捕縛を習得する三人
「まずは、イメージだね。僕は黒いロープが敵に向かって飛んでいき、そのまま敵の周りを5回周るイメージで撃ってる」
「確かにそんな感じだったね」
柑奈は良く見てたようだ。
「俺はファイアーボールを撃つのに必死で見てなかったから、もう一度見せてもらえるか?」
「私も見たいです」
「じゃ、ついでに魔力の流れも見ておいてくれよ。これ、右手の中で螺旋に回す必要は無いんだ」
「どこに飛んで行こうが追尾するわけだからな」
「そっか、その分魔力の消費が少なかったりする?」
柑奈はなかなか鋭い。
「これ、多分ファイアーボールより魔力消費が少ないはずだよ」
「そう考えると、かなり高性能な魔術ですよね」
エリちゃんも評価してくれている。
誰でも使える魔術にしたいから、魔力消費が少ないのは絶対条件なんだよね。
「じゃ、見ててね」
僕はたまたま通りかかった野鼠に向かって黒ロープを撃ち出した。
野鼠は僕らの姿を見て逃げ出すところだったが、ロープはそれを追いかけ捕縛してしまった。
「あんな小さな鼠でも捕まえることができるなんて……」
「三人ともイメージはわかったよね?」
これ、動く物を捕まえないと追尾するイメージをしっかり持てないかもしれないと思って、無茶を承知で小さな鼠を狙ったんだ。
ああまで上手くいくとは思わなかった。
「よし、イメージは完璧。魔力の流れもわかった。やってみるぜ」
源太、落ち着けよ。
「源太、止まってるもの狙ってもしょうがないから、僕が的になってやるよ」
「大丈夫なのか?」
「まあ、見てろよ」
僕は少し三人から離れた。
魔力も魔素も自在に操れるんだよ、僕は。
魔力のロープなんて、僕のエサみたいなものさ。
「さあ、撃ってみろよ」
「いくぞ」
撃たれる側から見ると、結構速いスピードでロープが飛んでくる。
真っ直ぐ目線の高さで来るので、意外と距離感も掴みにくい。
撃ってる側がイメージする程、見やすくないし、普通に避けられそうにないぞ。
僕は左にステップしてロープをかわそうとした。
ロープの先は急に僕の方に向きを変えたかと思えば、あっという間に僕に追いつき、縛り上げた。
「いいね。これ避けられないよ」
僕は自分に巻きついたロープの魔力を自分の体の中に取り込んだ。
ロープは溶けるように消えて無くなった。
「まあ大海が自分で対処できない魔術なんか作るわけ無いよな」
エリちゃん、口を閉じて。
ぽかーんとしてるよ。
それに、源太は誤解してる。
僕だって浮遊機雷の16乗バージョンとか使われたらどうしようもないよ。
使う人は居ないけど。
「次、私が行くね」
柑奈もロープを撃ち出した。
黒くない。
追尾するんだから、見えなくても構わないってか?
ただね、これ、僕相手には意味が無いよ。
応用してくる器用さには感心だけど、僕は魔力見えるんだぜ。
それに、黒かろうが透明だろうがどっちにしろ僕は捕まるんだから……。
「うん、色が付いてなくても変わらないね」
でも、この魔術を一般販売するには色を付けないとダメなんだ。
捕縛した安心感を与えられないでしょ。
透明のロープで縛り上げた所で、周りの人は目で見て安心はしてくれないからね。
そして、エリちゃんの番。
エリちゃんも無事、捕縛の魔術を覚えたよ。
「お兄様やお父様が逃げ出しそうな時、使わせてもらいますね」
それをしたら僕が怒られるのわかってます?
「三人とも魔力の消費はどうだった?」
「2だね」
柑奈の言葉に源太とエリちゃんも頷く。
追尾も意外と魔力使わないんだね。
僕の場合、追尾まで魔力1で使えるから、ロープを引っ張るよりは追尾の方が魔力を使わないようだ。
「満足した?この魔術」
「ああ、面白いよな」
「使い勝手はありそうね」
エリちゃんもニコニコしてる。
「こんなにあっさり魔術をポンポン覚えるなんて、全く想像してませんでしたよ」
次は僕の番だからね。
僕がポンポン覚えさせていただきますよ。




