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成人男性、少女と成る  作者: ぬい葉


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第十話

 ――数日前。


「地中から異能の反応、それに怪しい地下への通路?」


「はい」


 きっかけは異能局第三支部所属の、カレンという女性の報告であった。

 彼女の報告内容は、誰も居ない廃ビルの地中から異能の反応を検知、更にそこに地下へ続く怪しい通路があった、というものであった。


「詳しく頼む」


 カレンは異能持ちであり、その異能は『探知』。範囲制限や物によって反応の強さの違いなどあるが、基本的にありとあらゆるものを探知できる。

 報告を受けている異能局第三支部の支部長、ガーデはそのことを知っているため、淡々と続きを話すよう促す。


「はい、まず私はクタウラ区の二丁目、地図で言うとこの場所に廃ビルがあるのですが、ここで異能を検知しました。そのため私は気になってこの場所を調べたのですが、人を見つけることは無く、表面上はただの廃ビルでした」


 カレンは地図を指さしながら、彼に事を詳細に伝える。


「ですが、その異能の反応は地中からの反応だったんです」


「地中……となると」


「えぇ、地下に何かあると考えた私は、しばらくその廃ビル付近を探索しました。すると、物凄く気づきにくいところに、人一人が通れるほどの通路のようなものを発見。その通路は下っており、地下への通路だと判断しました」


「……その通路の先に進んだのか?」


「途中までは。途中で複数人の人を探知したので、『何か違法的な研究でもしているのかもしれない、私一人だと危険の可能性がある』、などと判断して、それ以上は進みませんでした」


 カレンは報告するべきことを報告し終え、最後に『以上です』と言い口を閉じた。


「……なるほど、情報提供感謝する。詳しく捜査するとしよう」


 彼女の報告を受け、ガーデは、異能局としてその通路の先を捜査する必要があると判断し、動き始めた。





「……内部は観測できた所でも数十人の人が居る。明らかな研究施設の内装。そして移動する異能、それを宿す者の反応」


「人体実験とかか?」


 黒髪赤目の女性、ノアはガーデの言葉に続くように言う。


「可能性は高い。異能を知った者がそのようなことをする可能性はある」


 ガーデがカレンから報告を受けたあの後、異能局第三支部は超小型ドローンを使い、通路の先を捜査した。結果、地下の内装やカレンの情報から、異能の研究を行っている、また人体実験を行っている可能性があると判断した。


「まぁ、わざわざ地下でやってるってことは、やましいことをしているんだろうな」


「……念のため武力で制圧だな。異能の反応はただ一人から発せられている、人体実験ならば人質にされる可能性がある、そうでもなくても異能局としてその者は重要だ。制圧方法や実行日は後日他の者にも伝えるが、当日ノアには異能の反応がある場所へ直接転移して貰う」


「了解」


 ガーデの言葉にノアは淡々と返事をする。

 ノアの異能は『転移』、そして『重力操作』。

 転移は自身以外の生物には使えないが、単独での移動に非常に役立つ。重力操作は多人数の制圧に向き、使い勝手も良い。


 天然での異能の二つ持ちは非常に珍しい。

 彼女の異能はどちらも強く、更に彼女自身の戦闘能力もある、そのためノアは異能局第三支部の主戦力だ。



 そうして制圧作戦は後日行われることになった。





 作戦は、ノアが異能の反応があるという場所へ直接転移、それと同時に他の三人の仲間が入り口から突入、というものであった。


 作戦が開始し、転移したノアは見た。幼い少女が虚ろな目で虚空を見ており、その周りに笑みを浮かべた複数人の白衣を着た者達がいるところを。


 彼女は反射的に重力操作の異能を使い、その場を制圧。


 だがまもなくして自爆装置を押され、彼女はすぐに少女を連れて脱出を図るのであった。





 ――3


「急げぇ!」


 ノアは走る。


 ――2


「そろそろやばいか?」


 ――1


「おっと、出口!」


 ――0


「間に合――」


 刹那、連続した爆発音。


「おわっ!」


 ノアは爆風を少し受け、体勢を崩しかけるが無事だ。


「ノア! 大丈夫?」


「その子は?」


「こりゃひでぇな」


 すると先に脱出していた、彼女の仲間達が寄ってきて、そう言う。


「あぁ、この施設に捕らわれていた。うわ、酷い有様だ、あいつらこんな爆薬良く持ってたな」


 少女、実験番号0番を抱えて施設から出たノアは、施設のあった場所を見て少しばかり引く。


 0番のいた施設は地下に存在していた。故にその地下の爆発によって地番が崩れ、それはもう酷い有様である。


「ひとまずその恐ろしく可愛い女の子をどうにかしないと」


 それはそうと、と。ノアの仲間、同業者である、緑色の髪が特徴的な女性がそう言う。


「ペロペロさせて」


 もう一人の仲間、水色髪の男性は変態のようだ。


「変態はどっか行け、というか少女の裸体を見るな! このキモおじ」


 赤髪の比較的小柄な女性は変態を貶す。


「おっと、紳士にあるまじき行動だった」


「……訴えましょうか」


「これは不可抗力だ!」


 何はともあれ、そうして実験番号0番は異能局に保護されたのであった。

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