第七十二話 始めての王都観光
本日二話投稿ですのでお間違え無い様に!
「ニコ!まだかい!?」
「煩いな・・・それで何度目のまだ?だ?」
「数えてない!」
「はぁ・・・じゃあ少し早い気もするが市場に行くか。」
朝飯を食べ終わってから何度目かわからないサミュエルからの催促に溜息を吐きながら言う。
「市場だって!?みんなが商品を持ち寄って露天商をする場所だね!?楽しみだなぁ!」
「わかったわかった。」
サミュエルの顔に認識阻害魔法をかけて部屋を出る。
「ニコ様と殿下・・・ですよね?どうなさいました?」
「サミュエルだ!これからニコと王都で買物をして来る!父上からは許可を頂いているから今日一日は特別休暇とするのでゆっくりしてくれ!」
「聞き及んでおります!ですが休暇とは本当ですか?」
「何か言われれば僕に言われたと言え!責任は僕が持つ!」
「かしこまりました!では楽しい観光を!」
サミュエルの言葉にフルフェイスの兜越しでも分かるほどに嬉しそうな兵士が敬礼をして見送る。
「ひゃっほーい!今日一日休みだってよ?今日の分のきゅ、給料出るんだよな?」
「殿下がああ言われたんだ!出るだろうよ!よし俺達も王都に出て朝っぱらから酔っ払おうぜ?」
俺とサミュエルが角を曲がった途端に兵士が喜ぶ声が聞こえる。
「お前の一声で決まるんだな?」
「だから王族は発言には気を使わねばならないのだ。」
「さっきのは大丈夫なのか?」
「しっかりと父上と話したから大丈夫だ。」
城の中を歩きながらサミュエルと話す。
朝一すぎて城の中が誰も歩いていないのでとても歩きやすい。
城を出て市場へと赴く。
「すごい!こんな量の食材が並ぶなんて信じられない!」
サミュエルが通りで朝市の準備をする露天商の商品をみて驚いている。
「サミュエルは何か買いたい物はあるのか?」
「・・・僕は現金を持ってないから見て楽しむだけだよ。」
「・・・それじゃ面白くないだろう。これを渡しておくから欲しいものがあったら使っていいぞ。」
俺も今まで何度も一人で学校での食材を買出ししているので金の価値は大体わかっているつもりなので、八歳児が持っていても怪しまれない程度であろうと思われる額、銀貨五枚を渡すとサミュエルが満面の笑みで先程までとはまた違った様子で楽しそうに市場を眺め始める。
「父上からの条件はニコから離れないだから玩具屋に行って見たいな?」
「どうせまだ開いてない。俺の買出しが先だ。」
「買出しが終わったら絶対だからね?」
「わかったわかった。」
よほど始めての王都が嬉しいのだろう普段は大人びた様子のサミュエルが目を輝かしてはしゃいでいるので歳相応に見える。
「これとこれと・・・これをくれ。」
「あいよ!坊ちゃん二人でお使いかい?えらいねぇ千五百五じゅ・・・千五百ゴールドにまけとくよ?」
「ありがとうございます。」
「ニ・・・ニコ?ニコ?ニコ?」
露天商の老婆が俺とサミュエルを見てお使いと勘違いして値段をまけてくれた。
サミュエルは自分を見て王子と気付かれない事がよほど嬉しいのだろう目に涙を溜めて喜んでいる。
「煩い。次に行くぞ。」
「うんうん!次に行こう!」
忙しなくうろちょろと朝市を走り回るサミュエルを引っ張って食材を買うどころの話ではない。
「・・・普段通りの落ち着いた様子で頼む。」
「いつも通りだよ?」
「買物が出来ん。大人しく俺の後ろを付いて来い。」
「それだけ玩具屋に行くのが遅れるって事だね?わかったよ。」
サミュエルが大人しく付いて来てくれるようになったので、露天を巡って食材を買って行く。
「ニコ?なんで色んな店で小分けに買ってるんだい?このキャベツなんてさっきの店でも買ったじゃないか。」
「俺みたいな子供が大人買いしてマジックバッグに入れてたら怪しまれるだろ?色々な店で非常識で無い程度の量を買ってマジックバッグに入れてるんだ。」
「な、なるほど!」
俺の言葉にサミュエルが驚きつつ納得している。
平日五日間分の食材を、しかも三食で九人前の材料ともなるとかなりの量になる。
俺だって非常識と言われるような事はしないようにと色々考えているのだ。
その後もサミュエルを連れて露天を巡って買物をしていく。
「ニコは毎週こんな事をしているのかい?」
露天巡りが終わり公園のベンチで休んでいるとサミュエルが言う。
「まぁ基本的に何も用事がなければそうだな。」
「これは・・・ニコの料理を食べる人間は絶対に付いて知るべきだ。」
「そう言われてもマジックバッグの容量など見られたくないものが多すぎて無理だな。」
サミュエルには俺がルドルフとばらしたので問題無いが他のみんなには絶対に知られるわけには行かないので、そこまで非常識な所は見せる事は出来ない。
