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第七十一話 褒美のマジックアイテムと城での生活

本日二話投稿です!

よろしくお願いします!

「ニコ?何してるんだい?」

「ん?さっき貰ったマジックアイテムの検証だ。」

まずはマジックバッグの効果を検証する。


「へぇ?検証?」

「このマジックバッグは中身が恐ろしい速度で劣化するそうだ。」

「そんな使い道の無い物を貰ったの?」

ベッドに寝転びながらサミュエルが怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。


「劣化といえば聞こえは悪いがもしかすると時間が加速するマジックバッグなんじゃないのか?って思ってな。」

「なるほど!劣化するという事は時間が経っているという可能性も捨て切れないな・・・で?何をしてるんだい?」

「検証用にパンの種を作っている。その前に少し時計を貸してくれるか?」

「いいよ?」

まずさっき魔法で作った大き目の氷を入れて十分後に取り出すと完全に溶けて水になっていた。

次はサミュエルの時計を入れて十秒数えて取り出す。


「・・・時間がずれた?」

「恐らく俺の仮説は間違って無さそうだな。十秒で約二分ずれたようだな・・・」

俺の仮説があっているとすれば十秒でマジックバッグに入れた時計は約百秒進んだ事になる。

次にパンの種をマジックバッグに入れる。

「約一時間だから十分の一は六分か。」

時間がずれた時計できっかり六分測ってマジックバッグから取り出す。


「膨らんでるね?」

「ふむしっかり醗酵してるな。」

「劣化すると言われてその本質に気付くニコに脱帽だよ・・・」

満足して醗酵が終わったパン種を時間経過の無いマジックバッグに入れる。

続いてもう一つのマジックアイテムの検証を始める。

筒の中に適当に塊肉を詰め込んで蓋をしめてマジックアイテムを動かすと少しだけ揺れる感触が伝わってくる。

十秒ほど動かしてから蓋を開けるとサミュエルもベッドの上から覗き込んでくる。


「挽き肉・・・かい?」

「そうだ。次は・・・」

中に玉ねぎや香草を入れてもう一度動かす。

蓋を開けるとまたサミュエルが覗き込んでくる。


「・・・ハンバーグの種かい?」

「出来たな。」

「さっきまで塊肉だったのに一瞬だね。」

「これで料理が楽になりそうだ。」

「国の宝をそんな使い方する人間はいないよ?」

俺の思惑通りになってくれたので上機嫌で言うとサミュエルが呆れた様子で言って来る。

いなかろうがなんだろうが俺が楽を出来るのなら喜んで利用させて頂く。

この道具は混ぜる物と言う意味も込めてミキサーと名付けよう。



「明日は発酵食品の材料の買出しだな・・・」

「いいなぁ・・・僕は危なくて一人で出歩けないからねぇ・・・」

「ほう?城に住んでて今まで王都を歩いた事はないのか?」

「無いねぇ?僕の顔見るとみんなが集まってきて大騒ぎになっちゃうからね?その騒ぎに乗じて暗殺されないとも言えないからねぇ?」

サミュエルがベッドから窓に映る日が暮れかけの王都を眺めながら言う。

予想以上に王族とは面倒臭いようだ。


「これで了承が貰えるかはわからんがこれで明日俺と王都を歩いていいかアレク王に聞いてみな?」

サミュエルの顔に認識阻害魔法をかけてやる。

サミュエルは意味がわかってないようだが俺の言葉に従って部屋の前にいる兵士を呼んで車椅子に乗って部屋を出て行く。


「あれ?兵士もサミュエルの顔を認識出来ないはずなのだが・・・顔を見ずに声で判断したのか?」

疑問に思って一人ごちてから一人になった部屋で新しく魔力を通さないというガラス玉にどれくれい魔力が通らないのか周りに被害が出ないよう気をつけながらひたすら検証する。



「(ふむ・・・本当に魔力は一切通らないし纏わせる事も出来ないな・・・)」

風魔法でガラス玉を持上げて考察を終える。

結果この直径十センチのガラス球は一切魔力を通さない。

だが魔法による物理的な効果は有効なようだ。

これではアークデーモンのような物理攻撃を一切持たない相手ならこのガラス玉で防具を作れば有効だろうが所詮はガラスなので物理攻撃をされれば即座に脆く壊れてしまうだろう。

