↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/246

第百三十一話 新しい家具の使い心地

「おはよ!」

「扉の施錠をしてもこうなるのか・・・」

気持ちよく寝ていたのに、当たり前のようにアランが部屋に入って来て起こされる。

「おはよ」と言ってるが部屋の中も外もまだ真っ暗だ。

俺が状況を確認していると当たり前のように俺が寝ている布団の中に入ってくる。



「おはよ!もう寒いねぇ?」

「煩い。部屋に入っていることにも納得いってないんだ。ベッドにまで入ってくるな。」

「昨日ニコのために働いたんだからこれくらいの御褒美が無いと!」

「働いただと?何をしたんだ?」

アランは当然の様に俺を抱き枕にして気持ち良さそうに目を閉じる。

聞き返すのだがアランはすでに寝息を立てて気持ち良さそうに寝ていた。

「(寝つきがいいにも程があるだろう・・・)」

アランに呆れながらも、俺も昨日はあの後アイリーンの魔道具も作って寝たので、かなりの魔力を使ってまだまだ疲れが残っている。

俺も目を瞑るとすぐに意識が夢の中へと戻って行く。



「敵襲か・・・?」

息苦しさを感じて思わず目を覚ます。

必死に目覚めたばかりの頭を働かせて状況を確認しようとするが、呼吸が上手くする事が出来ない上に身体が動かないどころか感覚も無いことに気付く。

パニックを起こしかけながらも必死に状況を確認する。

「アランの攻撃だったか・・・」

アランが俺の体を万力のような力で抱き締めているせいで体は動かないし、呼吸もままならないようだ。

アランからなんとか脱出して再び寝入る。




「あーよく寝た!」

「やはりお前と同じ布団はごめんだ。」

朝日が差し込み部屋の中が明るくなった頃、アランが起きて気持ち良さそうに伸びをしている。

俺はベッドの端と端に別れて寝たはずのアランに何度も抱きつかれて起こされては脱出を繰り返し今まで経験した事の無いとても不快な睡眠だった。



「で?何をしに来たんだ?俺の睡眠を邪魔しに来ただけなら・・・王都の外までぶっ飛ばすぞ?」

「違うって!」

ベッドから降りて普段着に着替えながら言うとアランが慌てて上目遣いで寄ってくる。

こういう時は大体褒めて欲しい時なのだが、何をしたかもわからないのに褒めることは出来ない。


「昨日あの後ね?サミュエルがアレク王にニコが作った魔道具を見せてね?城の中は大騒ぎよ!」

「ほう?この魔道具は非常識なのか?」

「まぁ積層魔法陣を刻める人間は見た事ないかなぁ?まぁあれよ!あたしが魔力付与を見せた時と同じようになってたから、製作者の説明とかあたしが上手い事有耶無耶にしといたよ?」

「そういう事なら・・・ただ連結魔法陣だ。」

アランが上目遣いのまま頭を突き出してくるので、しっかりと間違いを正しつつ撫でておく。

アランはだらしなく表情を緩めているが、俺に撫でられて何が嬉しいのかさっぱり理解が出来ないが喜んでいるのでこれで労いになっているようだ。



「なら今朝の仕打ちも不問にしておこう。」

「じゃあこれから毎週休みの日は・・・」

「休みの日にこの部屋で寝ている事の方が少ないぞ。」

「ちっ!じゃあ朝食食べたい!」

アランが何やらブツブツと呟き出すので、俺はしっかりとアランに言っておく。

今週はサミュエルとの王都観光があったからこの部屋で寝たが、普段はギルドで依頼を受けて森で寝ているのでこの部屋には居ない。

なので問題無いのだが、ふと俺がいない時にこの部屋に入って来たアランを想像すると、そのまま勝手に俺の布団で寝始めるアランが浮かび上がったのでしっかりと釘を刺しながら朝食を取り出して二人で食事をする。


「で?今日は何すんの?」

「これから家具が届くはずだから、荷物の整理とフォルナとウィンストンの魔道具作りだな。」

「暇だし手伝ってあげる!」

「好きにしろ。」

出来れば今すぐに出て行って俺一人でゆっくりとしたいのだが、アランは意地でも自分の我侭を通す人間だ。

本音を言えば「別にいらない。」と言いたいのだが、そういう事を言うとアランは大体拗ねて面倒臭くなる上に結局は手伝ってもらう事になる。

今までの経験上、俺も学んでいるので不本意だがアランの見学を許す。


「ただアラン?」

「ん?何々?」

「いつも感謝している。だがお前が秘密を言わない限りは信用しないからな?」

「んふふ!いつか喋るんじゃない?」

俺の言葉にアランは楽しそうに笑いながら軽く言って来る。

正直アランは謎の言動が多すぎていまいち信用しきれない。

いつも俺に言い寄ってきているのもハニートラップでは無いと言う保証は無いのだ。


「(まぁもしアランがハニートラップとすればこいつの行動は御粗末としか言いようがないが・・・)」

ついこの前も俺の保存食作りを邪魔したいだけ邪魔して酔い潰れたり、今日も俺が寝ている所に押しかけてきて、大変不快な睡眠をプレゼントされた。

色々と助けられているのは事実だが、合算するとプラマイゼロ・・・むしろマイナスな気もしてくる。

俺はあれこれと思考を巡らせながらフォルナ用の魔石に火属性の魔力入れているのだが、床に両肘を付いてニコニコと俺の作業を眺めているアランは何を考えているのやらさっぱりわからない。



