食糧がやって来た。
さて、稼ぎも気にしなくてはいけない。
メンバーが一人増えた以上、その分稼がないとな。
よって、ここからは多少効率も考える。
僕らが協力しながらエリちゃんのレベル上げをしていくなら、敵をロープで縛るのが良いだろう。
過保護ですね。
厳しい戦闘も経験するべきであるのはわかっているけど、それはもう少しレベルが上がってHPに余裕が出来てからの話。
ただ、少し強めの敵なら何も考えず殲滅だね。僕らも経験値が欲しくないわけじゃ無いし。
「あの……実はミナミ様から言われてることがありまして……」
「ん?何?」
「レベル上げすぎたらダメだよ、と」
マジですか。
やるんですか?エリちゃんに。
「……流石にエリちゃんには、やらないと思ってたよ」
「女の子だよ、流石に少しは手加減するぞ、姉ちゃんでも……」
「ほう、私が死にかけたのを見て居なかったのか?それとも私が女じゃ無いと?」
柑奈さん、怖いよ。
ただの軽口じゃないか。
「何があるんですか?」
エリちゃんも流石に少しビビってる。
「姉ちゃん自ら特訓してくれると思うよ」
「ホントですか!ミナミ様が特訓を?」
声が急に大きくなった。
「嬉しいの?とんでもなくキツいんだよ?」
「だって、あのミナミ様ですよ!皆さんは勿論ミナミ様に慣れてらっしゃるから、忘れてるかもしれませんが、若い女の子皆んながミナミ様に憧れてますから」
まあ、顔だけは整っていることは否定しないよ。
その分、心が整ってないけど。
「楽しみなのは、今のうちだけよ」
「僕らは子供の頃からこういう特訓めいたことをやらされてきたけど、それでも大変だったからね」
「ゲンタさんまで……」
「死なないとは思うけど、死んだほうがマシだとは思うくらいキツいからね」
まあ、また僕らもみっちりシゴかれるんだろうけどね。
でも、そうなるとエリちゃんには回復に専念してもらったほうがいいのかな?
……回復必要な相手に出会うかな?
かと言って見てるだけ、ってのもかわいそうだしな。
「ねえ、食糧がいるよ」
ワイルドウルフだ。
「エリちゃん、あれロープで捕まえて」
「はい」
簡単に確保。
もう、使いこなせていると判断していいね。
「ロープを縮めながらゆっくり近づこうか」
毛皮は無傷で取りたいのでね。
解体の前にまずワイルドウルフの魔力を使用しての体内ファイアーボール処理。
軽く体内を焼いてからの解体だ。
「解体は源太がお手本見せて上げて」
「わかった。殿下、これはいかに毛皮に傷をつけないかが重要なので、よくご覧になってくださいね」
源太は本当に器用なんだよ。
解体ってスキルを持ってるんじゃないか?
「あれ、なんか肉に火が入ってません?」
「大海が解体前に火を入れたからね」
「なんか、本気でデタラメな人ですね」
「陛下たちが疲れ切って帰ってきた理由もわかるでしょ?」
「……はい」
「でもね、これ死んですぐ火を入れないと肉の臭みが強すぎるみたいだよ」
「確かにワイルドウルフって、クセの強い肉だとは聞いていますけど」
そんなこと言いながら、綺麗に皮を剥いでいく。
「こんな綺麗な毛皮見たことないですよ」
「素材を待つ人がいる以上、最高の状態で持っていく義務がある。それが我々『人外魔境』の考え方です」
「冒険者っぽくないですね」
「どっちかと言うと職人?」
「そんな感じですね」
こっちは火を起こしてる。
とは言っても、適当な木の枝に種火つけただけだけど。
「さあ、ちゃっちゃと焼いて食べましょうか?」
柑奈が肉を切り分けて焼いていく。
さあ、エリちゃんよ、驚け。
ワイルドウルフの旨さに。




