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こっそり爵位を得る

「ねえ、タイカイ君。それであなたはどうやって魔術師ギルドと闘うつもりなのかしら?」


女王陛下の御心配もごもっともだ。


「もう、それは丁寧に一つ一つ、いかに彼らが私に比べて劣っているか説明して差し上げようと」


「それで彼らが納得するの?」


「納得させる必要がありますか?彼らは手を出せないのをいい事に三国にあらゆる要求を受け入れさせてきたわけでしょ?当然、法に触れる事もあったでしょ?」


「だとしたら、なぜ彼らに説明するという手順を踏むの?」


「一つは自分が悪者にならない為ですね。もう一つは魔術師ギルドの連中に説明する形を取りながら、魔術の可能性をもっと世間に知らしめる為です」


「どういう事?」


「それこそ『魔術師の見果てぬ夢』ですよ。冷静に考えて欲しいのですが、魔道具なんか現物が残ってるわけですよね?作れないわけないのですよ。作った人が過去にいるわけですから」


「確かに」


「そもそも古代文明では魔術の技術が高かったとわかっていながら、なぜ古代の文献にあたらないのか。古代文字を読めない?不勉強だからでしょう。古代の技術を蘇らせるだけで今よりずっと魔術の可能性は広がります」


「そんなことができますか?」


「何を言ってるんですか。そこがスタート地点ですよ。その為に僕は惜しみなく魔術の知識を分け与えるつもりでいるのですから」


一同は言葉を発しなかった。

確かに、今まで悩まされてきた魔術師ギルドの横暴からはおそらく解放されるだろう。

だが、僕が新たな脅威となり得ると考えているのかも知れない。

特にラグランとカリムは僕が現在エルカディアに属していると言うのが大きな懸念材料となっているだろう。


「二人は俺たちエルカディアがこいつを抱えている事に不安を感じるんだろう?確かに現状、タイカイはナミナミ男爵家の唯一の後継者だ。男爵本人が公爵夫人を兼ねている現在、いつ男爵になってもおかしく無い」


「確かにラグランとしては、その辺りの危惧は持たざるを得ませんね」


三国の中では比較的魔術に関心が無いのがラグランだ。そのためどこかラグラン王は魔術に対する得体の知れない警戒感のような物を持ってもいる。


「エルカディアの人間じゃなくなれば多少は不安も減るのでは無いか?」


もう、この辺りの話は学長と陛下にお任せだ。下手に動いて自分の欲を悟られたく無い。


「私は、今回彼に学部長を受けてもらうに当たって、ザイルベルグ帝国の爵位を授けようと思う。無論、領地も無いし領民も居ない。実益は全く無い爵位だ。エルカディアを含めた三国の爵位はパワーバランス的に難しい。

だが、三国外に流出されるのも困る。彼自身が権力も財も望まないと言うのだから、最大限の名誉で繋ぎ止めるしか無かろう」


「俺は賛成するぜ。正直、エルカディアの為に働いてもらいたい気持ちはあるんだが、もはやウチが独り占めしていい存在じゃないしな。それに、気づいてると思うがコイツは相当の切れ者だ。こんな奴が我々三人の相談相手だってのは心強いじゃないか」


エルカディアがこう言ってしまったら、なかなか他の二国は反対し辛い。


こうしてひっそりと第四の帝国侯爵が誕生した。

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