サミュエルは俺の言葉を聞いて悔しそうにベンチを拳で叩いている。
「気を取り直して玩具屋に行くか?」
「あぁ・・・楽しいことをしてこの憤りを忘れよう。」
なぜか怒っているサミュエルを連れて玩具屋へと向かう。
「ニコ!?あれはなんだい!?」
「焼き鳥だな。」
「ニコから預かったお金で足りるかい?」
「十分だろう。」
俺の言葉にサミュエルが満面の笑みで屋台へと走って行き四本の串を持って帰って来る。
「はいニコ!たれと塩ってのがあったから二本づつ買ってみたよ?」
「すまんな。」
しっかりと俺の分も買ってきてくれたようだ。
ありがたくサミュエルから受け取って一緒に焼き鳥を食べながら歩く。
「ニコあれは!?」
「あれは蜜団子だな?」
俺が答えた時にはサミュエルは屋台へと走っていた。
すぐに満面の笑みで二つの包みを持って帰ってくる。
「はいニコ!」
「サミュエル?自分の分だけでいいぞ?」
「ニコ?一応俺の名前は呼ばないようにしてくれるか?そうだな・・・サムとでも呼んでくれ。」
「わかったサム。」
サミュエルも俺と一緒で自分の正体がばれないように考えているようだ。
サミュエルが買ってきてくれた蜜団子を食べる。
水で溶いた小麦粉を丸く平べったく焼き上げて蜂蜜を挟んだお菓子だ。
いわゆる庶民の味と言うやつらしいのでサミュエルが食べた事がないのだろう。満面の笑みで蜜団子を頬張っている。
その後も見た事ない料理を売っている屋台を見つけてはサミュエルが買ってきて食べ歩く。
「ニコニコ!ニコ助けて!」
「どうしたサム!?」
屋台で焦った様子のサミュエルが俺を呼んでいるので何事かと思って駆け寄るが、金を使い切って支払いが出来なかったらしい。
「銀貨五枚を屋台で使い切るとは・・・」
「残ったのはこれだけだ!」
サミュエルが満面の笑みで二枚の銅貨を左手で弄びながら右手に持つバーガーを食べている。
「その銅貨二枚でバーガーが買えると思ったのか?」
「いけると思ったんだけどねぇ?駄目だったね!ハハハハハ!」
「もう腹いっぱいだろ?いい時間だしさっさと玩具屋に行くぞ?」
「そうだね満腹だ!」
サミュエルの屋台巡りに付き合っていたら太陽が真上に来ている。
さっさと玩具屋に行かないと日が暮れてしまいそうだ。
「へぇ?ニコこれは何だい?」
「確かコマだな?回してどれだけ長く回るか競う玩具だったと思う。」
「じゃあこれは!?」
「それは将棋だな。同じ戦力で戦う軍戯だったはずだ。」
「チェスみたいな物か?」
「そうだな。将棋は庶民が考えたから貴族が考えた使い捨てのゲームじゃなくて取った駒は寝返った仲間として再利用出来るゲームだ。」
貴族の嗜みであるチェスに憤慨した市民達が取った駒は殺さずに仲間になるようにとチェスを元に考えて考えたと言われるゲームだと言われている。
駒も水晶や高価な鉱物を使って作るチェスと違って、木製で庶民が手作りしようと思えば出来る素材で出来ている。
「ほう!再利用出来るなんて戦略の幅が広がるね?」
「買っとくか?」
「相手してくれるかい?」
「暇な時ならな?」
「じゃあ是非欲しい!」
「なら・・・店員?とりあえずこの将棋セットをニセットくれ。」
「はい!ありがとうございます!」
店員がすぐに商品をカウンターの上に出すので会計を済ませて片方のセットはサミュエルに上げて、もう片方のセットは自分のマジックバッグに入れる。
「なんでニセット買ったんだい?安い物じゃないだろ?」
「高い物でもないからな。いつか故郷に帰ったらみんなに上げようと思ってな?」
こういう小難しい物は間違いなくルルは大好きだろう。
そう思っていつか渡せる日を思って買ったのだ。
「へぇ?ニコの故郷はどこだい?」
「北の山奥の奥だ。」
「いつか本当の場所を教えて貰いたいものだね?」
「(サミュエルにはいつか教える日が来るかもしれないな・・・)」
そんな事を思いながら大はしゃぎするサミュエルと一緒に日が暮れるまで玩具屋で過ごす。
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もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。
毎日投稿が目標なのに昨日は忙しくて投稿が出来ませんでした・・・今日二話投稿したのでほぼ毎日投稿という事でギリセーフ!
にはなりませんね・・・皆様出来る限り頑張っていきますのでよろしくお願い致します。
では最後まで落書きのような後書きまで読んでくださって本当にありがとうございました!




