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5話.魔剣のご馳走

 むかしむかしアンコク街近辺の地下ダンジョンに、イッキュウさんという世界最強の賢者と、タマという巨乳猫耳美少女がいました。


 2人はギルド長からの依頼で、ダンジョンに生息しているモンスターの様子がおかしくなっている原因を調査していました。


「こんなに凶暴なモンスター初めてだにゃ」


「ふむ、やはりギルド長の言っていた通り、何かに影響されていると見て間違いなさそうだ」


 次々と襲いかかってくるモンスターたちをやっつけながら下層へと進みます。


 キンキンキンキン!


 にゃにゃにゃにゃ!


 だんだんモンスターが強くなっていきますが、世界最強賢者の敵ではありません。


「ご主人、あそこの壁に剣が刺さってるにゃ」


 やがて辿り着いた最深部に目的の物はありました。


「ふむ、魔剣か。これが発していた瘴気に当てられて凶暴化していたといったところか」


「魔剣なんてタマ初めて見たにゃ。昔からずっとここにあったのかにゃ?それとも誰かの落とし物にゃ?」


「落とし物にしては奇妙な刺さり方をしているが、いずれにせよ回収しておこう。魔剣は触媒としての利用価値が非常に高い。幸いなことに瘴気をほとんど出し尽くしている」


「じゃあ、このまま放っておけばモンスターは落ち着くってことにゃ?」


「恐らくそうなるだろうが、念の為数日間様子を見るとしよう。さてーー」


 イッキュウさんは言葉を切って振り返りました。


「お前の目的はこの魔剣か?」


「……気づいていましたか」


 イッキュウさんが呼びかけると、若い男が姿を現しました。


「認識阻害魔法には少々自信があったのですが」


「腕は悪くないが俺には通用しない。そもそもこのダンジョンは現在立ち入り禁止になっているはずだが」


「おっと、決して怪しい者ではございません。私の名前はシン。魔術協会に勤めています。あなたたちと同じようにモンスターの異変の原因を調査していました」


「ふむ、ならば会員証を見せてみろ」


「ええもちろん」


 シンは会員証を取り出しました。

 しかしイッキュウさんは遠目で一瞥すると、小さくため息をつきました。


「やれやれ、かなり精巧に作られているが、俺の目は誤魔化せない」


 その言葉を聞いたシンの目つきが鋭くなりました。


「なるほど……私は少々あなたたちを見くびっていたようだ。仕方ありません。あまり手荒な真似はしたくないのですが、力ずくで奪わせていただきます」


 しかしシンが杖を構えようとした瞬間、足元が青白く光り輝いて凍り出しました。

 

「ぐっ!?これは氷魔法!?」


 キンキンキンキン!


 あっという間に首から下を完全に凍り付かせてしまいました。


「あらかじめ罠を仕掛けておいた」


「そのような素振りはなかったはず……いつの間に……」


「悪いがお前の相手をしている暇はないのでな。30分ほどで溶けるから安心しろ」


 イッキュウさんとタマが立ち去ろうとした時、シンが笑みを浮かべました。


「お見事です。しかし私は諦めません。必ずその魔剣を手に入れてみせますよ」


「やれやれ、ならこうするとしよう」


 イッキュウさんは魔剣の刃先をかじりました。


「……は?」


「ふむ、鉄と土の味がする」


 なんと、魔剣が欠けてしまいました。


「にゃ!?ご主人なにやってるにゃ!?」


「魔剣を食べているだけだが」


 バリボリバリボリ。


 バリボリバリボリ。


 魔剣はどんどん短くなっていき、やがて全て無くなってしまいました。


「俺の【魔剣喰い】スキルによって魔剣は俺の血肉となった。高密度の自然魔力が凝縮されている魔剣は最高のご馳走だ。これで奪い取られる心配をしなくて済む」


「そ、そんな……」


 シンはがっくりとうなだれました。



 ダンジョン探索を終えてアンコク街へ戻る途中、タマが名残惜しそうに言いました。


「あの魔剣すごくかっこよかったにゃ。使うのはちょっと怖いけど、持ってみたかったかもにゃ」


「やれやれ、仕方ないな」


 イッキュウさんは魔剣を取り出しました。


「にゃにゃにゃ!?」


 タマはあまりの驚きで服が脱げて、大きなおっぱいが丸出しになってしまいました。


「どうして残っているにゃ!?ご主人が全部食べちゃったはずにゃ!?」


「【魔剣喰い】スキルはただのハッタリだ。あいつにしつこく付き纏わるのは面倒だからな」


「じゃあ本当に食べてたってことにゃ!?」


「【収納】スキルを応用しただけだ」


 イッキュウさんは魔剣の刃先を少しだけ収納してみせました。


「口と腕の動きと合わせて徐々に収納していけば、本当に食べているように見える」


「ご主人って結構大胆なところあるにゃ」


「重要なのは躊躇わない事だ。加えてお前の驚き方が真に迫っていたこともあって簡単に信じ込ませることができた」


「にゃぁ……お役に立てたのは嬉しいけど、なんだか素直に喜べないにゃ……」


 こうしてイッキュウさんとタマはギルド長からの依頼を達成し、さらに魔剣を手に入れました。




【今回の登場人物】

・イッキュウさん

 世界最強の賢者。

 世界最強というのは世界最強だということ。


・タマ

 巨乳猫耳美少女。

 最近冒険者登録をしたばかりだが、戦闘能力はA級冒険者上位と並ぶ。


・シン

 ギルドに登録していないフリーの冒険者。

 その実力はS級冒険者にも引けを取らない。

 お読みいただきありがとうございました。


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 次の話は2023年3月24日19時に投稿予定です。

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