10日目
今日は今までの比ではないほどの大きな町に来ました。
僕が召喚された王都と同じくらいか、それ以上の町。人もたくさんいて、道に商品をならべた商人たちがそこら中にいます。
「ここはこの国で一番大きな町カロッゾだ」
アシュリーさんがそう教えてくれましたが、その声すら聞き取りにくいくらい活気に溢れた町でした。
「すごくたくさん人がいますね」
「この国の経済の中心地だからな。我が国の心臓部であることは間違いない」
日本で言うところの大阪みたいな感じでしょうか。
大阪と言っても広すぎるから安易にそうとは言い切れないけど。
でもそこら中でTHE・商人という人たちが声を張り上げて客を呼び込んでいました。
こういう「陽」のパワー全開な場所ってちょっと苦手なんですよね。
だって行く先々でパリピなおっちゃんたちが声をかけてくるんですもの。
「よお、そこの強そうな姉ちゃんと貧相な……じゃなかった、個性的な格好をした兄さん。なんか買ってかねえか?」って言われました。
明らかに「貧相な」って言ってました。
他にも「そこの弱そうな……じゃなくて守ってあげたくなるような兄ちゃん」だの「一度も喧嘩したことがなさそう……じゃなくて、暴力をふるわなそうな兄さん」だの「今にも泣き出しそうな……じゃなかった、儚げな顔したあんちゃん」だの、散々言われました。
ここの商人たちは真っ先に本音が出る人たちしかいないのでしょうか。
挙げ句の果てには「そこの死人……じゃなくて、生きてる兄ちゃん」なんて言われました。
訂正前もひどいけど、訂正後もひどい。
「生きてる兄ちゃん」って……。
そりゃ生きてますよ! 人間だもの!
まあ結局何も買わなかったけどね。
あ、でもでも。
今日は初めて武器屋と防具屋で新装備を買ってもらえたんです!
武器屋ではハリセンを買ってくれました。
防具屋ではももひきと腹巻きとハゲづらを買ってくれました。
今まで以上にアシュリーさんのセンスを疑いました。
どういうつもりなのでしょう、彼女は。
元々来ていたランニングシャツと合わせれば、完璧なおっさんの出来上がりです。
どこの世界にハリセンとももひきと腹巻きとランニングシャツとハゲづらを装備した勇者がいるのでしょうか。
「よく似合うぞ」と言ったアシュリーさんの頭を思いっきりハリセンで叩きたくなりました。
「さすがにこれはちょっと……」ということで、服屋に行って旅人の服を買ってもらいました。
ついでに武器もダガーナイフにしてもらいました。
これでなんとなく冒険者っぽい感じになったかな。
ちなみに武器屋と防具屋でハリセンとももひきと腹巻きとランニングシャツとハゲづらを売ったら、10万ゴールド超えました。どんだけレア装備だったんだろう。
とにもかくにも、今日はカロッゾの町の高級宿屋で一泊です。ひゃっふー!
追伸:高級宿には温泉がついてるらしい! もうここに住みたい!




