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22話 僕とファイの特訓談義



 特訓から翌日。ギルドに行く予定を変更して、本日も特訓になりましてございます、どうもグロースです。


『誰に話してるの?』


 あ、いやぁなんでもないんだ。

 ところで、ファイ。昨日試した連続アクセルが何回可能か、今日試してみたいんだけど、協力してくれる?


『良いけどー。やり過ぎは良くないと思うよー?頭も体も疲れるから』


 知ってる。でも、実戦で限界を知る前に、特訓中に判明させたほうがいい気がしてさ。実戦で動けなくなったら怖いじゃん?


『まぁねー。リーゼを待たなくてもいいの?』


 走り込みとか、剣を振るのは自分でも出来るだろう?それは自分で早めにやっておいて、リーゼさんと斬り合いたいんだ。なんだか、よくわからないんだけど、何か掴めそうな気がしてさ。


『ふーん』


 僕はルーズに貰った皮の鎧と長剣を装備して、試験場まで降りる。


「しかし、広いなぁ。どうなってんだ?」

『よくわかんないけどーなんかすっごいマナが濃いよねここー。いっぱい魔法使えそう』

「僕にはよくわからないけどね、その感覚」

『ずっと満たされるみたいな感覚?』

「なんとなくわかる?」


 軽く柔軟をして、走り始める。出来るだけ全力を維持して走る。それを三セット。


「ごほっ……はー疲れた」

『だんだん早くなってるよねー』

「本当!?なら嬉しいんだけど」


 正直自分だとよくわからないから、言われると嬉しいな。


『マナを吸収しやすくなってるんだよー』


 うん?マナを?


「どういう事?」

『多分ねー。リーゼも感覚で生きてるみたいだから、よくわかってないままの特訓になってるけど、ちゃんと身になってるよって事』

「いやいや、いや、身になってるって言われるのも嬉しいけど、何?マナがなんか関係してるの?」

『んーっとね。補助魔法あるでしょ〜?あれみたいな感じのを時折直感で使える人がいて、それが使えるようになってきてる?』


 んん?もしかしてリーゼさんっていつもそれ使ってる?


『うんー。凄いキラキラしてるんだー。魔力は少ないけど、それを補えるくらい精霊に好かれてるから、マナを通してもらってるみたい。だから、重そうな装備でも軽々動けるみたい』


 なるほどー。その特訓を気付かないまましてるって事か。


『そうー。ここのマナが満ちてるから、その特訓も凄く早く進んでるみたい。多分お外だとこんなに早くないと思う』


 色々わからなかったけど、昨日急に動きやすくなったのもこれの影響って事か。


『でも、これもやり過ぎると負担になるから、気をつけた方がいいと思うよ?』

「わかった」


 とりあえず特訓の意味がある事がわかったわけだし……いや、無いとは思ってなかったけどね?続きをしよう。


『はい!いっちにー!いっちにー!』

「ふっ……!ふっ……!」


 特訓中とは思えない愉快な掛け声と共に剣を振るう。

 というか、吸収か……。魔法を使う時の感覚で周囲から集めてるんだよな?


『いっちにー!うん?そうだよ。魔法の時みたいにギュイーンって感じじゃなくて、じわじわ〜って感じだけど』


 うん。わかりにくいようでわかりやすい説明をありがとう。


『一応リーゼより、魔力はあるから、マナの通りはグロースの方が良いはずだよ』

「本当かぁ!?」

『うわびっくり。うんー。結果はリーゼのが凄いけど、精霊がいない空間とかなら、グロースの方が強くなれると思う。そんな空間ないけど』

「おおー……結局リーゼさんには負けるんだなぁ」


 ガックリしながらも、剣を振り終え、その場で胡座をかくと、足の上にファイが乗る。もふもふだぁ……。


「というか、振り切れたな」

『体力も増えてるよねー。グロースなんであんなに弱かったんだろうねー』

「ほんとになー」


 一日特訓してもらっただけで、凄く動けるようになった気がする。何でだろう?走り込みとかはガンズでもやってたんだけどなぁ。


「リーゼさん起きてこないかなぁ」

「呼んだか?」

「うわぉ!?」


 真後ろからリーゼさんから声を掛けられる。いつからいたんだ?


