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第百十九話 学友との初冒険終了。

昨日上げられなかったので、本日二話投稿です。

二話目は19時に上げます。

よろしくお願い致します。

とりあえず悪臭漂うテントの中に入り、中を入念に洗浄魔法(クリーン)で綺麗にしてからテントを畳む。

「手伝うぜ?にしても・・・当然のように朝食を食ってるが、ニコのテントを使って片付けまでさせて、とんだ甘ちゃん達だな。」

「助かる。まだ八歳九歳だから仕方ないだろう?」

「ニコも八歳じゃねぇか!」

「それもそうだな。」

テントを畳んでいると、肉の運搬の準備を終えたブランが手伝いに来てくれた。

テントを畳み終わりブランとマット達を見るが、全員筋肉痛で満足にパンさえも千切れないようでとても大変そうである。



「これは昼までに王都に着くのか?」

「心配すんな!森を抜けたからここからは俺達が荷物運びすっから!ね?リーダー?」

「そうだな。あんな状態のやつらに運ばせてたら肉が腐っちまう!」

「とは言え付いて来るのも大変そうですが大丈夫ですかね?」

俺の言葉にブランが答え、同じくテントを畳み終えたジャック達もやってきて会話に加わる。

スープをスプーンですくって飲もうとしているが、手が震えるせいで口に入れるまでに半分以上が零れている。

そんなマット達を見ながらグレイがとても心配そうな顔をしている。



「とはいえだ!ニコ君が背負っている調理道具入りのリュックサックを持つのと変わらない程度の荷物運びであれは不甲斐ねぇな。」

「大体十五キロだ。」

「ほぅ?・・・ってこんなの背負って戦ってたのかよ!?」

「そりゃブラン、ニコ君ですから。」

ジャックがとても冷たい視線で呆れたように言う。

俺が大体で重さを言うと興味津々と言った様子のブランが俺のリュックサックを背負って驚き、呆れた様子のグレイが諌めている。


「なんでもかんでもマジックバッグから取り出したら非常識だろう?」

「まぁ・・・確かにそうだ。」

「ってもこれを背負っての戦闘は非常識だぜ!」

「ぁ・・・」

ターニャやマットの前でマジックバッグから何でもかんでも取り出していてはさすがに駄目なのは学んだ。

そう思ってドヤ顔で言ったのだが、グレイの言葉に思わず声を漏らしてしまう。

昨日ジャック達と出会った事によって舞い上がってしまっていたのか、マジックバッグからピザ釜を取り出したのだった。

何も返す言葉が見つからないのでとりあえず人間社会に出て覚えた技、問題先送りを使う事にする。

今後みんながピザ釜の事を聞いてきた時に考える事にしよう。



「さ、さぁ食べ終わったみたいだ。ジャックみんなは任せた。」

「わかった!」

みんなの下に向かい、食べ終わった食器をマジックバッグに入れ。

スープが入っていた寸胴鍋は綺麗に空になっていたのでそのままリュックサックに入れてからリュックサックを背負い、出発の準備を整える。



「よしお前ら報酬が欲しかったらギルドまで遅れるな!?」

「お前ら這ってでも付いて来いよ!」

ロックリザードの胴体を持ったジャックとブランが楽しそうにマット達に激を飛ばして出発する。

ジャック達の後ろを付いて行く四人は歯を食いしばりながら体を引き摺るように歩き始めえる。

一生懸命さは十二分に伝わってくるのだがとても足取りは重く、ジャックとブランとの差は広がる一方だ。


「さ!みんな後は歩いてギルドに着くまでが仕事です!かなりのサービスですよ?さっさと歩く歩く!」

そりを引くグレイが四人の後ろから激を飛ばしている。

