↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/68

意外な結果

「…ハッ!?」


 ふと目を開けると、白い天井が目に入り、柔らかいベッドの上で寝ていることに気が付く。


(ここは……保健室かな)


 テストで限界まで体を酷使し、気を失ったので俺は保健室に運び込まれていた。

 意識を取り戻して自分の状態をチェックすると、体にはまだ気怠さは残っていても、しっかりと動く。

 そのことを確認してからゆっくりとベッドから身を起こし、周囲を見渡すと


「あ、意識が戻ったみたいね! 大丈夫?」


 ベッドから起き上がったことに気が付いた保健室の先生が、心配そうにしつつ俺の元に駆け寄ってきた。


「えっと…テストは?」

「そんなのもうとっくに終わってるわよ。 それより動いて大丈夫そう?」

「はい、大丈夫です」


 ベッドから降りて体を動かし、動ける姿を先生に見せる。


「うん、しっかり立てるから大丈夫みたいね。 じゃあ、担任の先生を呼んで来るから、それまでそこの椅子に座ってゆっくりしてて」

「わかりました」


 そして保健室の先生が担任の先生を連れて来た後、担任の先生に心配されつつ


「頑張るのはいい。 だけど倒れるまでやるのはやり過ぎだぞ!」


 と軽くお説教をもらった後、先生と共に教室に戻った。

 その際、先生から、ちょうど今から帰りのホームルームが始まり、テストの結果も発表されることを教えてもらうと、最後の最後でフローレスさんに逆転負けてしまった悔しい場面が頭に蘇る…そんな気分がイマイチ上がらないまま教室に入ると、クラスメイト視線は一斉に俺へ向けられた。

 この時注目された理由が【テストで負けたうえに、気を失って保健室に運び込まれたカッコ悪い奴だから】と思っていたし、何よりさらし者にされてるように思えたので、コソコソと自分の席に戻った。


「さて、無事にライト君も戻って来たので、今から帰りのホームルームを始めますが、皆さんが今日行った『5分間対人テスト』の結果も合わせて発表しますので、名前を呼ばれたら結果が記された紙をとりにきてください。 では…」


 こうして順番にクラスメイトの名前が呼ばれ、結果の記された紙を受け取ると喜んだり、ガッカリしたりと、様々な表情を浮かべていた。

 そんな中、俺に勝ったフローレスさんが、評価が書かれた紙を見て”何とも言えない表情”を浮かべていたのが、不思議だった。

 そして自分の名前が呼ばれ、特に期待もなく結果の書かれた紙を受け取ると


「え? B!!!!!!」


 良い意味で予想を裏切る対決テストの結果を見て、思わず声を上げてしまった。

 このテストの評価は、AからDまでの四段階評価で判定されるんだけど、評価の基準はかなり厳しい。

 そんな厳しい基準のテストで、負けたにも関わらずB評価を貰えるなんて、俺としては理由が思い当たらないのでイマイチ納得がいかない。

 ちなみに結果が記された紙には、内容に関する試験官の所感も書いてあるんだけど「動き、時間ギリギリまで逃げた判断は良かった」といったお褒めの言葉から「まだまだ動きや、作戦の練り方に改善の余地あり」なんて厳しめの言葉までしっかり書かれていた。

 

 そしてホームルームが終わり、いつものようにクリスと帰ろうと思って、席を立とうとしたら。


「ライト君、凄いね! あのフローレスさんと引き分けだったとか」


 突然前の席の子が、俺に食い入るように話しかけてきたのでビックリしたし、耳を疑うような言葉も入ってきた。


「僕がフローレスさんと引き分け? 負けじゃなくて?」

「うん、ライト君が保健室に居る時に、ライト君とフローレスさんのテスト映像みたけど、引き分けだったよ」


 気を失っていたから見られなかったけど、クラス全員のテストが終わった後、試験官の印象に残った幾つかの対戦は、録画しておいた映像を全員で視聴して次回のテストの参考にする。

 そして視聴の対象に選ばれるというのは、それだけの価値がある何かがあるということなので、皆で視聴する対象に選ばれたのなら、B判定が出ても可笑しくはない!

 ……あくまで勝った場合の話だけど。


「いや、ちょっと待って? フローレスさんに的を突かれて、僕負けたハズなんだけど??」

「違うわ、ライト君。 あの勝負は時間切れで引き分けになったのよ」

「そうなの!」


 対戦相手のフローレスさんが会話に入り、結果の詳細を教えてくれたので、やっと引き分けの理由が分かった。

 最後の勝負を仕掛けたのは、時間ギリギリだったから、あのタイミングで時間切れになっても不思議じゃないし、何より熱くなりすぎて終了の合図が耳に入っていなかったから、結果を勘違いしていただけだった。

 それが分かると、ようやく自分の評価に少し納得がいった。


「じゃあフローレスさんはB? それともA?」

「……私はCだったわ」

「えっ、どうして?」


 何でフローレスさんの評価が、俺より下なのか不思議に思って尋ねると、フローレスさんは無言で自分の判定結果が書かれた紙を俺に渡して来た。


「所感を読んでみて…」


 フローレスさんの所感を読んでみると「本来の実力を発揮するのが遅すぎる」とか「相手に手の内を晒す前に語るバカがどこにいる」等、俺のと違ってその殆どが容赦ないダメ出しの嵐だった。


「うわぁ…容赦ないね」

「…やっぱりそう思うよね」


 このテストは、個人の実力を元に判断されるので、実力がある人の方が厳しい判定になりがちなのだ。

  そしてフローレスさんがシュンと肩を落としながら結果を教えた姿を見た時


(あのフローレスさんでもこんなに落ち込むことがあるんだ…)


 そう思うと同時に、さっき全力で正々堂々戦った相手だからこそ、妙に居たたまれない気持ちになってくる…だから


「で、でも、実際勝負に勝ったのはフローレスさんだから! ほら、フローレスさん、僕の胸の的突いたし」


 試合は引き分けでも、勝負に勝ったのは間違いなくフローレスさんだった。

 だからその事実をしっかり強調し、フローレスさんを励ましていると、ふとある疑問が思い浮かんだ。


「…あれ? そう言えば僕ってどうやって気を失ったんだっけ?

 確かフローレスさんに突かれた後、倒れそうになって何か『柔らかいもの』が手に当たったような…」

「ら、ライトくん! あれは…その事故よ! 事故だから!! 何もなかったから!!!

 だからそれ以上…何も思い出さないで!」


 フローレスさんは顔を赤くしながら、ちょっと潤んだ目で「もうこれ以上何も考えないで!」と訴えかけてきたんだけど、その圧の凄まじさは#テストで本気を見せた時”より強い!


「う、うん。 分かった」


 下手な事を言うと、ロクでもない目に遭いそうな気がしたから、そう答えるしかなかった。


「あ、それと何か頬が痛いんだけど」

「それは、え、え~と……あ、私今日はもう帰らないといけないの! お、遅くなったら、めっメイドが心配するから!! じゃ、じゃあさよなら~」

「さ、さよなら。 また明日ね」


 フローレスさんは顔を真っ赤にしたまま、逃げるように挨拶をして教室から出ていった。 そしてこの件に関しては、今でも謎のままだ!

 なんで「もしかして頬が痛いのって、気絶した時に頬を地面にぶつけたりした?」って聞こうとしただけなのに、あんな顔して逃げるように帰ったんだ?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。