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40話 僕達と伯爵との邂逅

連続投稿をするぞう!!(予定)




 

「これに……乗るんですか?」


 宿屋の前に止まっているやたら豪奢な馬車と、黒い大きな馬。普通の馬とは思えない覇気のようなものさえ感じる。御者席には執事姿のレギオンさん。


「えぇ」

「随分と良さげな馬車使ってんじゃねぇか」

「こちら、ディレクトルの王太子様から頂いた、オーダーメイドの馬車でございます。通常の馬車とは乗り心地は天と地の差があるというくらい違うもので……まぁ、お入りください」


 レギオンさんが、馬車の扉を開けると、赤色のカーペットの敷かれた、廊下が現れる。意味がわからない。というかなんだか既視感が……。


「お前、こりゃあ」

「驚きましたか。驚きますよね!!ミスケル殿。これは移動する別荘地型の馬車。世界に数台としか発見されていない遺跡産の馬車です。因みに王太子殿はあと三つ所持しております。おかしいですよね」

「お、おかしいなんてもんじゃねぇだろ!?」

「……ですよね。まぁ続きは我が主人の家でお話しするとしましょう」

「……あぁ」

「廊下を進んでいただいて、二つ目の部屋がお客様用の部屋となっております。そちらをご利用ください」


 皆、唖然としつつも頷いて。馬車に乗り込む。というか最早馬車と言っていいのかよくわからないけど。


 中は広く、広く……そして広かった。


 飾られている調度品はどれも高価そうで、見た事のないような物ばかりあって、周りにいるだけでヒヤヒヤする。


「というか、これ進んでるのかな?」

「揺れすら感じないしな……窓があるが……外は見えるか?」

「……おぉ〜!」


 部屋に入ってから正面の方に大きな四角い透明なガラスの使われた窓があり、そこから外を見れば、それなりに早く流れる風景が見れた。


「凄い……」

「その様子じゃ、動いてるらしいな。さっきから静かだが、リーゼはどうしたんだ?」

「あ、あぁ。私が特に何かあるわけじゃないんだが……本の精霊が少し騒いでいてな……。よく聴き取れないんだが、誰かの匂いがすると喜んでいるようだ」

「匂い?」

「キュキュウ?」


 ミスケルとセイランがスンスンと鼻を鳴らすが、二人して首を傾げている。


「この甘ったるい匂いの事か?」

「…………いや、違うらしい。…………聴き取れないな」

「精霊の名前なのかな。ゼミスに聞いたんだけど、自己紹介とかされても、その精霊自身に名前を呼ぶ事を許されていないとわからないらしいんだ。ほら、土の大精霊の名前とか、わからなかったでしょ?」


 と言うがリーゼさんは怪訝な顔をして、


「––––だろう?」

「えっ」

「そういや––––って言ってたな」

『––––様だよ?』


 待て。なんでだ。まさか、僕以外はわかってるのか……?


「……ぐ、グロース。まぁ、その事はまた今度聞けば良いのではないか?そんな悔しそうにしなくとも」

「…………そうですね。強くなってもう一回戦いに行きましょう。そうしましょう……」

「ほ、程々にな?」

「えぇ。手加減はしません」

「はは、は」


 リーゼさんは乾いた笑いをしながら、スッと離れていく。


「私は着くまで、また本と話をしているよ」

『僕もそうしようかなー』


 迷惑はかけるなよ。


「了解です」

「ワシはちと周りを見てくる」

「キュ!」


「はい」


 ミスケルとセイランは一緒に部屋を出て行ってしまう。


 僕もゆっくりしてよう……。




 待つ事十分程。何処からかレギオンさんの声がする。


『お待たせいたしました。領主邸へ、ご到着いたしました』


「着いたか……」

「らしいですね。降りましょうか」

「あぁ」


 馬車を降りると、二メートルくらいの高い壁に囲まれた大きな屋敷が一つ、ドーンと建っていた。ぱっと見では四階くらいありそうだ……。


「……おっきい」

『でかーい!!』

「流石お貴族様だな」

「キュー……」

「こちらで武器などをお預かりいたします。安全性は保証いたしますよ」



 レギオンさんが馬車を他の使用人へ任せて、門を開き、少し進んだ先で僕らの持っていた短剣などを回収しつつ、僕らを連れて歩く。


「我が主人は、最低限の礼節さえ為されていれば、怒ること等はありませんので、リラックスをば。寧ろ堅くなられる事を悲しまれるかと思いますので」

「わかりました」


 正直貴族に直接会うなんて、これまでの人生で考えていなかったので、ちょっぴり不安だけど……。リーゼさんも、ミスケルもいるし、なんか起こったら起こったでなんとかなるかな。


 屋敷の中を沢山のメイドや執事に見守られながら進む。なんだか不気味だ……。皆隠してるけど、憐むような視線を向けてきている。

 暫く進むと、両開きの木製の扉の前まで案内された。


「それでは……この扉の先に我が主人、レイベル伯爵がいらっしゃいます。恐らくは問題ないとは思われますが、無礼のないよう、よろしくお願いします」

「はい」


 全員が頷くと、レギオンさんがノックをして、若い女の人の声で許可が出された。そして、いつの間にか現れたもう一人の執事とレギオンさんが扉を開けると––––。


「ようこそ、冒険者諸君」


正面には、二つ並んだソファと、低い位置にあるテーブルが一つ。そして、正面奥にある執務卓に腰掛け、ウェーブの掛かった淡い紫色の髪を肩口まで伸ばし、妖艶な雰囲気を持つ紫紺の瞳の女性が、品定めするように僕らを見つつ、口を開く。


「私がシトナ・レイベル伯爵だ」



連続投稿してなかったらすみません。

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