24話 僕と多彩なバックパッカー
体調悪くてあまり更新出来てません。
「確か、ゴブリンダンジョンの下層に降りる手前の部屋が、安全地帯らしい」
「とりあえず、そこに着けば一安心ですね。けど……外のゴブリン達はあれで全部なんですかね」
ゴブリンダンジョンの入り口付近で、オーガが率いていたゴブリン達と、オーガを倒した僕達だったが、未だ安心はできないという事で、遺跡の中にあるという安全地帯へと向かっている。
因みに遺跡の中は、壁に埋め込まれている魔石が青白い発光を放ち、明るく保たれている。
「いや、ワシらを襲ったのはオーガが二体とゴブリンが沢山といった状態だったからな。恐らくオーガがまだ一体、周辺をうろついているだろうな。しかし、坊主達なら倒せたのではないか?」
「いや、僕単体だとあんまり勝てる気がしませんし……」
リーゼさんを見れば、彼女は大剣を鞘からスッとぬく。大剣は芯の部分から、柄に掛けてヒビが入ってしまっており、次にオーガと相対すれば砕けてしまいそうでもある。
「流石にこれでは厳しい。出来れば遺跡の中で剣を調達したいところだ」
「あーこりゃ確かに厳しいな。打ち合えてもあと二回くらいじゃねぇかね」
「わかるんですか?」
「あーなんとなくだがな。本業は錬金術なんで、ガッツリとした知識はないな」
バックパッカーだと思ってたら、錬金術師だったのか。鍛治師のほうがぽい気がするけど、人は見た目によらないんだな。
『グロース!右の角にゴブリンが二体槍持って隠れてるよ!』
ちょっと前の十字路で索敵してくれているファイが警告してくれる。僕はリーゼさんを呼び止め、先行する。
アクセルを展開し、高速で十字路に出て、ゴブリン達が槍を突き出す前に、袈裟斬りで二体を斬り倒した。
「ふぅ。大丈夫です。無力化しました!」
「おーう。坊主、銅級だって割には動けるよなぁ。銀級くらいにはなれるんじゃねぇか?」
「本当ですか!?」
万年銅級の僕が、ついに銀級に……!?
「声が大きい。他の個体が寄ってきたら厄介だろう」
「す、すいません」
「だが、今の動きは良かった。そのままいけるといいな」
「……!!!!」
褒められたー!!リーゼさんに!!褒められたぞ!?
『良かったね』
おう!!
「で、道三つに分かれてるけど、どうすんだ?」
「うーん。どうなんです?」
「ふむ……」
リーゼさんは腰に下げている本を撫でているが、あまり良い答えは得られてないようだ。
「とりあえず左から進んでみますか」
「そうだな」
「すまねぇな。地図でも持ってりゃ良かったんだが、ソーズの遺跡には来る予定がなかったから、持ってねぇんだわ」
「そういえば、どういう経緯であそこへ?」
「あー話すと長いんだが、聞くか?」
「注意しながらで良ければ」
『僕がみててあげるから、いいよー』
「キュキュイ!」
チラッと見れば、ファイもセイランも頷いてくれる。リーゼさんも興味があるようで、頷いた。
「おう。ええっとな。ワシらは元々別の国……ディレクトルで冒険者をやっとったんだが、ちと最近きな臭くなってきてな。早めに撤退しておこうって話になって、ワシらはそれぞれの故郷に帰る事になったんだ」
リーゼさんがディレクトルって何?みたいな顔して、一人でに頷いてる。本に教えてもらえてるのかな?僕もファイと話してる時はあんな感じなんだろうな。
「ほいで、帰ったは良いものの、家族は鍛治師ばっかで面白かないし、周囲にも遺跡があんまりないもんで、実験に必要な素材を集めるのに金がかかることかかる事。そこでワシは決意した」
「旅に出ようと」と、ミスケルさんはキメ顔でそう言った。
「とまぁ、そんなこんなで、どうせなら行ったことねぇ、ブレイブリィに行くかってなって、商人の馬車やら、冒険者の依頼で荷物持ちしながら、回ってきたわけよ」
「へー!じゃあもう旅においては大ベテランなんですね!!」
「おうよ!どこに行くにもワシさえいりゃ一安心……だったはずなんだが……」
わぁ、凄く綺麗に嫌な話題にしちゃったなぁ……。どうしよう。
『悩んでる所悪いんだけどさー。奥からゴブリンが五体くるよー』
「マジか!リーゼさん!前方からゴブリン五体です!」