「(疑ってるこっちが馬鹿みたいだ・・・)」

思わずそんな事を思いながらフォルナ用の魔石が透明になり赤く色づき始めたので一気に魔力を流して魔石の状態を安定させる。

「それでねぇ?あ、作業しながら聞いて?アレク王にはこの魔道具は魔石の調達もあるし作業も綿密でとても大変だから一個三千万って言っといたよ?この値段ならそうそう注文はこないっしょ!」

俺が魔法陣を描いているとアランが床に寝転んだまま言って来る。

この魔道具で使っている魔石達はギルドで売れば百万から二百万だったはずなので、十倍以上の技術料を乗せているようだ。

さすがは魔力付与をするのに一生遊べる金を要求する女だ。ドン引きするほどのぼったくり料金設定である。


「ニコ?なんか失礼な事考えてるでしょ?ってかね!それくらいの設定にしておかないと方々から一生かかっても終わらないような数の依頼が来るのよ?あんたはそこらを考えて・・・お客さんだ!」

俺が余程分かりやすい顔をしていたのだろう。

アランが怒り始めるが、俺の心を読んでいるのかと思うほどに的確である。

話している途中で扉がノックされ、アランが立ち上がるので思わず助かったと溜息が漏れる。


「アラン?おそらく家具が届いた。この札を渡して受け取ってくれ。」

「はいよ!」

俺が引換え札を渡すと、アランは足取りも軽やかにとても嬉しそうに扉を開けて応対し始める。


「ニコ?どこに置く?」

「任せる。」

「え!?いいの?わかった!」

魔法陣を描いていると応対を終えたアランが聞いて来る。

俺は今間違いが許されない作業をしているので、アランに一任するとアランはすぐさま鼻歌交じりに部屋の模様替えを始める。


「・・・となるとベッドの位置が悪いわね・・・にしてもこの布団本当に気持ちいいわね・・・」

そんな事を言いながらアランが後ろでゴソゴソとベッドを移動させてからカサカサと衣擦れの音が聞こえるおそらく布団に寝転がったのだろう。

俺が今魔法陣を描くのに一杯一杯なのをいい事にやりたい放題である。


「おいアラン?」

とりあえず一つ目の魔法陣を描き終えて声をかけるが返答は無い。

振り返るとアランは俺のベッドに寝転がって気持ち良さそうに寝ていた。

「本当にやりたい放題だな・・・」

思わず一人ごちながら届いた家具を配置してクローゼットに服を掛け、タンスに将来的に着る予定の服を入れる。


「(これは買って正解だったな。)」

服を仕舞い終え、買ったばかりのソファに座りフォルナ用の魔道具作りを再開する。

ソファの座り心地は最高で、サービスで付けて貰ったクッションも申し分ない。

とても気分良く作業に没頭できる。



「んー!・・・ごめん!気付いたら寝ちゃってた!」

「そうか。」

夕方になってアランが起きる、俺は振り向く事も無く作業に集中して適当に返事をする。


「うわっ!?もう日が暮れるじゃん!?」

「そうだな?ウィンストンの魔道具ももうすぐ完成だ。」

アランが驚いた声で何やら言っているので、適当に返事をしながら最後の魔法陣を刻み込む。



「何をすればそんなになるんだ?」

魔法陣を刻み終わりアランの方に視線を向けるとアランは寝すぎたせいかベッドから起き上がったままボーっと俺を眺めていた。

「何が?」

「どうやって寝れば頭はアフロのように爆発して枕は染みだらけになるんだ?と聞いている。」

アランが何かわかって無い様なので見たままの感想を言う。

いつもストレートなアランの頭は見るも無残に爆発し、枕に至っては口の中の水分は無尽蔵なのか?と疑問に思うほどに涎でべチョべチョになっている。


「頭?あー・・・ニコの前で見せちゃったなぁ・・・」

アランが自分の頭を触ってばつが悪そうに表情を曇らせている。

そんな頭よりももっと見せてはいけない所を普段見せられているような気がするので全く気にならないのだがそこは言わないでおくべきだろう。

俺は何も言わずに静かに首を横に振っておく。


「どうする?ウィンストン達呼ぶ?あたし動いてもいいよ?」

「ふむ・・・確かに一日でも早いほうがいいな。」

少し機嫌が悪そうにアランが言って来る。

確かに魔道具が出来たのだし、一日に魔法を発動できる魔力量は限られている。

それなら一回でも多く発動して慣れておくべきだ。

アランは酔っていなければとてもまともな事を言う人間である。


「じゃあ・・・行って来る!演習場で待ってて!?」

アランが魔法を発動したのだろう。

頭を撫でると爆発していた頭がいつも通りの綺麗な青髪のロングヘアーに戻り、サラサラになった髪をなびかせながら部屋から飛び出して行く。

アランを見送り、アランの涎で水溜りが出来そうな程にびちゃびちゃになった枕を魔法で綺麗にしてルドルフになって演習場へ行く。


「(・・・人がいるな・・・)」

演習場には練習する生徒達でいっぱいだった。

一応アランには演習場でと言われたので端っこの目立たない所で読書をしてアラン達を待つ。

面白いと思ったり続きが気になると思った方は評価や感想を頂けると嬉しいです。

もちろん誤字、脱字やお気づきになった矛盾点などの指摘もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。