「今どこまでやっていたんだ?」

「走り込みと、素振りを終えたところです」

「そうか……。もう一度走ってみてくれないか?一周でいい。素振りも十回ずつでいいから、やってみてくれ」

「?……了解です」


 僕は立ち上がり、言われた通りに走り出す。リーゼさんは走っている間何も言わない。なんなんだ?


「えっと、こんな感じですよね」

「あぁ。問題ないな。次は素振りを」

「はい」


 とりあえず十回ずつ。縦横斜めに空を斬る。


「……ふむ。ふむふむ」

「あの?リーゼさん?」

「いや、思ったより……これが普通なのか……?」

『普通じゃないよー』


 因みにここで僕と同じような特訓をしたら、他の……エイルメントのパラズさんとか、強くなるのかな?


『うんー。強くなるねー。ここが多分特別ー』


「よし、打ち合うとするか」

「はい!」

「今回はファイも協力してくれ」

『了解〜』

「行きますよ……?」

「いつでもこい」


 僕は長剣を構えたリーゼさんを見据えて、魔法陣を展開する。陣数は一。今や恒例のアクセルだ。ファイにも準備してもらい、踏み込むと同時に発動する。


「アクセル!!」

「セェア!!」


 リーゼさんが、横に剣を薙ぐが、僕は身を低くして、それを避け、避け切った瞬間に飛び上がるようにして剣を振り上げる。それをリーゼさんは剣を薙いだ勢いを殺さずに回転し、半身になって避けられるが、狙うはその次、


『アクセル!』


 ファイによって貰ったアクセルで加速しながら、次のアクセルを展開しつつ、手首を返して袈裟斬りにリーゼさんを斬り付ける。リーゼさんは半身になりながら背に剣を添えてそれを弾いて再び回転し、反撃の斬り上げ。


「まだまだ!アクセル!!」


 三度目のアクセル。倦怠感が押し寄せる寸前に三度目の加速。不思議と一度目よりも、そして二度目よりも早く感じる。

 弾かれた剣を強引に戻して、その剣を受け、大きく上に弾かれてしまうが、手放さない。


『多分これで限界だよー!アクセル!』

「おおおおっ!!」

「なめるなよ」


 四度目の加速。僕の手先がブレ、唐竹に一閃。だが、読まれていた。あっさりと半身になって避けられ、持ち手を蹴っ飛ばされてしまう。

 それと同時に訪れる、立っているのが厳しいほどの倦怠感。力が入らない。


「おっと」


 倒れ掛けるも、リーゼさんに支えられ、その場にゆっくり寝かされた。そして柔らかな感触。これはまさか、膝枕––––!


『よかったね〜』


 本当にな!頑張ったで賞って感じだ。

 そんなふざけた事を考えていると、リーゼさんは若干申し訳なさそうに話を切り出した。


「すまない。君を少し、いや、正直かなり見誤っていたようだ」

「そうですか?」

「あぁ。昨日の今日で、これほどまでに動きが改善されるとは思わなかったんだ」


 確かに昨日は凄くガッカリされてたしなぁ。ガッカリーゼさんだった。


「なんなら、ここまで君が弱かった理由が他に何かあるのかと勘繰ってしまうくらいさ」

「僕も正直気になったんですけど、思い当たる原因がないんですよねぇ」


 なんか心当たりないかな?ファイ。


『うーん。無いなぁ』


 謎だ。


「ともかく一度食事にしようじゃないか」

「了解です」


 そうして朝の特訓を切り上げて、僕達は朝食をとりに上へと戻った。




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