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21話 私と冒険家の訓練

ここ連日、あんまりあげれてなかったので、取り返す勢いで書いてます。ええ。熱も頭痛もあるので動かず寝てるのが一番なのです。つまり、書くくらいしかやるこたぁないのです。昨日は丸一日寝てましたけど。




––リーゼ視点––


「さて、先程と同じように行こうか」

「はい!」


 肩で息をする彼を蹴り飛ばす。無理矢理走らせ、その動きを見る。彼は疲れ始めると重心が激しく上下する。それのせいで早く疲労する。

 走り込みが終われば、剣を振るわせる。普通の長剣だ。重さはそれほどでは無い筈だが、やはり振るい続けると、握りが甘くなり剣を落とす。彼の場合、パワーが足りないから、手数を増やすしかないのだが、手数を増やすには体力が足りないという。


 少し休ませて、次は打ち合う。ファイの手助けは禁止だ。


「今回は私も長剣でやる。手加減なく、打ってこい」

「長剣使えるんですか!?」

「まぁな」


 早起きしてルーズに頼んで、宝物庫から色々な武器を取り出してもらい、使ってみたのだが、私は長剣も大剣も、弓も使えていた。ルーズからすンげぇ!つええ!と太鼓判を押された。

 記憶をなくす前の私がどんな人間だったのか激しく気になるが、今は彼を鍛える事が先決だ。


「さぁ、来い」

「行きます!!」


 最初は何もしない。彼が剣を振るうが、やる気があるのかないのか、遅い。踏み込みと剣の振るう距離が適切でない為、半歩下がるだけで避けられたり、半身になるだけで外れる。軌道が読み易すぎるのもいけない。


「遅い」

「……ッ!」


 右手に持つ剣を、左下から右上に徐に斬り上げると、彼は焦りながらも胸元に剣を寄せてギリギリで防ぐ。


「防がせた方が身に着くか?」

「ちょ」


 私の呟きが聞こえていたのか、ギョッとしながらも剣を構えて、警戒するグロース。


「別に、カカシになる必要はないからな」

「くぅあっ!?」


 やや遅めに長剣を振るう。彼は下からの剣撃の対処は何故かやや早く、逆に上からの剣撃には拙くなるので、そこを攻める。


「軽いな」


 グロースも防いでいるだけでは駄目だと思ったのか、剣を斬り上げるが、同様の速度で剣を当てて弾き、彼が手から武器を離し、私が首元に剣を添える。


「…………参りました」

「君は馬鹿正直に正面から剣を振りすぎだ。もっと周りを見ろ」

「はい……」

「キュキュ!!」

「うん?」


 座り込んだグロースに注意をしていると、セイランが、いつの間にか近寄ってきていた。


「どうした?セイラン」

「キュキュッキュ」


 セイランが身振り手振りをして、何かを伝えようとしてくれるが、よくわからない。首を傾げていると、セイランの後ろに昨日見たゴブリン達が数体出現した。


「これは?」

「キュ」


 セイランが彼らを見ながら、鳴くと、彼らは動き出し、それぞれ剣を構えて斬りかかってきた。

 私は反射的にその剣を弾く。うん?本当に弾けたな?


「お前は幻覚以外の物を作り出せるのか?」

「キュウ!」


 凄いだろうと言わんばかりに胸を張るセイラン。なんだか前にも見た気がするな。

 原理はよくわからないが、物理的にも認識できる幻覚という事でいいのか?


「これで実践を積ませようということか?」

「キュ!」


 そう!といった感じにセイランは頷く。


「凄い……触れるんだけどこのゴブリン。本当にどうなってるんだ?」

「わからない。わからないが、君の訓練には役立ちそうだ。早速だがセイラン。そのゴブリン達でグロースを襲わせるんだ」

「キュ!」


 元気よく鳴くと、キュキューと可愛らしい号令と共にゴブリンが五体現れ、それぞれがグロースに向かって剣を振るう。


「わー!?いきなり!?」

「キュ!キュキュ!!」


 やれ!そこだ!と言っているかのように、セイランはシャドーボクシングを始め、グロースを追い詰めていく。

 彼は転びそうになりながらも、なんとか立て直し、出来るだけ多くのゴブリンを目視できるような位置へ移動し、攻撃を捌いていく。


「セイラン。そういえば攻撃は当たったらどうなるんだ?」

「キュー」


 セイランは横に首を振る。当たらないということか?剣は弾けるのに?


