吐いた。「終夜から私を抱きしめてくれたっていうことは…そういうことなんだよね」
未だに自分の世界に入っている結衣を終夜は無視しながら結衣に怪我がないか見る。
どこをみても怪我をしている様子はなく、ホッと一息を吐く。
「うぅ、終夜からの熱い視線を感じるよぅ」
顔を真っ赤に染めながらも嬉しそうに語る結衣をシカトして、終夜は回れ右をして歩き出そうとする。
単純にめんどくさいと思ったからだ。
だが、終夜は一歩を踏み出せなかった。
終夜の居るところまで、道路の真ん中あたりから2つの黒い線を見つけたからだ。
恐らく、摩擦の痕。
そして、反対側の歩道はひび割れ、陥没している。
それを付けたのは先ほどの青年だろう。
しかし、ありえない。
人間の力ではない。
下手をしたら終夜を超える身体能力。
だが、終夜は嬉しかった。
(目の前で人が傷付くのはみたくない)
どこか優しさがにじみ出ていたあの笑顔。
あの青年は力を間違った方向には使わない。
それだけで終夜はどこか嬉しかった。
「終夜、どうしたの?大丈夫?」
結衣の一声で終夜は世界に戻って来た。
どうやら長い間、考えていたらしい。
「いや、大丈夫だ。帰るぞ」
終夜は、結衣の顔を見て、微笑みながらそう言った。
結衣は何故か顔を赤らめた。
「…終夜がどこか優しい…。ってことはやっぱり終夜も私のことす」
結衣がまた自分の世界に入って行ってしまったので、終夜は一人で歩き出した。
「…それじゃさ、終夜、き、き、きき、キスして、ってお願いだから終夜置いてかないで~」
少ししてから結衣も走って終夜に追いつき、一緒に家に帰った。
「ふ~ん、朝から大変だったんだねぇ」
優一が終夜の作ったラーメンを食べながら言う。
「まあ、俺としてはもう一度会って礼が言いたいんだけどな」
終夜もラーメンを食べながら話す。
時刻は12時半。
終夜の家で、優一と一緒に昼飯を食べながら朝あったことを話す。
「それで、あれは一体なんなの?」
優一はそう言い指を差す。
「終夜は私のことを…きゃっ///」
優一の差した指の先で結衣はきゃっきゃっ言いながら転がり回っている。
その頬はだらしなく緩んでいる。
「…知らん」
終夜は溜め息を吐きながら答えることしか出来なかった。