四人は昨日と同じように喋る余裕は無いようでグレイの言葉に僅かに頷いて、前方を歩くジャックとブランだけを見て必死な顔で一心不乱に歩を進めている。



「つっっっ着いたぁ!」

「食堂はいっぱいだね・・・」

「わしゃもう動けんここでえかろぉ!」

「冒険者って大変なのね・・・」

注目を浴びながら王都を歩き、冒険者ギルドに辿り着いた頃には昼飯時になっていた。

四人は安心したのかギルドの中に入った途端にへなへなと腰が抜けたように床に座り込む。


「お前らそんな所に座ったら邪魔だろうが!せめて端っこで休め!」

「「「「はい!」」」」

「そうだ。それでいい。」

ジャックの言葉にみんなが這って壁際へと移動をして、ジャック達は満足そうに頷いて買取所へと向かって行く。

ジャック達が帰ってくるのを待っていると、後ろから突然誰かに抱き着かれ後頭部が柔らかい物に包まれる。



「ニコ待ってたよ?」

「アランか。酒臭いから離れろ。」

マット達に気を取られて不覚にもアランの接近に気付く事が出来なかった。

真昼間から取っ払って大変ご機嫌なようだ。



「まさか俺を待ってたのか?」

「そそ!すぐにベーコン作りしないと間に合わないでしょ?にしても・・・中々の大冒険だったみたいね?」

アランが床に座り込む四人を見つけたのだろう、楽しそうな声で言う。

アランはベーコンを食べたいだけなのだろうが俺達を待っていたようだ。

俺としてもさっさと終わるのはありがたいのだが、密着してきて真昼間から酒臭いを嗅がされるのは勘弁して頂きたいものだ。




「ニコ君?何をしてるんだ?」

「ひゅうっ!美人にパフパフとか羨ましいねぇ!」

「二人共?あれ・・・国崩しでは?」

ジャック達が戻ってきて何やら騒いでいるが俺に胸を押し付けて頭をワシャワシャと撫で回すアランから離れるのに一杯一杯で反応する余裕は無い。


「ニコは可愛いねぇ!お姉さんと大人の階段上ろっか?」

「煩い。気遣いは感謝するが酒臭いから離れろ酔っ払いめ。」

なんとかアランから離れる事に成功する。

それでもまだ俺に抱き付こうとしつこいのでとりあえずお姫様抱っこをする。

こうすれば単純なアランは大人しくなるのだ。

アランはとてもだらしなく表情を緩めて俺の胸に体を預けてくる。


「国崩しに見えるな。」

「嘘だろ?国崩しを抱っこしてるぜ?」

「ニコ君ですから・・・ありえませんがニコ君ですから・・・」

「あぁん?うるせぇなっ!?」

「「「ひっ!?」」」

ジャック達が話しているとアランが振り向いて地を這うような声で威嚇し、ジャック達がビクリと身を強張らせて顔が青くなる。

表情は俺からは見えないが、恐らく女として駄目な顔になっているのは容易に想像できる。




「俺の恩人達だ。山を下った時に世話をしてくれてな?今回も冒険の途中に偶然出会って色々と世話を焼いてくれたんだ。」

俺の首に回している手の力が強まる、このままでは俺の首の骨が折られてしまいそうだ。

急いで自分のために、そしてジャック達のためにもしっかりと俺の恩人という所を強調して説明する。



「へぇ?ニコの恩人達なんだ?」

「そうだ。アラン?頼みがある。」

「なぁに?」

「さっき外でウランに会ってな?色々と欲しい物があるそうだからフィルを呼んできてくれるか?」

「へいへい!呼ぶから、今日ベーコン作るんだよね?一緒に作ろうね?」

「わかったわかった。さっさと行け・・・どうした?」

アランが俺から降りて一張羅のローブを羽織りながらギルドから出て行くのを見送り、報酬の話しをするべくジャック達へと振り返ると目を白黒させて口をパクパクとさせていたので聞くのだが返答が無い。



