魔法を使う為の第一歩
「つまりだな、教会の定義する魔法ってのは魔力を外に放出した際、一般的な法則を無視して事象を生み出せるかどうか、ってのが基準のようなもんで…」
「ゼール先生、一般的の法則ってどんな法則?」
「一般的ってのはな、チョメチョメって感じで、要は常識的な現象だ」
「常識的な現象って?」
「だからそれは、あーだがこーだで、ニャンニャンするって感じで…つまり誰もが『こうすれば、こうなる』ってのを、誰もが分かってる現てのが、常識的な現象だ!」
こうしてゼール先生は、誰もが使える魔法を実践してつつ、その仕組みを詳しく説明してくれる。
だけどゼール先生の解説って、まだこの時の俺達にとっては、難解以外の何物でもなかったんだよな。
なんせまだまだ俺達は魔法に対する経験と知識が、圧倒的に不足している事もあって、どれだけゼール先生がしっかり解説してくれようが、そもそも魔法以外の基礎知識だって、まだまだ知らないし分からない事だらけなので、とにかく俺とクリスは分からい事をあれやこれやと質問してしまう。
その結果ゼール先生の解説は、とにかく俺達の質問に遮られて全く話が進まない。
「あ゛あぁ゛ぁあぁ~、もうお前らガキンチョに一から十まで説明してたら埒が明かねぇ! いいか、お前等! 要は今から俺が教える事をお前達が極めれば、俺がさっきやったみたいに指で小石を砕く所か、お前等みたいなチンチクリンのガキでも『指先一つで相手をダウン』ぐらい簡単に出来るようになるって事だ!! そしてもう今日は、お前等からの質問は一切受け付けねぇぞ! 分かったか!」
「「…はっ、はい」」
遂に俺達の質問攻めに耐えかねたゼール先生は、もう俺達に細かく説明する事を投げ出して、凄い大雑把で結論だけを教えてくれたのだが、正直この時は”この大雑把な説明が一番ピンと来た”だなんて、絶対に今でもゼール先生には言えない。
更にこの時、俺達に質問攻めにされた事が先生的には結構堪えたみたいで、この日以降俺達は先生の教えで分からない事があった時に質問し多彩、先生が返答するのが面倒と思った時は「さっさと終われ!」と言わんばかりの”キツめの視線で睨まれる”ようになってしまった。
俺はただ、父さんから「分からない事を分からないままにするのは良くない」と教わったから、分からない事をひたすら聞いていただけなのに、そこまで根に持つのは理不尽だと思っている。
「じゃあ、早速魔法を使う為の基礎トレーニングに入るが、お前等コレ知ってるか?」
「「知りません!」」
ゼール先生が取り出して俺達に見せた物は、掌に丁度乗るサイズの砂時計のような形をした物だった。 そしてこの砂時計のような物と砂時計の大きな違いを上げるとすれば。、砂時計でいる砂の入っている中央のガラス部は中央に括れが無いまっすぐな形状で、ガラスの中には青い液体と小さな銀色の球体が一つ入っている。
果たしてコレはどんな用途で使うんだろうか? 正直一度見て説明が無かったら、誰もどんな用途で使の物か、さっぱり分からない代物だ。
「まぁ、一般人が使う物じゃないから、そりゃ知らねぇだろうな。 これは魔力流出測定器ってんだが、真ん中のガラスの中に小さい球が入っていて、小さい玉が底に付いているのは分かるよな?」
”コクリ”
「良いか、よく見てろ。 俺がコイツに魔力を送ると…」
先生がそう言った直後、底に付いていた小玉がフワリとガラスの中心まで浮いた。
「わぁ、先生、球が浮いたよ!」
「コレは俺が送った魔力に反応して球が宙に浮いた訳だが、今玉がガラスの真ん中で止まってるよな?」
「「うん」」
「コイツに更に強い魔力を送れば…」
そう言って先生が更に測定器に魔力を送れば、小玉は最上部まで上がり、天井にへばり付いた。
