第百四十九話 王都防衛戦 下
誤字報告頂きました!
ありがとうございます。
何度も何度も確認しているつもりなのですが、誤字だらけで申し訳無いです。
まだまだ拙い文章ですが完走目指しますので皆様これからよろしくお願い致します!
北門に到着すると、フィルとセルジュとウラン達が一体の魔物と死闘を繰り広げていた。
外壁の上にはオーガジェネラルとの戦いを騎士と冒険者達が手出しできないのか呆然と眺めている。
「へぇ?オーガジェネラルってあんなんなんだ?」
「でかいオーガって感じだな?」
俺もアランもオーガジェネラルを始めて見るのでじっくりと観察する。
まず元になるオーガはオークと同じくらいの背格好なのだが、頭に角が生えオークとは比べ物にならない程怪力で硬い皮膚を持つ魔物だ。
その上位種のオーガジェネラルはそのオーガを更に一回り大きくした魔物だった。
ウランはオーガジェネラルを咥えて噛み切ろうとぶんぶんと頭を振っているがオーガジェネラルは全く意に介した様子は無く、冷静な様子で組んだ手を振り下ろしてウランの鼻を何度も叩いている。
「ぬぁぁぁぁ痛いのじゃ!鼻は駄目なのじゃ!」
ウランは堪えきれずに口を開いて叫びオーガジェネラルは何事も無かったかのように地面に着地する。
「グレードドラゴンが噛み付いて傷一つ無いなんて・・・かなり硬いようね?」
「そうだな。」
グレードドラゴンであるウランが噛み付いても平然としているのを見たはずのフィルとセルジュがオーガジェネラルに斬りかかっている。
グレートドラゴンの牙が通らなかった皮膚に人間如きの剣が通る訳がない。
もう少し頭を使って欲しいものだ。
「ねぇルドルフどうするの?」
「ああいう生物は内部から破壊するしかないだろう?ティラノサウルスのようにな!」
アランの問いに答えながら外壁から飛び降りる。
風魔法でしっかりと減速しながら着地をしていると隣でアランがドスンとすごい音をさせながら着地する。
「しっかりと減速しないと膝を壊すぞ?」
「む・・・そんなズルしてたのね?」
「ズルじゃない。当然の処置だ。」
アランが俺の着地を見て何やら言っているが、俺は当然のことだと思ってやっていたので思いつかないアランが悪い。
一つ溜息を吐いてオーガジェネラルへと地面を蹴り出す。
「ウラン大丈夫か?」
「ルドルフ待っておったのじゃ!こやつ硬すぎて顎が疲れたのじゃ!しゃぶってても味は出てこんし辟易しておった所じゃ!」
ウランは軽口を叩いているので問題無さそうだ。
「ジャーキーみたいな扱いをしてる割には苦戦してるな?こいつを拘束して口を開けられるか?」
「任せるのじゃ!皆の者!ラストスパートなのじゃ!」
俺の言葉に水竜達が一斉にオーガジェネラルを襲う。
オーガジェネラルはたまらず地面に倒れ、両手両足を四体の水竜が巨大な爪で押さえ込み、すぐにウランが巨大な爪を器用に使ってオーガジェネラルの口をこじ開けてくれる。
「ゴァッッッ!?ゴァァァァァァァッ!!ゴァァァァァァァッ!!」
オーガジェネラルが怒声を上げながら身をよじって暴れているが、水竜達の爪はオーガジェネラルの四肢を地面にしっかりと縫いつけているので拘束が解けそうな気配は無い。
「(それにしてもグレードドラゴン五体を使って押さえつけるなど贅沢な使い方だな・・・)」
そんな事を考えながら魔法を発動させつつオーガジェネラルを抑え込む一体の水竜をのぼる。
「頭を借りるぞ?」
「どじょ!」
一応断わってから水竜の頭を踏みつけてジャンプする。
オーガジェネラルの真上まで飛び上がり、無理矢理開けられた口の中に向かって雷の槍を撃ち込む。
「ゴァァァッァァァァッァァァァァァッッッ!!」
