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第三話 娘は帰宅する

「ルルさん!?大丈夫ですか!?何があったんですか?」

「ヌァッハッハッ!魔法で耕そうと思ったら無理であったわ!」

ルルさんが頭をポリポリとかいて言います。

大人二人分のクレーターを作るような爆発の爆心地にいたのに・・・やはりルルさんは、魔族さんはすごいです。



「では二人で耕しましょう!」

「そうだな!こういうのもいいものだ!」

背中の二コちゃんをあやしながらエドさんが作ったクワを振って畑を耕します。



「おぎゃあぁぁぁぁ!」

二コちゃんが泣き始めます、初めてニコちゃんの泣き声を聞きました。

オムツは綺麗なのでお腹が減ったのでしょう。

「飯か?さぁ飲め!飲め飲め!」

困っているとルルさんが赤い液体を二コちゃんに飲ませています。

「・・・ルルさん?その赤い液体は何ですか?」

「ん?母乳が無いのでな!ドラゴンの血で代用しておるのよ!ドラゴンの血は万能食材なのだ!ヌァッハッハッ!」

二コちゃんは笑顔で飲んでいますしイケメンのルルさんが二コちゃんに飲ませているのはとても絵になっていて、思わず見惚れてしまいます。


「よし!お腹いっぱいだな?じゃあシェリー頼んだ!」

「わかりました!」

ルルさんからお腹いっぱいになって寝たニコちゃんを受け取って、おんぶ紐で固定して畑を耕します。

「(ここに永住すると決めてこうやってずっとルルさんと一緒に色々するのもいいかもしれませんね・・・)」

そんな考えが頭をよぎったりしながらルルさんと並んでクワを振り続けます。



「ルル?製材してくれる?」

「ん、これ設計図。」

クネさんとエドさんがやって来てルルさんを連れて行きます。

「(そうだった・・・二人きりじゃなかったんだった。永住は無しです!)」

すっかりと自分の世界に入っていたと反省して、ルルさんの後姿を見送って二コちゃんのオムツを替えたりしながら、クワを振り続けます。


「シェリーちゃん!ご飯作ろう?」

「はい!喜んで!」

食材探しを終えたハッピーさんがやって来て料理に誘ってくれました。

「よいしょっ、と。」

ハッピーさんがカマドまでの道すがらに足の鉤爪で切り株を掴んで力任せに引っこ抜いています。

根っこが引っ付いて切り株があった場所には大穴が出来ています。

全然よいしょとしている感じは無く簡単に・・・本当に道すがら片手間に引っこ抜いています。



「ハッピーさん力持ちですねぇ?」

「そんな事ないよぉ?あっちの三人なら草を抜くように引っこ抜くよ?」

ハッピーさんはそう言いますが、私には十分ハッピーさんも草を引っこ抜くように見えます。




カマドに着いて魔法で火を点けます。

「馴れたもんだねぇ?」

「はい!と言ってもまだ火を点ける魔法しか使ってませんけど。」

「じゃあ鍋に魔法で水を入れてみて?」

「わかりました!」

鍋に水が入るイメージで魔法を発動させます。

空中からちょろちょろと水が出始めました。


「上手上手!量の調節は出来るかな?初めてじゃ無理かなぁ?」

ハッピーさんが笑顔で言うので頑張って水の量を増やします。

イメージは見えない水桶を傾けて水を入れます。

「おぉ!本当にシェリーちゃんはすごい魔法師になれるかもね?」

上手くいってハッピーさんが驚いています。

ですが私は魔法の制御に集中しているので何も反応することが出来ません。

鍋に水を入れ終わって魔法を終わらせます。

「よし!じゃあスープ作ろっか!」

「そうですね!」

ハッピーさんと料理を作って行きます。

エドさんが作った包丁やトングといった調理用具はどれも使いやすくて、是非持って帰って家でも使いたいほどです。



「腹が減ったぞぉ!」

「さぁ、今日も楽しみね。」

「ん、昨日のスープは美味しかった。」

なぜか料理が完成すると同時に三人がやってきました。

「はいはーい!今日は色々なスパイスを入れてますよー!」

ハッピーさんがスープをよそってみんなに配って夕食が始まります。


「おぉ!?昨日よりも更に美味い!」

「ルル?二コのご飯はいいのかしら?」

「ん、ルルが世話するって約束。」

「ぬ?わかっておるわ!シェリー?二コを貸してくれ!」

