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対決テストまでに

「…おはよう、クリストファー君」

「…おはよう、ライト君」


 ゼール先生の元で魔法を学ぶようになってから、俺達の朝のテンションはただ下がりになったのは、俺もクリスもゼール先生と別れた後に、家で各々与えられた課題を熟しているからだ。

 ちなみに俺の課題はというと、先生から渡された魔力流失測定器に「魔力を一定量流し続ける練習を常にやっとけ」という物だけど、測定器に魔力を流し続けだって正直疲れるのに、更に目指す課題として


「どんな時だろうが、中の球が常に測定器の()()でキッチリ留めていられる様に、流す魔力量を調整出来るようになれ!」


 という聞くだけなら大したことがなさそうな内容だけど、実際は滅茶苦茶ハードな課題だった。

 なんせこの魔力測定器って、かなり流した魔力に対する感度が高いので、ちょっとでも気を抜くと玉は上下に動くし、中央に寄せれたとしてもキッチリ中央に留め続けておくのは至難の業だ。 おまけに


「そう言えばお前等、俺が魔法教えてるからって理由で、勉強サボった時は覚悟しとけよ?」


 っと学業をしっかり熟せと言われたので、魔法を教わってから三日間ずっと、片手で勉強しつつ片手は測定器持って魔力を流す練習という、傍から見たら何ともシュールな状況だったと思う。


 ちなみにクリスの方はと言うと、元々の魔力質というか俺と素質が全然違うから俺と同じことをやっても意味が無い、との事で、クリスはクリスでゼール先生から俺以上に相当シゴかれていた。

 ちなみにどれほど素質が違ったのかと言えば、クリスは先生としばらく話し込んだ後に「一般的な魔法」教えて貰うと、スグに使えるようになっているぐらい魔法を使う素質があった。

 この時ばかりは、測定器を渡された後は放置されてる俺と違って先生にずっと構ってもらえてるクリスに嫉妬したから、もう測定器を投げ捨てて「魔法の練習なんてやめる」って言ってやろうと思ったが、そんな考えは一瞬で吹き飛ぶ事になる。


”ドォーン”


 突如クリスとゼール先生が居た場所で爆発が起き、爆発の中から倒れたクリスが現れたの見た時は、ホントにクリスが「死んだんじゃないのか?」なんて思ったから、直ぐにクリスの元に駈け出そうとしてら。


「ライトォォォ! こっち来るんじゃねぇぞ! お前も巻き込まれたいのか? それにこれぐらいじゃクリストファーはくたばったりしねぇよ。 お前は、お前の課題に集中しろ、分かったか!?」

「…ぼ、僕は大丈夫だから、ライトは自分の事を頑張って」


 ゼール先生から怒声が飛んで来るし、クリスからも助けは要らないと言われるなんて思っていなかたので、俺はただ黙ってその状況を見守るしかなかった。


「さっさと立て、クリストファー!! この程度の攻撃も防げない防御壁で誰かを守れるなんて思ってのか! もっと必死にって攻撃防がないと、ホントにいつか死ぬぞ!!!」

「は、はい」


 この時どうして二人がこんな必死に危ない事までして魔法の練習をやるのか? その理由はさっぱり分からなかったし、クリスのやってる事に比べたら俺のやってる事なんて「まだマシな方」だと思って安心したけど、同時に友達の横に立って、一緒に何かを出来ない自分に対する悔しい気持ちの方が強かった。

 だから俺もクリスのやってる事に少しでも追いつけるように、必死に先生に言われた課題に取り組んだ。

 そして先生から魔法を教わって一週間が経ったのだが、先生から


「そういえばお前等、どうして魔法なんぞ覚えたいと思った?」

「…魔法が使えないからって、僕もクリストファー君も馬鹿にされたんだ」

「なんだ? どこぞの馬鹿な貴族のガキにでも何か言われたのか?」


 俺とクリスは、先生に出会う前に起きた出来事を話した。

 すると先生は、はぁ~っと大きなため息を付き


「相変わらず下と思った人間を見下す事しか出来ない馬鹿が蔓延してんのかよ…この国は」


 と不機嫌そうに答えた。


「それで、お前等はどうやってその馬鹿共に一泡吹かせてやるつもりだ?」

「それは、今度のテストでで僕達があいつ等に勝つんだよ! ねぇ、クリストファー君」

「う、うん!」

「なんだ? 魔法のテストでもやんのか??」

「うーんと、来週テストで対決テストやるんだ」

「対決テスト? なんだそりゃ?」

「えーと、くじ引きで相手が決まるんだけどね、お互い的を付けて先にその的を割った方が勝ちになるんだ」

「へぇ、要は学校で大々的にお前等を虐めた奴らに仕返し出来るチャンスが来るって事か…おい、そのテストの内容詳しく教えろ」


 ゼール先生がテストに興味を持ち、俺達に色々と質問してきたので、対決テストについて先生に話始めるが、このテストの正式名称は「5分間対人テスト」であり、対決テストというのは生徒側が付けた呼称である。

 テストの内容は、まず互い幾つかの的を体に張り付けた後に「どんな手」を使ってもいいから、相手の的に触れるか、5分の制限時間が来たらテスト終了。

 ちなみにこのテスト用の的は、結構凄い代物で、取り付けている間は、的の部分のダメージを最小限に抑える防壁魔法が体に張り巡らされる仕様の為、多少生徒が無茶したり過激な行動に移っても、最小限の怪我で済むようになってるので、安全面もしっかりしている。

 どうしてこんなテストを学園で実施するのかといえば、俺達の通う王立学園にはちょっと変わった校風があって「自分の身は自分で守れるようになれ」っという教えがある。

 もっともこの校風が生まれた経緯も、貴族が立場上「命を狙われる可能性が一般人より高い」為に生まれた校風であり、それが元で生まれた己のみを守る為のカリキュラムの一つとして、「5分間対人テスト」という実戦形式のテストが生まれたらしい。


「大方内容は分かった。 要はお前達はそのテストでいじめっ子を見返す為にも、特訓して魔法を使えるようになりたかった…って訳か。 まぁ何ともガキらしいくだらねぇ理由だが、俺は嫌いじゃねぇぞ。 そうゆうの」

「…先生」


 ゼール先生は俺達が先生から魔法を教わりたいと思った動機を聞いて、ちょっと楽しそうしていた。


「だったら俺はもっとビシバシ鍛えてやらねぇとなぁ! お前等に舐めた態度とった奴等を確実に見返すためにもよぉ!!」

「……」


 この時ゼール先生は、とても()()()()で答えてくれた。 正直この時の先生の笑顔には、悪意なんて微塵もなかったと思う。

 だけどその笑顔をみた俺とクリスは正直嫌な予感しかなかった。


・・・


 そして嫌な予感は見事に的中した。 その日からただでさえしんどかったゼール先生の教え、いや、シゴキは更に強烈になったからのだから…



(これ以上練習がハードになるのは嫌だぁぁぁ!!!!)


 っと心底俺もクリス思った。

 だけどそんな事言ってもお説教されるだけだし、更にキツくシゴかれる未来がこの時既に見えたので、あえて俺達は言わなかった…

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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