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学園生活の変化

 学園に通い始めてから四カ月が経った。

 入学したての頃はクリスしか友達がいなかったが、対決テストで良い結果を出したことをきっかけに、クラスメイトからの認識が「変な奴」から「意外とやる奴!」に変わった。

 その結果、俺に興味を持って話しかけてくるクラスメイトが増え、ようやく俺はクラスメイトと少しずつ打ち解け始めた。


 そしてゼール先生とタップさんから鍛えられた成果として、体育の授業で活躍する場面が増えると、より多くのクラスメイトが関心をもって話してくれるようになった。

 こうして、俺にも新しい友達がついに出来た。


 特に対決テストの対戦相手だったアレクシア・フローレスさんから、妙に気に入られてしまい、今やクリスの次に良く話すぐらいの友達になったし、時々フローレスさんの稽古相手も務めている。

 なんでもフローレスさん曰く


「テストでまともに一撃も入れられなかったのが悔しいし、この学園で本気を出せる貴重な相手なの!」


 という熱弁を受け、貴重な実戦練習相手として組手も定期的にやるようになった。

 もちろんこれは俺にも利点があって、自分の特訓の成果を確認できる相手として、フローレスさんは最も適した相手だと思ったから。


 そしてフローレスさんとの稽古に関する話題をクリスに話せば、なんでか「機嫌悪そうな顔」を浮かべる。

 クリスだって対決テスト以来友達が増えて、俺以外の人間とも遊んだりするようになったんだ。

 だから俺にそんな顔する筋合いはないハズなんだけどな?

 そして何よりクリスの友達は


――男子より女子が多い!

 

 そんな全国の男子からすれば、羨ましくて仕方がない交友関係を築いているクリス。

 せっかくなので、俺もその輪に入って女子と仲良くしようとすると、


”ギロリ”


 とクリスは俺をキツく睨んでくる!

 なので正直クリスのグループに参加していると俺は居心地が悪い……だから毎度、軽い会話で女子との交流は終わってしまうので、未だにクラスメイトの女子たちと、そこまで仲良くなれないでいた。

 ちなみに、他の男子がその輪に入った場合、クリスは平然としている。


(……なんで俺だけ睨まれるんだよ!?)


 更に俺がクリスのグループの女子達と会話してるのをフローレスさんが見ると、なぜかフローレスさんまでもが機嫌が悪そうにしてるんだが、


(……なんで俺が女子と仲良くしようとすると、この二人は機嫌を損ねるんだ?)


 そんな俺だけが理不尽な目に遭う理由は、未だにさっぱり分からない……


 こうして俺とクリスがクラスメイトと打ち解け始めた頃、そんな俺達を嫌っている奴もいた。

 そいつらは、俺とクリスに入学早々ちょっかいを出してきた、あのダミアン・アダーとその取り巻き達だ!

 ダミアンは俺とクリスが実力を付けてからは、以前のような集団で一方的な暴力を振るうような悪質なことはしてこなくなった。

 だが、事あるごとにちょっとした因縁を吹っかけてくる、正直めんどくさい奴だった。


 おまけに資産家のアダー伯爵家の長男なので、実家の権力を笠に着て自分より有利だと思った相手に対しては、やたら横暴な態度を取るような奴だ。

 そのため、気に入らない相手は、放課後人気のない場所に呼び出して、俺達にもやったように集団で虐めていたりもしていた。


 そんなダミアンを学校側が野放しにしているのは、アダー伯爵家が学園の大手スポンサーの一つなので、学園側もアイツがよほどの問題を起こさない限り、下手に文句も言えないでいるのだ。

 もっともそんなダミアンのグループも、入学当初自分のグループに属していたレンバー伯爵家の娘、アリカ・レンバーさんが抜けてからは、その勢いは入学当初より鳴りを潜めていた。

 なんでもアリカさん曰く


「ダミアン?

 あの子とは親同士がよく会ってるから仲良くした方がいいって思ってたけど、ダミアンって口ばっかりだし、弱い子にしか文句言わない。

 それに自分が認めたり、格上の相手にはいい顔しようとするの。

 だけどクリストファー君は、目に酷いことしちゃった私にだって、優しく声を掛けてくれた。

 それ見たらダミアンって『男子としてレベル低いんだ』って思っちゃって……そしたら何かもうダミアンのことなんて、どうでも良くなっちゃった☆」


 と、アリカさんは笑顔でダミアンのグループを抜けた理由を教えてくれた。

 そしてアリカさんがグループを抜けると、アリカさんに付いていた人たちも一緒に抜けてしまったらしい。

 この話を聞いて、ダミアンの人望のなさが良く分かった気がした。

 そしてグループを抜けてから、アリカさんが俺に話しかけてきた第一声は


「ライト君、その……前に酷い事しちゃってごめんね……」


 と謝ってきたので、俺はアリカさんと仲直りした。

 そして、お互いクリスのことを気に入っていたのもあって、クリスに関する話題で大いに話は盛り上がり、アリカさんともいつの間にか友達……いや、クリスを推せる同士となっていた。

 それに話してみたら、実は素直な方だし、周りを引っ張るリーダー気質もあって人の輪を作るのも上手で、顔だって可愛らしい。

 そんなアリカさんの新しい一面が見えたので、クリスに


「アリカさんって、いい子だよね。

 それにクリスのことすっごく気に入ってるみたいだよ」


 って教えてやったら、


「……そうなんだ」


 と、なんか微妙なテンションで返された……


(いや! せっかく気がある子のことを教えてやったのに、何でそんな顔するんだよ?)


 なんて内心思ったのは、普通男ならかわいい子に良く思われたら、嬉しいハズなんだけどな?

 なのにあんな微妙な反応をするってことは……未だに以前アリカさんから虐められたことを、根に持っているんだろうか??

 まぁ、クリスが興味ないんなら、後はアリカさんが自力で頑張ってクリスを振り向かせるしかないので、俺はこれ以上余計なことはしないようにしているけど、果たしてクリスとアリカさんの関係は発展するのか?

 それは今後のアリカさん次第だ。


 こうして俺の学園生活は、スタート時はクラスメイトのほとんどの人間から煙たげられて始まったけど、一学期が終わるころには、親友と共に楽しい学園ライフを送るようになった。


 そして学園は夏休みに入り、俺とクリスは夏休みもゼール先生の下で魔法を教わったり、クリスの家でタップさんに毎度ボロボロにされるまでシゴかれる日々。

 さらにいつの間にかフレイさんから精神の整え方や、心の鍛え方まで教わるようになり、俺とクリスの修行はますます過酷になっていった。


 こうして、俺とクリスの夏休みは一瞬で終わり、いよいよ迎えるのは新学期!

 開始早々、事態は俺の思わぬ展開に転がっていくことになる。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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