「(今の所使い所は思い浮かばないな・・・)」

考察を終えてマジックバッグに入れて読書を始める。



しばらくすると扉をノックされる。

「どうぞ。」

「失礼致します。」

メイドがカートを押して入室してくる。

カートの上には大きなクロッシュが置いてあるのでおそらく夕飯を運んできたのだろう。


「サミュ・・・王子はいないが?」

「こちらはニコ様の御食事でございます。」

そう言って使用人が手際良く机の上に料理を配膳してくれる。


「こちらミネストローネとステーキ、ベーコンサラダで御座います。肉は本日仕入れましたレッドボアの肉を使っております。」

使用人が丁寧に料理を説明をしてくれる。

本日仕入れたレッドボアだそうだ。

俺が今日ギルドに売った魔猪も確か赤毛の魔猪でレッドボアだったはずだ。

「考えすぎか。ありがとう。」

「では失礼致します。」

使用人が恭しくお辞儀をして部屋から出て行く。



「(ステーキソース美味いな・・・是非レシピを聞きたいが無理だろうな・・・)」

初めて食べる城の料理に舌鼓を打つ。

魔猪の肉だと言うのに、俺が普段作っている亜竜であるサーペントよりも深い味わいでとても満足して料理を終える。

俺が料理を食べ終わると見張っていたかのようなタイミングで使用人が入って来て食べ終わった食器を下げる。


「すまない、このソースのレシピとか教えてもらったりは・・・出来ないな?すまん何でもない。」

「かしこまりました。料理長に伺ってみます。」

テキパキと無表情で片付けを終えたメイドはそう言って恭しくお辞儀をして出て行く。

「(なんだろうな、なんというか堅苦しいな。)」

メイドが出て行った扉を眺めながら思わず呟きを漏らしながら鍛錬を始める。




「ニコ!まさかの父上からの許可が出たよ!」

俺が食後に鍛錬を行っていると興奮した様子のサミュエルが走って部屋に入ってくる。

「・・・サミュエル?車椅子はどうした?」

「あ・・・興奮しちゃって・・・ごめん。」

「ごめんじゃない・・・そして何人引き連れて帰ってくるんだ?」

サミュエルの後を追って車椅子を押す兵士を先頭に軽く十人を越えるメイド達が部屋に入ってくる。


「殿下・・・病み上がりですので車椅子を御使用くだされ・・・」

「殿下!湯浴みは無理ですので体をお拭きしましょう!ほれ皆の者!」

「やっ!僕は大丈夫だ!ニコと風呂に!」

「なりませぬ!病み上がりの殿下にもしもがあってはなりませぬゆえ!」

「・・・では私は警護に戻ります。」

メイド長とでも言うべき年長そうな使用人の号令で後ろに控えていた十数人のメイドがサミュエルを取り囲み車椅子を押していた兵士が車椅子を部屋の隅に置いて部屋から出て行く。

あれよあれよという間にサミュエルが抵抗も虚しく丸裸にされて使用人達に全身をくまなく布で拭かれている。



「本当に王族とは大変だな・・・」

諦めて着せ替え人形のように服を着せられるサミュエルを見ながらしみじみと呟く。

「では殿下が終わったので客人を!」

メイド長が手を叩いて言うとサミュエルを取り囲んでいたメイド達を一斉に振り返って俺を見る。


「折角で申し訳ないが平民の俺はそんなものは無用だ。」

「では尚更です!殿下と寝られるのですから体を清めて頂きます!」

もう何を言っても無駄なようだ。

問答無用で裸にされ全身を拭かれる。

サミュエルを見ていたので無駄な抵抗はせずにされるがままにされる。

サミュエルが俺を見てニヤニヤしているのが少々腹立たしい。



「ニコ?これが王族だよ?」

「俺は絶対にごめんだ。」

「明日はよろしく!父上からの条件はニコから絶対に離れない事だから!」

「そういう事か・・・まぁ護衛はするがまずは俺の買物を優先させてもらうぞ?」

「勿論!じゃあ早く鍛錬をして寝よう!明日が待ち遠しいよ!」

「わかった。」

サミュエルと並んで鍛錬をして一緒のベッドで並んで寝る。

今までは寝袋を広げて掛け布団にしていたのだが、今日は下もふかふかで掛け布団も奪い合いが起こる訳が無いほどに大きい。

「(枕がふかふかだ!)」

心地よくて一瞬で意識が離れる。



「あぁいい朝だ!誰か!?早く朝食を!」

「はっ!ただ今呼んで参ります!」

上機嫌なサミュエルの声と返事をする兵士の声で目を覚ます。

窓から外を見るが外では山の頭から日が覗き始めた頃で早朝にも程がある。

「サミュエル・・・こんな時間からはしゃぐともたないぞ?」

「大丈夫!明日からは授業中寝てもニコのノートがあるだろ?」

目を擦りながら忠告をするがサミュエルはドヤ顔で無茶苦茶な事を言って来る。


「お前・・・鉄クラスに紛れてノートを写すのか?」

「鉄クラスとの交友も必要だろう。」

なぜかサミュエルが覚悟を決めている。

そんな馬鹿話をしているとメイドがノックをして朝食を運んでくる。


「こんな時間なのに朝飯があるのか・・・」

「サミュエル様が食べられるとシェフが気合を入れていまして・・・ニコ様こちらがレシピで御座います。」

配膳をするメイドを見て感心しながら言うとメイドが淡々と答えながら配膳を済ませて一枚の紙を手渡してくれる。

紙を広げると昨夜のステーキソースだけではなく色々なソースのレシピが所狭しと書かれている。


「これはありがたい。」

「サーシャ?大儀だ。」

「勿体無いお言葉です!では失礼致します。」

俺が広げてレシピを見ているとサミュエルが覗き見てメイドに言うと昨日から無表情だったメイドが頬を染めながら恭しくお辞儀をして出て行く。


「これは・・・ステーキソースかい?」

「そうだ。昨日の晩飯で驚いたので駄目元でお願いしたんだ。」

「それは本当に大儀だね!ニコの料理が更に楽しみになった!」

「安請け合いしたがお前が一緒に食べてターニャやマットとロジェ達が大人しく飯を食べるのか不安になってきた。」

あいつらは大はしゃぎするか萎縮して食べられないかのどちらかになりそうだ。


「ハハハ!とりあえずは今日を楽しもうよ!」

「そうだな・・・だが早く朝飯を食べたからって早く王都に行けるわけじゃないぞ?」

朝飯を口に詰め込むサミュエルに言う。

「(今日は中々大変な一日になりそうだ。)」

目をキラキラと輝かせて口いっぱいに頬張って朝飯を食べるサミュエルを見て思わずそんな事を考えながら椅子に座って朝飯を食べる。

面白いと思ったり続きが気になると思った方は評価や感想を頂けると嬉しいです。

もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。



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