「うわぁっ!?」


 グロースは漸く一体目を斬り倒した所で、バランスを崩し、ゴブリン達に串刺しにされた。


「キュ」


 しかし彼の身体には何の傷もなく、剣が刺さったと思われる場所に青白い光が纏わり付いた。


「セイラン。お前程訓練に向いている従魔は中々いないのではないか?」

「キュキューゥ」


 ふんすと鼻を鳴らして得意気に頷くセイランをしゃがんで指で撫でる。


 グロースは串刺しに刺された場所以外にも所々青白い光がまとわりついている。大体左側が多いな。


「傷の量を見るに、左側の上段からの剣撃でついた物が多いな。次はそこを気をつけながら、やろうか。ファイも今回から参加してくれ。……いるか?」


 いかんせん私には見えないので、いなかったら虚空に話しかける変な女になってしまうのだが、杞憂だったようで、頭の上に柔らかな何かがぽんぽんと乗せられた。


「……」

「準備ができたら、剣を構えろ」


 彼は柄を握ったり離したりして何かを確認している。

 少しして、彼は剣を構えた。


「始め!!」


 私の号令と共に出現するのは先程と同じようにゴブリンが五体が現れ、走り出す。


「ファイアーボール!!」


 彼は中央のゴブリンに向かって拳大の炎の玉を撃ち出し、そのまま正面に向かって走り出す。

 ゴブリンの一体は頭部に直撃して倒れ、左右それぞれ二体ずつが、剣を振りかぶる。


「アクセル!」


 そう叫んだ瞬間、彼の動きが目に見えて速くなり、左側のゴブリン達の剣を弾きながら、ゴブリン二体の間に体を滑り込ませて、右側のゴブリンの剣を避けた。


「ッ!」


 そこで彼の身体の動きは元に戻りかけるが、彼の頭上に魔法陣が展開され、再度彼の動きが加速し、滑り込みの体勢から一転しながら、水平にゴブリンの足首を狙って一閃。ゴブリン達は耐え切れずに転倒し、実質戦闘不能に。


「……?」


 思ったより動けるようになったな?一朝一夕に変わるわけはないと思っていたが……。この訓練くらいで動けるようになるのなら、母君の訓練でもっと強くなっていそうなものだが。

 そう思考している間にも、彼は駆け出し、二体のゴブリンを迂回して、危なげなく残ったゴブリン達を斬り倒した。


「はぁっはぁっ……やったぁ。勝ちましたよーリーゼさん」

「あぁ」


 違和感が凄い。彼が早く強くなってくれるのは良い事なんだが、理由が気になるな。


「キュー……」

「大丈夫か?」


 彼がその場に座り込むと同時にゴブリン達が消えて、地面にぺったりと伸びるセイランを拾い上げる。


「疲れたか」

「キュ〜」


 手のひらの上で無防備に転がるセイランのお腹を撫でる。可愛らしい。


「この訓練はこの辺で、また明日頼んでも良いか?」

「キュ!」


 ビシィっと敬礼して、またフニャリと倒れ込むセイラン。芸の尽きない子だ。


「さて。セイランはこのまま休憩だが、君はまだだ。また打ち合うとしよう」

「えぇっ……いや、いやいや、頑張りますとも!!」


 ゴブリン達を倒した事で、若干の自信を得たのか、グロースは勢い良く立ち上がる。


「そのいきだ。行くぞ……?」

「はい!!」


 笑顔で応えたグロースに向かって、私は斬り込んだ。



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