「分かったか。 要はコイツは魔力を強く流せば流す程、この玉が宙に浮く仕組みになってるって訳だ」
「へぇ~、じゃあコレを使って今から僕達は何をするの?」
「それを今から説明してやる。 ライト、まずはお前からだ。 測定器に魔力を送って、玉を浮かせてみろ」
そう言った後、ゼール先生は俺に測定器を投げ渡して来たので、俺は慌てながら測定器を捕まえたが、同時にある疑問が。
「先生、魔力ってどうやってコレに流せばいいの?」
「自分に魔力なんてさっぱり無い物」だと思っていた俺は、自分の魔力の扱い方について全く知ろうともしなかったし、学園でも魔力測定結果で、魔力が低いと判定された人間は、魔力に関する知識の勉強はやっても、魔力を扱う方法は学ばないので、急に「魔力を流せ」と言われてもさっぱり流し方が分からなっかったのだ。
「まずは測定器を目の前に上げろ」
俺は先生に言われた通り、両手で持った測定器を目の前に上げる。
「そしたら、お前の手から測定器に何かを流し込むイメージを、頭ん中で想像するんだ」
「うぅん…わっ、動いた! 動いたよ先生!!」
先生に言われた通り、測定器に何かを流しむイメージを浮かべると、測定器の中央に設置された球が、ほんの僅かだが浮いた!
そして見事俺自身の魔力で玉を浮かせたという事実は、魔法どころか魔力さえ扱えないと思い込んでた俺に「魔力を扱える」という真実を教えてくれたので、嬉しさ極まってこの時俺は、大はしゃぎしてしまう!
「それぐらいで騒ぐんじゃねぇっての! そもそもこんなの誰でも出来て当たり前だし、こんなの魔法を使う為の練習にすらなってねぇんだよ!」
「えっ!? 僕魔法まだ使えないの?」
「これから俺が教えた事を全部出来たら、仕えるようになるだろうな」
「そうなの、じゃあ次を教えてよ!」
「測定器に魔力を、より多く送るイメージを頭に思い浮かべてから、玉を更に上に上げて見ろ」
「んんんんん!」
先生に言われた通り、さっきより沢山の魔力を送るイメージを、頭の中で思い描くと、測定器の玉は更に上に上がったのはいいのだが。
「な、なんか、き…キツイ…」
測定器の玉をちょっと浮かせてた時は、別に辛さを感じなかったが、玉がより上に上がるようになってからは、急に辛さを感じるようになったのだ。
「そりゃそうだろうな。 今まで魔力なんて意識して使った事なかったんだ。
今のお前の状態は、普段歩いてる道を突然全力で走ってるのと変わんない状態だ。
だから走る事に慣れるまでは、しんどいのがずっと続くと思っとけ」
「も、もうむりぃ…」
思った以上に魔力を使うのは疲れるので、俺は一端測定器に魔力を流すのを止めて、休憩しようとすると
「おい、誰が『止めていい』なんて言った? 続けろ!」
「えぇ、でもキツイよぉ」
「あぁん? お前本当に魔法が使えるようになりたいのか?」
「う…うん」
「だったらやれ! っていうかな、人間が”出来ない事を出来るようになる”道なんて、どれだけ自分を追い込めるかどうかなんだよ!
だいたいなぁ、魔力の量と質が悪い奴が”一朝一夕で魔法が使えるようになる”なんて甘い考えで、魔導士としての第一歩を踏みだせるほど、この世界は優しくねぇ!
それに俺昨日言ったよな? 【俺の教えは生ぬるくねぇ!】ってよぉぉ!!」
「ひぃぃ…!」
「あ゛? 嘆いてる暇があったら、測定器の玉を上下にフラフラさせず、一定の場所に留まらせるように、魔力をコントロールする方法でも必死に考えやがれぇぇぇー!」
あぁ…今思い出しても、もう二度とやりたくないと思える練習の日々だったなぁ…こうしてこの日から、俺が魔法を使う為の地獄の特訓の日々が、幕を開けるのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