雷の槍はしっかりとオーガジェネラルの口の中に刺さり、先程の怒りのとは違う苦しみの咆哮を上げ始める。
先日狩ったティラノサウルスに流した雷魔法の倍は魔力を使っているはずなのに、即死せずに耐えている。さすがはオーガジェネラルと言ったところだろう。
「ルドルフゥゥゥゥゥ!手が・・・手がビリビリするのじゃ!」
「さすがにしぶといな。我慢できないか?」
「我慢するのじゃぁぁぁ!」
「今までの竜達は寝ている表情か怒っている表情しか見た事ないから新鮮だな。」
余程痛いのだろう、ウラン達は痛そうに顔を顰めている。
表情豊かなグレートドラゴンはとても新鮮である。
ウランと話している間もオーガジェネラルはウラン達に抑え付けられていて動けないまま、悲鳴のような咆哮を北門に響かせ続けている。
「まだ生きてるのか・・・」
「しぶといわね?」
「だが声は弱くなってきているぞ?」
フィルとアランと話しながらオーガジェネラルを眺め続ける。
一分以上経ち、オーガジェネラルの声が止む。
「終わった・・・かの?」
「念を入れよう。俺が球を入れたらみんな一斉に離れろ?」
動かなくなったオーガジェネラルの口に刺さった雷の槍を解除し、アランの魔法を真似して水色の光球を作り出す。
「わかったのじゃ!」
周りの水竜達がウランの言葉に同調して頷くのを確認してオーガジェネラルの口の中に光玉を放り込むとオーガジェネラルは一切抵抗する事無く凍り始める。
念のためにオーガジェネラルから目を放さずにバックステップでその場から離れる。
「よし!じゃあ次行こう!」
数分凍ったオーガジェネラルが動かないかとみんなで確認しているとアランの声が聞こえる。
アランは水竜の上に乗って西門の方向を掲げた右手で指して格好つけていた。
「(確かに竜に乗って移動なんて場面は無いから魅力的だな・・・)」
先を越されてしまったと悔しい気持ちがふつふつと湧き上がってくる。
「次だと?お前もルドルフもいると言う事は南も西も終わったんじゃないのか!?」
「風竜が西の温泉施設を破壊して温まっている。」
「それじゃ足りないって・・・」
フィルが当然の疑問を言うので俺が簡単に説明をする。
呆れた様子のアランがウランとフィルに補足説明をしてくれる。
「では行くぞ!王都を救いに!」
すぐにアランからの説明を聞き終わったフィルが妙に表情をキリッとさせてウランの背中でポージングして剣を掲げている。
フィルの英雄譚の挿絵にあんな感じのがあったような気がする。
確か挿絵は前足を上げて嘶く馬だったと思う。
そんな事よりもフィルにまでやられてしまったら二番煎じどころか三番煎じなど格好悪すぎて出来なくなってしまった。
「オーガジェネラルだったか?先程の魔物でいい所を見せられんかったから風竜はわらわに任せるのじゃ!」
「・・・大丈夫なのか?お前攻撃魔法が苦手と言ってなかったか?」
俺がポーズを決め損ねたと後悔しているとウランが任せろと、前足で胸を叩きながら言って来る。
「同じ竜ならば生きてる年月と戦闘経験が物を言うのでな?生まれたばかりの赤子じゃろ?文字通り赤子の手を捻ってやるのじゃ!」
「それは楽しみだ。」
ウランが自信満々に言ってきて、水竜の一体が俺に向けて乗れと言わんばかりに背中を向けて地面に座り込む。
ありがたく水竜に乗るとすぐに西の温泉施設に向かって飛び立つがフィルはウランの背中に乗ったままだ。
これからウランは風竜と戦うと言っていたのに大丈夫なのか心配になるが、当のフィルは楽しそうにウランと話しながら飛んでいるので問題無いのだろう。
フィルの恋路の邪魔になってもいけないし何も言わないでおこう。
「リュ!リュドリュフしゃん!」
