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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か

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レベル140 先送り先送りで誤魔化しながらも先へは進んでいるかも

「さすがにあの条件では誰も納得できないようでね」

「それは助かります」

 朗報であった。

 トオルが提示した嫁入りの条件をのめるものはどこにもいないようだった。

 どうやらこの問題については解決が見えそうである。

「代わりに私の方が大変だ」

 トモノリは渋い顔をしていく。

「やっぱり、再婚の話が?」

「ひっきりなしだよ」

「それは、お察しします……」

 かわいそうだとは思うが、こればかりはトオルにどうにか出来る事ではない。

 ただ、他人事と言い切ることも出来ないのも事実である。

「また、前の奥方のような女だったら、大変ですよね……」

「ああ、それが気がかりなんだ……」

 被害を受けるのはトモノリだけではない。

 この領内にいる全ての者が大なり小なり影響を受ける。

 それだけに慎重にならざるえなかった。

「あれの酷さは一族の者も知ってるから、ろくでもないのは送ってこないと思うが」

「とりあえず釣書の吟味ですね。

 事前の調査も出来るなら」

「出来る限りの事はやってる。

 ただな、どうしても調べきれない部分も出て来る」

「もちろん、それは仕方ないですが」

「言いたい事は分かる。

 私も失敗を繰り返したくない。

 だがな、どうしても無理は出て来るんだ」

 二人とも、しなくていい苦労を繰り返したくなかった。

 自然と熱くなっていた。

「せめて、向こうが嘘を言ってない事を願うしかないですか」

「隠し事、隠蔽がない事もな」

「それも嘘の一種だとは思います」

「もっともだ」

 ため息が重なる。



「でも、兄貴。

 トモノリ様の場合、適当な人と再婚しちまっても良いんじゃないの?」

 サトシは割と軽い調子でそう言った。

 もちろん奥方の事を忘れたわけではない。

 しかし、

「さすがにあんだけ酷いのが二度も出て来るとは思えないし」

と楽観している。

 それはそうだろうと思う。

 あれほど酷い人間が他に何人もいるとは思いたくなかった。

「もしそうなら、この世の終わりだな」

 奈落から出て来るモンスターがどうこういう必要もないと思えた。

 人類は内部から崩壊していく。

「それはないとは思いたいけど。

 でも、しがらみが面倒になるだけだって」

「そんなの誰と付き合ったって同じだよ。

 どいつもこいつも、面倒くさいところを持ってるもんなんだし」

 分かったような事を言ってくるが、それも確かにそうである。

 誰しも様々なしがらみや関係性の中に生きている。

 社会の中にいる限り、それは無くならないだろう。

 だからこそ、それを覚悟で一緒にやっていく事も必要になる。

 余計な面倒が無いのが一番だし、しがらみが人脈や伝手のようなものであればありがたいが。

「兄貴だって、上手く理由をつけて結婚しちまっても良かったんじゃないの?」

 トモノリにかこつけてとんでもない事も言い出してくる。

「兄貴じゃ上手く手玉にとられて尻にしかれるだろうけど」

「ほお…………よく分かってるじゃないか」

 残念ながら否定できなかった。

 そうなるのが怖いから、あれこれ理由をつけて断ってるのである。

「けど、上手くいったら、貴族様の後ろ盾付きだぜ。

 かなり強みになると思うけど」

「いいように利用されるのが落ちだ。

 向こうは百戦錬磨の貴族だし」

 権謀術数にかけては貴族の方が上だとは思ってる。

 宮廷陰謀劇の主役達なのだから。

 そんな連中に勝てるとは思わなかった。

 知らず知らずとんでもない事になってる可能性の方が高い。

「君子じゃないけど、危うきには近寄らないのが一番だ」

「兄貴って、本当に臆病だよね」

「慎重といえ」

 そこは強調しておきたかった。

「でも、だから、そうならないようにサツキとレンがいるんじゃないか」

「お前、本当にそればっかだな」

 拳を握って振り上げるふりをする。

 おっと、と言ってサトシは腕で守る格好をした。



「ま、そっちはトモノリ様に任せるとして。

 こっちはこっちでどうにかしないと」

 これからやってくる兵士見習い達を受け入れねばならない。

 おろそかには出来なかった。

「二十人だしな。

 そっちは大丈夫か?」

「何とかするよ」

 ため息を吐きながらサトシは請け負う。

 教育係としてお目付役をするだけに、色々と気苦労が絶えないようだ。

 今は、やってきた冒険者の方の教育が大変であるが。

「新人達がやり方をおぼえてくれないとどうしようもないけど」

「三ヶ月もあるんだ。

 おぼえてもらうしかないな」

 どこまで行けるか分からないが、やってもらうしかない。

「ついでに魔術師も増やしたいけど」

「そんな余裕あるの?」

「無い」

 残念ながらそこまで手がまわらない。

 とはいえ、今でも三人魔術を使える者がいる。

 これは大きかった。

 一人はアツシの所で頑張っている。

 おかげで戦闘の負担がかなり減ったと伝わってくる。

 もう一人もトオル達と共に妖犬退治に参加していた。

 戦力としては物足りないが、相手の妨害になるような魔術の使い方で貢献してくれている。

 今は再び新人達に混じって、魔術の支援をしている。

 新人達にとって十分な支援になってるはずだった。

「まあ、頑張らないとな」

「そうだね」

 冒険者の方が独り立ち出来るようになれば楽が出来る。

 それまであと六ヶ月ほど。

 今年の刈り入れの時期にはまた一つ前に進めるはずだった。



「ここで足踏みしてられない」

 想いが口から漏れた。

 それを聞いたサトシが、

「やっぱりもっと人を増やすの?」

と訊ねてくる。

 頷いたトオルは、

「でないと稼げん」

 短く答えた。

 その目はもっと先を見ている。

 更に稼ぐために、より強力なモンスターを倒しにいく事を。

 どれだけ時間がかかるか分からないが、そこに到達しないとどうにもならない。

「何せ、一体倒せば銀貨の単位で売れるっていうからな」

「そりゃ、倒せりゃいいけどさ」

 そのあたりはレベル10を越える技術が必要だという。

 今のサトシはそこまで到達している。

 槍はレベル10になっていた。

 しかし、一人だけそうであっても意味が無い。

 より上位のモンスターは、レベル10の人間が一人二人でどうにかなるような相手ではない。

 ある程度の人数が必要だと聞いている。

 装備も今より向上させねばならない。

 そこまで行けるかどうかも分からない。

 レベル10の人間が揃ってる集団など想像を超えていた。

 だが、

「行けるさ、必ず」

 はっきりと断定されると、もしかしたらという可能性を感じてしまう。

 理由があるわけでもないはずの言葉なのに。

「ここまで来たんだ。

 必ず行けるさ」

 なぜだか素直に信じる事が出来た。

章の終わりに。

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