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20/29

20日目

 大変な思いをして炎の剣を手に入れた僕らは(大変な思いをしたのはおもにアシュリーさんですが)、今度は風の谷に向かいました。

 風の谷には4つの武具のひとつ風神の盾があるからです。


 地図によると風の谷はラプラス火山の先にあるようで、登った道とは逆の方向に降りていきました。

 つまりどんどん先に進んでるって感じだね。



 その道中、僕らは炎の剣と会話しました。

 どうやら4つの武具は自我があるみたいで(手に入れた時もそんな感じだったしね)僕らの問いかけに念話のようなもので返してくれました。


「元気?」って聞いたら『元気だ』って応えてくれました。

 堅物かと思ったらけっこう気さくでいいヤツでした。


 といっても、僕が異世界から来た勇者だとは全然認めてくれなくて、ずっとアシュリーさんにばかり話かけてたのが気になったけど。



 で、そんな炎の剣なんですが、とんでもない提案をしてきたんです。


『我を使いこなせるか確かめたい。持てる力をすべて込めて我を振るってみろ。我の力をうまく引き出せたら我が主と認めてやる』


 なんて言ってきたんですよ? もうビックリです。

 漫画でよくある「オレを従わせたかったらオレを倒して見ろ」みたいな感じでしょうか。

 ちょっとプライドが高いのかな? って思っちゃいました。


 アシュリーさんもアシュリーさんでそんなこと言われたもんだから張り切っちゃって張り切っちゃって。


「わかった。よく見てみるがいい」

 なんて言いながら、「ハアッ!」って思いっきり振るってました。もともと僕専用の武器のはずなのにね。

 でもさすがはアシュリーさん。炎の剣を振るったら、刀身が赤く染まってめっちゃ炎が噴き出してました。すごかった。

 しかも炎の剣から噴き出た炎は消えることなく刀身を燃やし続けてました。

 炎をまとった剣ってカッコイイよね。

 これならマッチもいらないから、たき火に便利だねってちょっと思いました。



「たこす殿もやってみろ」

 と言われたので、アシュリーさんから炎の剣を受け取り(受け取った瞬間、炎が消えたけど)アシュリーさんと同じように「ハアッ!」と剣を振りました。

 そしたらすごいことが起きました。


 なんと炎の剣が凍りついたんです!

 比喩的表現じゃないよ。本当に凍ったの!

 根元から氷に包まれてカチコチに。


 だいぶ焦りました。

 だって炎の剣ですよ?

 凍るなんてあり得る?


「え!? あれ!?」って炎の剣を振り回し続けました。


 でも何度振るっても凍ったままだったので、僕もちょっとパニックになっちゃって

「アシュリーさん、これどうしましょう」

 ってアシュリーさんに凍った炎の剣を渡したら、氷が溶けて炎が噴き出しました。なんでだよ。



 なんで凍っちゃったのか炎の剣に尋ねたら

『魔力がなさすぎてドン引きした』

 とのことでした。


 そっかー、ドン引きして凍っちゃったのかー。

 たたき割りたいわー。


 ということで、炎の剣は今後もアシュリーさんが装備することになりました。まあ、いいんだけどね。僕、戦うの苦手だし。

 今まで通り、応援を頑張ろうって思いました。



 ファイト、自分!



追伸:刀身を燃やすことができたアシュリーさんは炎の剣に認めてもらったみたい。さすがアシュリーさんだよね。僕は『前代未聞すぎてわからぬ』って言ってました。凍るくらいだもんね、そりゃわからないよね。




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