「どうした?お前らしっかりしろ。」

「国崩しを顎で使って・・・?」

「嘘だろ?しかもリーダー?大人しく従ってたぜ?」

「ニコ君ですから・・・ニコ君ですしね・・・」

「お前らも煩い。さっさと報酬の話だ。」

どうやら俺のアランの扱いに驚いていたようだ。

説明をしてもいいのだが面倒臭いのでさっさとみんなと報酬の話をして、今回の冒険を終えたいのでジャック達を急かす。



「お、おぉ・・・みんな?食堂も空いてきたしジュースでも飲みながら話そう!」

「わかりました、ソフィア?マット?ロジェ?もう少しよ・・・頑張りましょ!」

「わ、わかったわ。」

「う、動けぇ俺の体!」

「気合じゃあ!」

ジャックが笑顔で言いブランとグレイを引き連れて、席が空き始めた食堂へと歩いて行く。

最後の報酬を貰うために四人は気合を入れて必死に体を動かしてジャック達の下へと向かっていく。




「さぁ!まずはこれが君達の狩ったジャイアントフロッグ三体分の代金だ。」

ターニャ達の後ろを付いてゆっくりと食堂まで歩き席に着くと、満面の笑みのジャックが机の上に小袋を取り出す。

「一緒に換金して頂いてありがとうございます。」

ターニャ震える腕でなんとかといった様子で小袋を自分の下に抱えるように引き寄せている。


「討伐はターニャ君達で報告しておいたからね?状態が最高の状態だったから三体で十二万ゴールドだ!」

それを見たジャックは優しく微笑みながら説明すると、思った以上に高い値段だったのだろう、四人は笑顔で顔を見合わせている。


「次に・・・ポーターをしてくれた代金だが、運んだのは昨日だけだが、ニコ君の顔を立てて今日の分も支払おう。六万四千ゴールドだ。」

そう言ってジャックが更に小袋を机の上に置く。

四人で割ると一人一万六千、一日八千ゴールドだ。

昨日は昼過ぎから、今日は昼までの労働と考えると日当八千ゴールドはかなり優遇されている額のはずだ。

四人は先程と同じように嬉しそうにお互いの顔を見合わせているので、俺の認識は間違っていないようだ。



「お待たせしましたぁ!」

みんなが笑顔で報酬を山分けしていると、店員が人数分のオレンジジュースを持ってくる。

「お嬢さんありがとう?ではみんなお疲れ様だ!このジュースは俺達からのおごりだ!そのジュースを飲みながら少し話しをしようか?」

「そうだな!とりあえずお前らはニコ無しで絶対に東の森に入るんじゃねぇぞ?」

「ブランの言う通りです!詳しくは聞きませんでしたがそのジャイアントフロッグはニコ君がいなければ死んでいたんでしょう?十二万程のお金のために命を落としては意味がありませんよ?」

ジャック達は笑顔で言っているが、かなり厳しい言葉だ。

だが事実なので俺はただ神妙な表情で頷く四人を眺めながら、ジャック達の話を黙って聞く。


「ニコ!連れてきたよ?いい子いい子して?」

その後ジャック達が順番に四人に冒険者としての心得などを教えているので、俺も一緒に聞いているとフィルを連れたアランが頭を差し出してくるのでとりあえず撫でておく。

「ウランが来てるのか!?」

「あぁそうだ。ウランの事は俺がするよりもフィルがやった方がいいだろ?」

「ニコの心遣い感謝する!」

俺の言葉にフィルは大きく頷いて騎士顔負けの敬礼をする。

騎士顔負けは違った、そういえばフィルはこう見えても元騎士団々長だった。


「なら行くか。すまんが俺は次の用事があるので失礼する。」

「こんどは剣聖ですと?」

「あの国崩しの頭撫でてるぜ?」

「ニ・・・ニコ君おかしすぎるでしょう!もう自分に言い聞かせるのも限界ですよ!」

ジャック達が何やら騒いでいるが構っている暇はない。

これから大量のベーコンを作り、ウランの悩みを解決し、さらには東の森の異変の事も聞かなければならないのだ。

日が暮れる前には帰りたいので無視してアランとフィルと一緒に門を出て夜営していた場所に向かう。

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