第四話
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「0番、来い」
「おい、これはなんだ。俺を元に戻せ!」
「……」
「聞いてんのか?」
「あまり騒がしくするなら、今ここで電極を刺してやろうか?」
「……」
俺は女の体になったことを抗議するが、いつも通り奴らは無視。それどころか脅してきやがった。
二十年以上男の体で生活してきた身だ、生活しづらいったらありゃしない。胸は邪魔でうつ伏せに寝づらい、排泄行為も慣れない、身長が結構縮んだからか歩きづらい。生理もきつい。ギャップによる影響が強いのかもしれないけど、女性は、特に生理とかよく耐えられるな。
まぁそんなことあまり気にならないぐらい、ここでの生活、人体実験が辛いんだけど。
あぁ、今日も、痛いんだろうな……。
あれから、どれぐらい経ったんだろう。
女性になった後から、更に痛いことをされた。あと、異能を使えとか言われて使えなくて更に痛い思いしたっけ。
そしてなぜか。
「すごい体が縮んだ……」
俺は体が縮んできていた。
寝て起きたら毎回体感十センチぐらい縮んでる、気がする。歩く感覚が違くて大変だ。
もう、小学生低学年ぐらいじゃないか? もしかしたらそれ以下かもしれない。何か身長を測るものとかないのだろうか。声も凄い幼くなってる。
え、これ……社会復帰もう完全に無理じゃない?
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「立派なロリ、美幼女になりましたね!」
「うむ、だが性格が男っぽくてまだ足りないな」
「は? そこが良いんだろ?」
「やめろお前達、目的を見失うな」
エレックは、何やら興奮している同業者に、目的を忘れるなと釘を刺す。
「ほんと、エレックさんは欲が無いですね」
「世界征服という欲はある」
「性のですよ」
「そんなのに構っている余裕はない」
淡々と、作業をしながらエレックは同業者に言葉を返す。
「定着率は上昇しつつある、異能も自分には無意識下でだが少し使えるようになっているな」
幼児化の効果もあった。順調ではある、だが。
「あと、一押し、か」
エレックはまだ納得していなかった。現在の彼女への異能の定着率は92%、最低水準は超えた。
だが、異能を自在に扱うことができていない。
「感情操作の異能」
彼女に今現在植え付けている異能は、『感情操作の異能』である。
現段階では、彼女は異能を無意識的に、微々たるものだが自身に使っている。それは自身の心を守るためのものなのだろう。
だがそれでも、彼女はまだ完全に扱えていない。そこがネックだった。
「……そうだ、異能を扱う上で重要なことを研究した資料があったはずだ。おい、誰か取ってきてくれ」
そこでエレックは思い出した、今の課題の解決に役立ちそうな資料があることを。
「ありがとう」
同業者から貰った資料を受け取り、彼は早速資料を広げる。
「……意識」
資料をざっと見て、彼は一つの項目が気になった。
それは『異能と意識の関係について』だ。
『意識は安定している方が異能は扱いやすい。多少錯乱状態でもどうにかなるが、普通ではありえない意識状態では上手く異能を扱えない可能性がある。意識は肉体と連結状態にある』
資料にはそのようなことが書かれていた。
「……そうか、意識と肉体は連結状態にある」
そこでエレックは一つの解決策を思いついた。
そう、意識と肉体は繋がっているのだ。ならば過度に肉体を改造すると、改造していない意識との間に大きな"ズレ"が生じる可能性がある。
彼女は元は成人男性だ。しかし今、彼女の体はどうなっている?
そう、真反対の幼い少女、いや幼女だ。彼女の現在の口ぶりからしても、意識と肉体には大きなズレが生じている可能性がある。
普通ではありえない意識状態では異能が上手く使えない可能性がある。
その『普通ではない意識状態』は、今の彼女の意識と肉体の大きなズレが該当するのではないか?
つまり。
「ズレを消す、つまり意識と肉体を一致させれば解決するか」
そういうことである。
「あとは……異能を使う積極的な意思、か。そうだな、いずれやる予定だったがこのタイミングで従順にもさせておくか」




