表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/46

41話 僕達と伯爵

連続投稿できませんでした。スヤっとしました。

最近本当に耐え難い眠気に襲われるんですよね。





「私がシトナ・レイベル伯爵だ」


 そう、レイベル伯爵が名乗った瞬間、僕はなんともなかったのだが……リーゼさんが腰を低くして即座に臨戦態勢に入り、ミスケルがその後ろに速やかに隠れ、セイランとファイが身構える。


「……ほう?良い反応だ。金級と銀級のパーティと聞いていたが……従魔も、良いな」

「なんのつもりだ貴様」

「えっ?えっ?」


 レイベル伯爵は舌舐めずりをしながら、リーゼさんとセイランを流し見し、僕へ視線を向ける。


「あぁ。少年には何も向けていないからな。状況がよくわからないのは仕方ない。端的に言えば、私が彼女達に殺気を当てただけなんだが……」


 戯けたように片目を瞑り、リーゼさんを見やるレイベル伯爵。リーゼさんは息を吐きながら臨戦態勢を解く。


「ふむ。戯れが過ぎたかな。謝罪するよ」

「あービビった。ワシには刺激が多過ぎるぞ」

「あぁ、ミスケル。久しいな」

「あぁ。まぁまたアンタに会う事になるとは思ってなかったがな」

「私もだ」


 ミスケルはのそのそと歩いて、僕達の前まで出ると、レイベル伯爵と話し始める。


「立ち話もなんだ。座りたまえ。レギオン、茶を」

「かしこまりました」


 レギオンさんは一礼して退出し、僕らはソファに腰掛ける。


「……さて。諸君は何故呼ばれたのか理解できていないだろう。まずその話をしようか」

「おう。実の所それがよくわからんよな。ワシもグロース達から話は聞いてるが、お前さんが興味を持つ理由が見当たらん」

「だろうね。まぁまずはなんだ……『日本人』って意味がわかるだろうか?」

「「??」」


 な、なんて?


「よし。わからんか。そうかそうか。これで大半の要件は済んだわけだが……確か、リーゼといったか。君は記憶がなくなってしまったらしいが、その後進展はあったのか?」

「……言わなければいけないのか?」

「おっと。そう殺気をもらさないでくれ。……しかし、そうか。……うぅむ」


 最初の妖艶な雰囲気はどこへやら。レイベル伯爵は顎に手をやり、考え込む。


「あの、何かあったんですか?」

「何かがあったわけではない。あったわけではないのだが……そうだな。簡単な依頼を君達に頼みたい」


 ええー。なんか面倒くさそう……。


「そう嫌な顔をしないでくれ。君達の目的を阻害もしないから」

「本当ですか??」

「あぁ。本当も本当さ。君達の目的は精霊がいるとされる遺跡を周る事だろう?」

「そうですけど」


 そこでだ!とレイベル伯爵は声を張り、指をパチンと鳴らす。

 そしていつの間にやら部屋に戻ってきたレギオンさんが、飲み物を置いていく。


「ありがとうございます」

「はい」

「鮮やかに中断されたけどいいかね?」

「す、すいません」

「君達にする依頼はこれさ」


 と、懐から取り出されたのは三つの封筒。それぞれ、赤い紐と青い紐と白い紐で括られている。


「この三つの封筒をそれぞれ、精霊の遺跡の近くにある都市のギルドマスターへ渡してくれ。どのみち寄るだろう?報酬は金貨三枚。どうだ?」

「寄りますけど……」


 なんか嫌なんだよなぁ。それだけに金貨三枚なのも怪しい。


「ズズ……うめぇなこれ。でよ。その封筒、内容は変なもんじゃねぇよな?」

「勿論。近況報告の返事だ。君達も気を付けるといい。最近遺跡からの魔物の氾濫が多くなってきているからな」

「そうなんですか?」

「そうだ。元々は一年から半年に一度くらいの頻度で、起こっていたものなのだが、ここ三年程かけて、緩やかに数を増やしている。故に近隣のギルドに調査をさせているところだ。王都でも同様に確認されているからな。情報伝達は出来る者にやらせておきたいわけだ」

「でも、そういうものを、ただの冒険者にやらせていいんですか?」


 普通はありえないが、とレイベル伯爵は僕を見る。


「あのゼミスが信用できるというのだから、使わないという選択肢はないな」

「ゼミス!?」


 あいつ行くところ全てで名前が出るな!?


「君達が訪れる少し前に、アポも無しにやってきてな。自分は暫く旅に出るから、用があったらグロースを頼れと言われたよ。なので、頼らせてもらおうかと」

「原因はあいつか……!」

「あっはっはっは!その反応でどういった関係か何となく察せられるな。それで、受けてくれるかな?」


 両隣に座るリーゼさん達を見るが、僕に一任……かな。


「届けるだけでいいんですよね?」

「あぁ」

「お受けします。届けるだけですからね」

「よし。頼んだよ。何か質問が無ければ帰っていい」

「はい。二人は特にない?」

「おう」

「あぁ」

『僕質問したい!!』

「ファイ??」


 今帰る雰囲気だったけど、どうしたんだ?


『その人から––––様の匂いがするんだ』


 誰それ。精霊?


『違う……?神霊様の匂いだと思う。なんでなのか、知りたいんだ』

「うん?」


 紫紺の瞳を見つめ返し、僕はファイの問いを伯爵に掛ける。


「……そうか、精霊使いという話だったな。それは確かに、気になるか。この世に十柱しか存在しない神霊。その人柱に加護をいただいている。私には見えていないが、それで納得いただけたかな?」

『納得〜』

「納得したそうです」

「そうか。もういいかな。思ったより長引いてしまったし、ここらでお開きとしよう」


 なんだかよくわからない心の取っ掛かりを残したまま、僕達は領主邸を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