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卑怯は褒め言葉

カラミズ草の採取は当然簡単に終わった。


やはり、簡単にカラミズ草を判別する僕らを見てエリちゃんは鑑定スキルの有用性を再認識したようだ。


ギルドで達成報告と買取をしてもらい、クランハウスに戻ると、姉ちゃんが待っていた。


「お疲れさま。ベティも色々大変だったでしょ?」


「ほとんどお役には立てませんでした。なんかもう皆さんが凄くて出る幕はなかったですよ。でも、おかげで新しい魔術も覚えましたし」


「一日で使えるようになったの?」


「一日というか、一瞬ですね。だって教えてくれるのがタイカイさんですもの」


「……私も魔術覚えようかな」


姉ちゃんが魔術を覚えるとなるとますます手がつけられなくなると思うが。


「大海!私にも魔術を教えなさい!」


実際のところ、姉ちゃんも魔力循環が出来たほうが良いに決まってる。


だが、姉ちゃんには魔術を使うにあたって大きな不安要素がある。


姉ちゃんは壊滅的に絵心が無いのだ。

魔術が魔力を使ってイメージを具現化するものである以上、そのイメージ力の弱さは致命的な弱点となりうる。


「姉ちゃんはどんな魔術を使いたいの?」


姉ちゃんの性格はわかっている。

わかりやすく火力のある魔術だろう。


「あの爆発するやつ」


ほらね。

あ、エリちゃんは知らないんだ。

露骨に興味ありそうな顔してる。


「僕、説明しなかった?あれは絶対無理だよ」


「何で?魔力なら結構あるよ」


「わかりやすく説明するから、外に出ようか」



「僕の魔術は三つの種類に分類できるんだ。その三つの種類をわかりやすく同じ魔術で説明するから、姉ちゃん的になってね」


「あんたの魔術受けるの?」


「全部ファイヤーボールだから、心配無用だよ」


後が怖いじゃん。


「まず一つ目。行くよ」


普通にファイヤーボールを撃つ。

ファイヤーボールくらいなら、姉ちゃんも受けても多少痛いくらいだろう。


「大したことないけど、わかってて受けるのは良い気はしないね」


「あ、なんなら避けてくれて大丈夫だから」


「だったら先に言え!受けなくて良いならビンタだって受けたくないんだよ、こっちは!」


無視だ。

次の魔術、避けれるものなら避けてみろよ。


「今のは普通の魔術。これは教える事が出来る魔術だね」


「ただのファイヤーボールだもんね」


見ている三人も頷いてる。


「二つ目、これはもう教えられない魔術だけど、行くね。姉ちゃん、避けなよ!」


ファイヤーボールを撃つ。

ただし、大気中の魔素を使って。

姉ちゃんの背後から背中に向けて。


ファイヤーボールは、無防備な姉ちゃんの背中にしっかり命中した。


「背中から?メッチャ卑怯じゃん!」


卑怯は褒め言葉。


「でも、何故タイカイさんは自分の手から離れたところからファイヤーボールを撃てるのですか?」

「そう、なんで?」


「大気中の魔素をそのまま魔術にしてるから」


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