魔法適性
学園入学前のパーティで、クリス事クリストファーと友達になった一週間後。 遂に俺が学園に通う時が来た。
正直クリスと友達に慣れていなかったら、既に入学前のパーティーで除者にされていたので、俺は学校に通う事が嫌になっていたと思うが、クリスと言う友達が出来た事でそんな気持ちは一切芽生える事無く、俺は学園で初めて出来た同い年の友達に会える時を、楽しみに待っていた。
そして初の登校日。
学園の入学式が終わりクラスが発表されると、同じクラスにクリスの名前が載っているのを見た時は、相当嬉しかった。
そして最初のクラスオリエンテーションが終わり、下校となった際に
「ライト君」
「クリストファー君!」
お互い声を掛けようと思っていたからか、目が合うとお互い声を掛け合い、傍に駆け寄る。
「クリストファー君! 僕達同じクラスだよ」
「うん、ライト君が同じクラスで良かった」
「僕もクリストファー君が同じクラスで良かった」
「ほ、ホント?」
「ホントだよ、だって友達と同じクラスになったんだから」
こうして新入生の顔合わせパーティ以降会えていなかったクリスと、しばらく会話を楽しんでいると
「ライト、そろそろ帰るぞ」
「分かったよ、父さん。 じゃあねクリストファー君、また明日」
「う、うん…また明日ね」
この時俺が父さんと母さんの元に行く姿を、寂しそうにクリスが見つめていたが、この時の俺がその理由を知るのは、まだ先の事だった。
・・・
「ライト。 さっき話していた子が、この前友達になった子かい?」
「そうだよ、名前はクリストファー君って言うんだ」
「! もしやエーレンブルグ家のクリストファー君か? そうか、彼が…か」
帰り道の車の中で、父さんがクリスについて少し尋ねてきたので、俺は友達を嬉しそうに紹介したが、それを聞いた父さんは神妙な面持ちを見せ、少し考えこんだ後
「…よく聞くんだ、ライト」
「何? 父さん」
「クリストファー君と友達になれば、間違いなあの子にとってもライトにとっても、これから良くない事が沢山起こる。 それでもクリストファー君とは友達なれると、ライトは誓えるか?」
「もちろん、クリスファー君と僕は、ずっと友達でいられるよ」
この時父さんは、俺がホントに「クリスと友達になる覚悟があるのか?」 その事を聞きたかったんだろう。
だけど当時6歳の俺にそんな事言っても、質問の意味を理解しきれてないから「ずっと友達でいられる」なんて平然と答えたし、父さんの言った事の意味を本当に理解する出来事は、思った以上に直ぐに訪れる事になる。
事の発端は、入学から一週間後に受ける魔力適正検査だった。
この世界に住まう全ての者は、生命力意外に普通は可視化する事も出来ない【魔力】と呼ばれる力を持っている。
そしてこの世界に住まう物の大半は、魔力を微量にしか持っていない為、その力を行使する事は不可能なのだが、一定の割合で魔力を行使する事で、【魔法】と呼ばれる力を扱える者が居る。
そして魔法を扱える素質を持った者は貴族に多いのだが、それもこの国の貴族は昔はもっと大勢居たとされる魔導士達の子孫が多いからだ。
要は王立学園とは、魔導士の血筋を引いた子孫性質が集う場所でもあり、シエンティー王国が今の時代では”貴重となりつつある魔法”を扱える素質を見つける場でもあるので、当然学園に入学すれば、魔法を扱う素質を検査する事になっている。
その検査内容は、魔力の量、魔力の質、魔力の精度の三つで、三つの検査内容を簡単に説明すれば
魔力量:個人の持つ魔力の多さ
魔力質:個人の持つ魔力が行使された時に起こせる事象の強さ
魔力精度:個人の持つ魔力を、個人が操れる精度
となっており、この三つの要素をS~Eの基本6段階で判定する。
そして見事この三要素を検査で、三つとも最低Cランク判定を得る事出来ないと、魔法を扱う為の第一歩すら踏み出せない。
ちなみに俺の家系であるトリファー男爵家は、父さんの商会の事業が、国の経済に関する貢献に役立ったと評かされたから、爵位を爵位を得た新興貴族であり、元から貴族と言う訳ではないし、魔法を扱える者だけに現れる事象の片鱗すら見た事ないので、正直俺は魔法を扱える【魔導士】にはなれないのは分かっていた。
だけどやはり6歳児の俺は、訂正検査を受けたらファンタジー小説のように
「君は凄い魔法使いになれる素質がある!」
なんて言われる事を期待して、俺が魔法適正検査に臨んだ結果は…
ライト・トリファーの魔法適性
魔力量:E
魔力質:E
魔力操作:C
という、世の中には夢も希望も存在しないという現実を思い知る事になった……ちなみにこの時のクリスの適正結果は
クリストファー・エーレンブルグの魔法適性
魔力量:B
魔力質:B
魔力操作:D
魔力操作こそCに届かなかったが、魔法適性の結果も年齢や鍛える等、何かしらの刺激で変化する可能性があるという事を考えると、まだ夢を感じる評価だった。
そして適正検査を終え、その結果が張り出されると
「……可笑しいだろ、どうして最下層から来た奴が、俺達より良い結果出してるって!」
「そうよ、きっと何かズルをしたんだわ!」
クリスの魔法適性検査の結果に納得出来ない子息や、令嬢達がクリスに対して嫉妬し、妬む奴らがいたのだ。
そして適性検査の次の日
「ねぇねぇ、クリスファー君ってさ、魔力の量と操作でB判定だったよね」
「う、うん…そうだけど?」
「だからね、魔力操作を少し練習したら私達みたいに魔法を使えるようになるかもしれないわ」
「…え?、ホントに!」
「ホント、ホント」
「だからね、クリストファー君も僕達と一緒に学校が終わったら、魔法の練習をしようよ」
「い、いいの! 僕も一緒にやって?」
「もちろんよ」
クリスに対して多くの子達が群がり、クリスに「一緒に魔法の練習をしないか?」という誘いを出していた。
この時俺はもう俺が魔法を扱える夢をボロボロに砕かれて傷心気味かつ、クリスの適正結果が良い結果を出していた事に対して、実はこの時嫉妬していた事もあったし、今まで俺とクリス事を無視してた奴等が、突然クリスの周りに集まってそんな状況をクリスが喜んでいる。
という光景を目にしたら、自分だけがまた仲間外れにされているな気分になり、俺はクリスから目を逸らす所か、クリスに近付こうともしないでいた。
そんな俺に対して
「ねぇ、ライト君、君もどう?」
「もしかしたら君も練習したら、魔法使えるようになるかもしれないよ?」
なんとクリスの周囲に集まっている奴らは、俺にも誘いの声を掛けてきたので、正直俺は、この時また”ボッチがどれだけ惨めなのか”という事を、再度思い知らされていた時だったので、この誘いに対して
「じゃ、じゃあ、僕も一緒に練習する!」
なんて必死になって返事をしたのは、この後何が待っているか全く考えもしなかったからだった。
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