「了解した。一人でいけそうか?」
『なんか魔法の杖持ってるゴブリンがいるから、ちょっとキツイかもだよ?』
と、二人に伝えると
「ゴブリンメイジがいるのか。ならそいつの対応はワシがしよう」
「良いんですか?」
「ワシ一人なら逃げるが、坊主が前衛やってくれんなら、問題ねぇさ」
「なら、お願いします」
『もうそろ』
ミスケルさんがバックから、スクロールを取り出して構える。
ファイにアクセルを用意してもらって、僕自身も展開しつつ、ゴブリンを視認した。
「グギャア!!」
ゴブリン達も僕達を発見し、四体がバラバラに散りながら走り始める。
「では、頼みますよ!」
魔法使いっぽいゴブリン……ゴブリンメイジというべきか。ゴブリンメイジが魔法陣を展開する。色は暗い茶色で、二陣。
僕より使えてる!!いいなぁ!とか思いながら、通路の左寄りを走るゴブリンの足首を斬り付け転倒させながら、返す刃で、正面からくるゴブリンを一閃。仰向けに倒れるゴブリンの上を跳躍して、棍を振り下ろしてきたゴブリンをアクセルを使って、紙一重で避けて、右に回転しながら、左上に向けて逆袈裟に右通路側を走るゴブリンを斬り裂く。
『アクセル!』
斬ったゴブリンが倒れ行くのを横目に、棍を振り下ろした体勢からそう変わっていないゴブリンの首を斬り落とす。
「っと」
それと同時に遠くで魔法を使おうとしていたゴブリンメイジが、鋭い岩に突き上げられて絶命した。
「ロックピアースのスクロールだ。距離感を掴まんといかんから、時間がかかっちまったわい」
「無事だったんで問題ないですよ」
にしても、高価な物をポンポン使うなぁ。魔法込められたスクロールは、一陣のものならともかく、二陣や三陣ともなるとその金額はその数倍、下手したら数十倍になる筈なんだけど……。
「因みにこのスクロールは、使い捨てじゃないからな。一般には出回ってない特注品だ。ワシにしか使えんという欠点があるがな」
特注品。そりゃあ凄いけど、誰にでも使えるようにって名目のスクロールが、個人でしか使えないのはどうなんだ?
「この話も長くなるからな。ともかく進むとしよう。それと、ゴブリンメイジのロッドは回収しよう。耳を集めるよりは、金になる」
「了解です」
ロッドを拾いバックへ入れると、感心したような声をミスケルさんがあげる。
「ほんと、銅級なのに大したもんだな。マジックバッグを使ってるのか」
「ええ。親のお下がりで、容量は大した事ないんですけど、小さいので戦ってる途中も背負ってられますし、便利です」
「ほー。そいや、坊主達は、坊主達だけのパーティなのか?」
「そうですよ。僕グロースと、リーゼさん。セイランに、見えてないでしょうけど、火の精霊のファイタンがいます。あ、もしかしたら、シーフの女の子が増えるかもしれませんけど」
「ほうほう。そりゃあいいな」
アンリはいつ頃来れるんだろうなぁ。というか来るのかなぁ?
『扉だぁ!なんかあるかも!』
いつのまにか奥の方へ行っていたのか、ファイが笑いながら帰ってきた。
「扉か……」
安全地帯なら嬉しいけど、罠とかあったら怖いな。
「ゴブリンのパーティがいたわけだし、もしかしたらボス部屋かもな」
「ボス部屋?」
「あぁ。遺跡内部で最も強い魔物が陣取ってる部屋だ。この遺跡なら、ゴブリンの上位種になるだろうな」
「……どうします?」
「悩ましいな。だが、オーガくらいの魔物であれば、私達ならなんとかなるだろう。ミスケル殿も手伝ってくれるのだろう?」
「そりゃあな」
セイランもキュっと短く鳴いて頑張るぞって身振り手振りして気合いを入れている。
「じゃあ、僕が先行しつつ、セイランとファイで補助を。危なそうだったら、リーゼさん、助けてください」
「あ、あぁ」
情けないけど、弱いのは自覚してるからね。多少動けるようになっても、油断をしないようにしないと。
「では、行きますよ!!」
ググッと扉を押し開けて見えたのは、オーガと見紛う程巨大なゴブリンが、広い部屋の中央で座しているところであった。
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