ルルさんに言われておんぶしている二コちゃんを渡します。

二コちゃんは大人しくて全然泣かないので背負っているのを忘れてました。

ルルさんに渡すと当然のようにドラゴンの血を飲ませて、二コちゃんは笑顔でそれを飲んでいます。



「(魔物の血肉を食べると魔力が増えますが、こんな小さい時からドラゴンの血・・・どんな風に育つのでしょうか?)」

想像もつきません。

「ぬ?便をしておるな・・・ハッピー頼む!」

「・・・ルル様?ルル様が世話をなさるのでは?」

「ハッピー・・・頼みたいのだが・・・駄目か?」

「ルル様にそう言われて断わる勇気はありませんね・・・」

そう言ってハッピーさんが少し離れた所で二コちゃんのオムツを替え始めます。



「シェリーちゃんニコちゃんお願い。」

「はい!」

そう言って虚ろな目をしたハッピーさんからニコちゃんを受けとると、オムツを持って真っ暗な森の中に消えて行きます。

多分川でオムツを洗いに行ったのでしょう。



「あぁ美味い!美味いなぁ!」

「そうね。これだけでもシェリーに来てもらった甲斐があるわね。」

「ん、美味しいご飯はやる気も出る。」

三人がうんうんと頷きながら野菜スープを飲んでいます。



そのまま夕食を食べ終わり家に入ります。

驚いた事に昨日建てた家の隣に家が建っていました。

クネさんとハッピーさんの家だそうです。

「ん、あたしは向こうに建てたからそっちに帰る。」

そう言ってエドさんは森の奥へと消えて行きます。


「なぜ近くに建てなかったんでしょう?」

「エドは錬金作業に水がいるとかで川の近くにしたのだ。」

「なるほど。」

「では我らも家で寝よう!」

そう言ってルルさんと家に入るのですが、大変な事に気付きました。


「(イケメンのルルさんと一つ屋根の下で二人っきりです!)」

これは間違いがあってもおかしくない状況です。

ドキドキが止まりません。

「では魔力の鍛錬をして寝るぞ?」

「はい・・・」





何事も無く朝を迎えました。

ニコちゃんは夜泣きも無くとても世話がしやすい赤ちゃんです。

「ルルさん?私が幼すぎるからでしょうか?」

「ん?何がだ?」

ニコちゃんにドラゴンの血を飲ませているルルさんに思わず聞いてしまいました。


「いえ・・・なんでも無いです。」

「ふむ?まぁよい!では今日も作業を始めようぞ!」

「わかりました!」

「では・・・今日は何を教わろうか?」

「・・・これと言って私ではもう思いつかないんですよね・・・」

もう私みたいな子供では教えられる事は思いつきません。


「なら、親も心配しておるだろう!家まで送ろうぞ!」

「あの!出来れば・・・もう少しだけ魔法とかの事を教えて欲しいです!」

「ふむ?シェリーがいいのなら喜んで教えるが帰らんでもいいのか?」

「おそらく問題ないかと!」

私はもう心配してませんが、ルルさん達の事を知らない両親は恐らく私は戻ってこないと思っているでしょう。

なので一週間くらいここにいても問題ないはずです。




「では朝食を作って来ますね?」

「おう!頼んだぞ!」

ニコちゃんを背負って家から出てカマドに火を点けてハッピーさんが家から出てくるのを待ちます。






-一週間後-

みっちりと魔法の事を教えて貰って森の出口までルルさんに送ってもらいました。

魔物肉も毎日食べて魔力が増えたのも実感できます。

「では達者でな?」

「はいありがとうございました!」

「ヌァッハッハッ!お礼を言うのはこっちだ!」

「では!」

ルルさんに手を振って森から出ます。

笑顔で手を振るルルさんはやはり絵になります。

「(街に出て冒険です!そしてルルさんよりイケメンと結婚です!)」

家への道中そんな事を考えながら歩いていると川で洗濯をしていた母様が私に気付いて涙を浮かべています。

「帰りましたぁ!」

私を見て喜ぶ母様の胸に飛び込みます。

面白いと思ったり続きが気になると思った方は評価や感想を頂けると嬉しいです。

もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。


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