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第十四話 リオルゲン出発

初評価頂きました!

お祝いにカレー鍋を作っていたら投稿遅れました。


縛った人間達を森の入口に寝かし、念のために魔法障壁で囲んで村へと戻る。

村へと戻る道中、首を切り落とされたミノタウロスを運ぶ人間達を追い越す。

「(見事な切り口だ。おそらくジャック達が倒したのだろうな。)」

そんな事を考えながら村へと向かう。



ジャック達の反応へと向かうと場所は冒険者ギルドだった。

中を覗きこむとジャック達がアマンダと険しい顔をした壮年の男性と話している。

主にジャックが話しているので暇そうにしているブランとジャックの服を引っ張る。

触れたことにより二人だけには認識阻害魔法が解除され俺を認識出来る様になった二人が驚いた顔をするがすぐに真顔になり、ブランとグレイが頷きあう。

「ニッグさん?俺達は少々気になることが出来ましてね?」

「そ、そうですね捜索魔法(サーチ)に少々気になる反応がありましてね?」

「なんだと?そっちを優先してくれ!報告は明日でいい!」

「ジャック?行くぞ!」

「お?おう!」

ブランとグレイがニッグという壮年の男性に声をする。

ジャックは一瞬思案顔になるが何か納得した顔をしてすぐにブランとグレイに付いてギルドから出て行く。



村の外に出たのでジャックにも触れて魔法を解除する。

「おぉ!やはりニコ君いたのか!?」

「先日行った森の中に兵士四人とテイマーらしき女性を縛ってある。」

「ほう?大手柄じゃねぇか!」

「そうですね?支部長とアマンダが従魔かどうかこれから徹夜で調査すると言ってましたからね。」

「テイマーがいるのなら尋問すれば済むしな!」

「あとは任せてもいいか?」

「「「了解!」」です!!」

「そうだ念のために魔法障壁を張ってある。解除呪文はリベレイションだ。」

「ニコ君はそんな事まで出来るのか・・・」

ジャック達はそれ以上何も言わずに月明かりの平原を走って行く。



村に戻ると村の中は日が暮れているというのに通りには松明が設置され、色々な人間が行き来して喧騒で溢れている。

だが子供は見当たらないので、俺がこの場にいるのは非常識なのだろう。

大人しく宿に戻って寝る事にする。

「(これだけ大騒ぎになってキャラバンは出発するのだろうか?)」

そんな事を考えながら魔法を解除して宿へ入る。


「よかった!無事だったんですね!」

宿のスイングドアを通ると、店員の女性に抱きしめられる。

「ん?どういう意味だ?」

「冒険者だって聞いてたからミノタウロスと戦いに行ったのかと・・・」

「俺みたいな子供がそんな無謀な事をする訳がないだろう。」

「そ、そうですよね!」

「じゃあ俺は寝たいのだが?」

「あ、ごめんなさい!」

女性に解放され自分の部屋へと戻る。



魔力の鍛錬を忘れずに行い、布団に入る。

松明の明りで部屋が照らされ少々明るく、外が少々騒がしいが布団の力は偉大だ。

すぐに眠りに着くことが出来た。




「ニコ君?ニコ君?」

ジャックに揺さぶられて目を覚ます。

「ん?おはよう。」

ジャックは目の下に(くま)が出来ている。

恐らく徹夜で昨夜の後始末をしていたのだろう。


「昨日はお手柄だったからお疲れだろうがキャラバンが出発するぞ?」

「ん?あんな非常識な事があったのに予定通りに出るのか?」

「あぁ、ニコ君に強化されたおかげで俺達が村に被害が出る前に片付けられたからな!それに黒幕も捕まえたしとりあえずは一件落着よ!」

「それはよかった。」

「あとミノタウロスの討伐報酬を急ぎで貰ったぞ?」

ジャックが金がたくさん入った袋を渡してくる。


「お前らの金だろう?」

「ハッハッハッ!俺達はあとで素材代金を貰うから気にすんな!」

「ふむ。ならありがたく頂こう。」

「子供は素直が一番だ!」

ジャックに渡された袋をマジックバックに入れるとジャックが嬉しそうに言う。


「じゃあ出発すんぞ!」

「わかった。」

ジャックに付いて宿を出て村を進む。

「ブランとグレイはいないのか?」

「あいつらは後始末をしてる。あいつらも来たがってたが抜けられんでな・・・」

恐らくジャックは俺のために無理矢理抜けて来てくれたのだろう。

キャラバンの乗合い所に着き、ジャックが前に預かった木の板をジャックに渡すと走って行く。


しばらく馬車に乗り込む人々を見学しているとジャックが戻ってきて、促されるままにたくさんある馬車の中の一つに乗り込む。

後ろから乗り込む、幌馬車という構造の馬車だったと記憶している。

「じゃあニコ君最後にこれを!」

ジャックが馬車の中にパンパンに詰まった背負いカバンを投げ入れる。

中を開けて見ると調理道具やポットなどの道具が入っている。

