調子に乗り過ぎると痛い目にあうよ
「は?」
「大気中の魔素を体内に取り込まずに、そのまま魔術にするの」
「出来るの?」
「そうでなけれはどうして背後からファイヤーボールを撃てる?」
「出来るのかあ……」
「勿論、自分の魔力は完全に扱えて、その上で自分の魔力を道具にして大気中の魔素を扱うようなものだから、これは普通の人には出来ないよ」
「納得した」
「で、姉ちゃんの言ってた爆発するやつは、この種類にあたるから、教えられない」
「うう、そうなのか……」
「ちなみに、アレは物凄い問題のある魔術なんだよ。出来るならあまり使いたくない」
「どうして?」
「魔力ってさ、魔術を使う度少しずつ上がるんだよ。でね、アレは種火を多重起動させてるんだよ。あの時の爆発レベルで4096個かな。それだけ多重起動させちゃうと、一回使うだけで魔力が100近く上がっちゃう」
「それ、何がマズいの?」
「魔力上がりすぎると、魔力を動かすのに力が必要になるね。モニカ殿下が魔力を循環できなかったのは、魔力が多すぎたからだよ」
「で、まさか三つ目の種類も教える事が出来ない魔術?」
「とりあえず、見てみる?三種類目。まあ、見えないファイヤーボールだけどね」
「は、ネタばらしとかナメてるわけ?」
避けてみろよ。
絶対無理だから。
「見えないのにどうやって避けるの?」
僕は嘘はついてないよ。
何故見えないか言ってないだけで。
「どれだけ今まで戦ってきたと思ってるのよ!」
「それだけ戦っても、たかが真後ろから来るファイヤーボールを避けられなかったよね?」
「……タイカイさんって、魔術よりも人をイラつかせる才能の方があるんじゃないかしら」
エリちゃん、それ正解かも。
柑奈も頷いてるし。
「いいから撃ってきなさい」
じゃ、やりますか。
その瞬間、姉ちゃんはお腹を押さえてうずくまった。
うん、ちょっと威力上げさせてもらったよ。
「……何これ?」
「三種類目。姉ちゃんの身体の中で、姉ちゃんの魔力でファイヤーボール作って爆発させたんだよ」
「……デタラメも大概にしてよ!」
嘘はついてないよね。
見えないファイヤーボール。
見えない、って言うと見ようとする。
だから、身体の中の異変に対しておろそかになるだろうと考えたわけ。
「確かにこんな魔術使われたら、そりゃアンちゃんも自信無くすわ……」
「ちなみに、ステータス見てごらんよ。姉ちゃんの魔力が使われてるのハッキリわかるから」
「……おい、大海。何故ファイヤーボールで魔力が10減ってる?」
「なんか、腹が立ったから威力が上がっちゃった。僕もまだまだだね、精神をコントロールできないようじゃ」
「うん、わざとという事がよくわかった」
あ。
調子に乗りすぎたらしい。
一瞬で距離を詰められ右腕を取られた。
気付けば僕の目には空が映っていた。
一本背負いだ。
そのまま腕ひしぎ十字固めに移行。
関節極めに来てるってのは、姉ちゃんが冷静に怒ってる証拠だ。
タップした。
やめてくれるわけがない。
「お姉様、申し訳ありませんでした!」




