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6話.長い文字

 むかしむかしアンコク街の闘技場に、イッキュウさんという世界最強の賢者と、タマという巨乳猫耳美少女がいました。


「ご主人頑張ってくるにゃー!」


「やれやれ、あまり目立ちたくはないのだがな」


 イッキュウさんは毎年開催される世界最強魔法大会の個人戦に参加していました。

 今年のテーマは『大きさと美しさ』でした。


「《インフェルノレイン》!」


「《レインボーサークル》!」


「《ボルテックストーム》!」


 参加者たちが見事な魔法を披露するたびに、観客席から歓声と拍手が起こります。

 アンコク街の王様と大臣たちも世界最強魔法大会を楽しんでいました。


 そしてイッキュウさんの番がやってきました。


「ふむ、広さは充分あるな」


 イッキュウさんは【収納】スキルを使ってアイテムボックスから世界樹の枝を取り出しました。

 そして闘技場の端から端まで届くほどの、とても長い直線を一本だけ書きました。


「ふむ、我ながらなかなかの出来栄えだ」


「おいおいおい!お絵描き大会じゃねえんだぞ!


 観客席から中年魔法使いが野次を飛ばしました。


「やれやれ、お前程度のレベルでは理解できなくても無理はない」


「なんだと!?若造が調子に乗るな!」


「やれやれ、周りの客の迷惑になる。そこで大人しく見ていろ」


「こ、このクソガキがっ!」


 中年魔法使いは顔が真っ赤になりました。


「ふむ、どうやら頭に血が昇っているようだな。ちょうど良い」


 イッキュウさんが書いた直線が青白く輝き始めました。


 キンキンキンキンキン!


 すると、地面から巨大な氷柱が次々と生え、


 キンキンキンキンキン!


 美しい氷の華が咲き乱れました。

 世界最強SSS級超巨大オブジェクトの完成です。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「すげええええええええええええええええ!!!!」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!


 本日一番の歓声と拍手が巻き起こりました。


 しかしこの結果に納得していない人物がいました。


「不正行為だ!たった1人でここまで大規模の魔法が使えるわけがない!」


 中年魔法使いが大きな声で文句を言いました。


「やれやれ、これ以上己の無知を晒すな。少し頭を冷やすといい」


 親切なイッキュウさんは中年魔法使いに氷を分けてあげようとしました。


「黙れインチキ野郎!お前は無詠唱で属性魔法を使った!これこそが協力者がいる確定的な証拠だ!」


「ふむ、確かに身体強化魔法など一部の魔法を除けば詠唱は必要だ」


「おい聞いたかお前ら!インチキ野郎が自分の不正を認めたぞ!」


「だがルーン魔術の発動において、詠唱は必ずしも唱えなければいけないわけではない」


「なにいいいい!?ルーン魔術だとおおおお!?」


 中年魔法使いはあまりの驚きでカツラが吹き飛び、汚いハゲ頭が丸出しになってしまいました。


「お、覚えてやがれ!」


 中年魔法使いは頭を隠しながら逃げていきました。


「ルーン文字だって!?」


「それって習得難度SSS級の?」


「私使える人初めて見た!」


「あとでサインもらわなくちゃ!」


 イッキュウさんの言葉を聞いた大臣たちと観客がざわつき始めました。

 原初魔法の1つであるルーン魔術を扱うことのできる魔法使いは滅多にいないからです。


「この文字の名前は『イス』。主に氷や停滞を意味するルーン文字だ」


「素晴らしいいいいいいいい!!!!!!!」


 王様はあまりの感動で服が脱げて、立派な大胸筋が丸出しになってしまいました。


 こうしてイッキュウさんは世界最強魔法大会で優勝しました。




【今回の登場人物】

・イッキュウさん

 世界最強の賢者。

 最近は鏡文字を練習中。


・タマ

 巨乳猫耳美少女。

 意外と達筆。


・中年魔法使い

 イッキュウさんに野次を飛ばした観客。

 頭皮と意地が汚い。


・王様

 アンコク街の王宮に住む王様。

 綺麗な字を書くことを心がけている。

 お読みいただきありがとうございました。


「この作品面白い!」「続きが読みたい!」と少しでも思っていただければ幸いです。


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 次の話は2023年3月25日19時に投稿予定です。

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