「なんだこれは?」

「ニコ君?人前でマジックバッグは使わない方がいいぞ?」

「なるほど・・・最後まで世話になりっぱなしだな。」

俺がそう言うと恥かしそうにジャックが頭を搔く。


「それは我々の言葉だぞ!王都に行った時は学校に会いに行くからな!」

「待ってる。」

「じゃあ出発を見届けたいが・・・俺はここまでだ。」

「すまんが俺の代わりに後始末を頼んだ。」

名残惜しそうにジャックが手を振りながら去って行く。

「(出会ったのがジャック達で本当に良かった。)」

そう思いながらジャックの姿が見えなくなるまで手を振る。





本を読みながら馬車の中で待っていると、馬車が動き始める。

「ん?俺一人なのか?」

前方の窓から馬を操る好々爺といった様子の白髪で眼鏡をかけた爺さんに話しかける。

「ふぇっふぇっふぇっ心配すんなこれから増えるで!」

「ふむ。まぁ一人ならゆっくりと勉強が出来るな。」

「おう!好きに過ごしてな?少なくとも三日間はお前だけの貸しきり便だで!」

三日後には人が乗ってくる可能性があるらしい。



馬車は遅い、そしてとてつもなく揺れる。

本を読んでいるときに揺れると、体が宙に浮き本と自分の顔がぶつかる。

椅子は木なので硬い・・・尻も痛くなってきた。

「(自分の足で走ればこんな思いはしなくても・・・)」

何度も頭をよぎるが、子供が道を走るのは非常識だ。

だから俺はじっと耐えて本に集中する。


日が暮れると馬車は道を外れ老人が馬を木に縄で止め料理を始める。

焚き火の準備をして石を何度か打ち付けると火がおこる。

「爺さん?その石はなんだ?」

「火打石だ!こうやって打ち付けると火花が出るだよ!」

「ほう?便利な道具だな。」

「俺はフィリップだ!お前さんは?」

手際よく料理しながら老人が言って来る、フィリップと言う名らしい。

「ニコだ。」

「ニコか、良い名前だで。お前さんは何をしに王都に行くんだ?」

「学校に行くためだ。」

「ほう?家名がないと言う事は貴族じゃねぇだな?金持ちの息子か?」

「いや、育ててくれた爺ちゃんが頑張って貯めた金で行く。」

「そうかそうかいい爺ちゃんだな!ほら食え!」

笑顔のフィリップにコップに注いだ野菜スープとパンを渡され他愛もない会話をしながら一緒に食事をする。




食事を終えるとフィリップは簡易型の小屋を建て始める。

「ほう?便利だな。」

「テントだでよ?お前さんは本当に山奥で育ったんだな?」

「そうだ。だからかなり常識的な知識が足りてない。」

「ふぇっふぇっふぇっ!なら学べる事が多いってこった!良い事だで!」

「そういう考え方も出来るのか。」

「何事も前向きに考えて前に進む方が楽しい生き方だでよ!さぁ寝な!」

フィリップに促されるままに立て終わったテントの中に入って寝袋に入る。

フィリップは外で後片付けをするようだ。


「(心地よい・・・やはりジャックのアドバイスは正しいな。)」

布団には劣るものの寝袋はとても気持ち良くすぐに寝入る事が出来た。




翌朝朝日に照らされて目を覚ます。

目を開けるとフィリップがテントの入口を開けて立っていた。

「ほら!起きて朝食にするだよ!」

「わかった。」

目を擦りながら寝袋をマジックバックに入れてテントから出ると、フィリップは夜が明ける前から作業をしていたのだろう朝食が出来ていた。

フィリップは俺に朝食を渡してすぐにテントを片付けたり馬の世話をしている。


「(働き者だな・・・)」

何か魔法で体を動かしているのか?そう思うが魔法を使っている気配はない、恐るべき作業量である。

俺が朝食を終えると鍋などの片付けも終わっており、俺が使った食器を近くの小川で洗って、老人とは思えない身のこなしで馬車に乗り込む。


「ニコ出発するでよ!乗り込めぇ!」

「わかった。」

俺が馬車に乗り込むのを確認したフィリップが縄を一振りすると、馬車が動き始める。



どうしても気になるので窓からフィリップに声をかける。

「フィリップは冒険者だったりしたのか?」

「ふぇっふぇっふぇっ!どうしてそう思う?」

「身のこなしが軽やかすぎる。」

「昔は金級冒険者としてブイブイ言わせてただよ!」

「合点がいった。」

「お前さんも見所があるでよぉ?頑張れよぉ?」

「元金級に言われるとは嬉しいな。」

「ふぇっふぇっふぇっ!」

フィリップは楽しそうに笑って馬車を進めるので、俺もこれ以上仕事の邪魔をしては申し訳ないと思い本に集中する。

面白いと思ったり続きが気になると思った方は評価や感想を頂けると嬉しいです。

もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。

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