「どうした?ウラン以外が喋るとは珍しいな?」
西の森へと飛んでいると俺が乗っている水竜が舌足らずな滑舌で話しかけてくる。
「ありゃっ!ありゃっ!ありゃしっ!」
「落ち着け。」
「ありゃしをちゅりぇっちぇっちぇ!」
「・・・あたしを連れてって、と言ったのか?」
水竜が口角を上げてニパッっと牙を見せながら目を細めて何度も頷く。
竜が笑っている表情も始めて見たが中々愛嬌のある顔だ。
「今日夕食も食べて帰るんだろう?その時でもいいか?」
別に連れて行くだけならば問題無いのだが、水竜達の言葉を鵜呑みには出来ない。
「(嫁として連れてってと言う意味かもしれんしな・・・)」
とりあえず後でウランを交えて詳しく話をするべく提案すると水竜は先程と同じ笑顔のまま頷き続けているのでそれで問題無さそうだ。
そんな話をしているとすぐに風竜が眠っている温泉施設が見えてくる。
「ふん!やはり赤子よの!わらわが近づいても気付かんと寝ておるわ!主らは手出し無用!わらわの戦いを目に焼き付けておくのじゃ!」
ウランの声が聞こえ、周りの九体の水竜達は風竜からまだまだ離れた場所で止まる。
直後ウランが身をよじったかと思うと、急加速して回転しながらとんでもない速度で風竜へと飛んで行く。
「(背中にフィルが乗っていたと思うが大丈夫か?)」
俺は心配して見ていると、ウランの接近に気付いた風竜が慌てて飛び立ってウランの突進を避ける。
「さすがは風竜中々すばしっこい様じゃの?じゃがそれだけじゃのう・・・」
風竜がギャアギャアとウランに威嚇をしているが、ウランはつまらなさそうに言って再度地面を蹴って風竜へと突進する。
風竜がウランを避けようと飛び始めるがすぐに見えない壁にぶつかって空中で尻餅をつくと言う不思議な光景を目の当たりにしてしまう。
「ねぇ?あれ結界?」
「ウランは結界が得意と言っていたし、そうだと思うぞ?」
ウランがいつ発動したかもわからなかったが、見えない壁にぶつかってそのまま空中に尻餅をついて仰向けのままバタバタと暴れる風竜を見ながら隣を飛ぶ水竜に乗るアランと話す。
ウランはそのまま暴れる風竜の首に噛み付き、そのまま前足で風竜を掴んで頭を引き抜くように胴体から離す。
竜同士の戦いを始めて見たがここまで圧倒的なまでの差があるのかと驚く。
ちなみにだがフィルは顔の穴と言う穴から液体を垂れ流しながらウランの羽にしがみ付いているのが見える。
「あれ?もう終わったの?」
「のようだな?今日はあれで夕食にしよう。近づいてくれるか?」
物足りなさそうにアランが言う。
確かに呆気無さ過ぎて驚いたが何事も無く狩りを終えるのは良い事である。
水竜にお願いするとすぐに地面へと降りるウランの下に飛んでくれる。
地面に降り立ち、さっさと風竜を適当に解体して時忘れのマジックバッグに入るだけの肉を切り出す。
「終わったか?」
「あぁ。マジックバッグに入る分と今日の夕食分は確保した。」
肉の切り出しを終えるとフィルが声を掛けてくる。
フィルは目と鼻が真っ赤で自慢の口髭は風によってか逆立っている。
フィルは満足そうに頷いてウランへと颯爽と乗り込む。
「なら・・・ウラン殿お願いする!」
「わかったのじゃ!」
ウランが風竜を後ろ足で掴んで王都へと飛んでいくので俺は夕食を作るために焚き火を熾す。
水竜達はよほど俺の料理が楽しみなのか、人間の姿に変化して謎のダンスをしながら俺の周りをグルグルと回り始める。
面白いと思ったり続きが気になると思った方は評価や感想を頂けると嬉しいです。
もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。




