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どうも、優秀な若者です

「ちょうど学長室に伺うところだったんです。途轍もない異世界人を紹介しようと思いましてね」


「そちらの若者かい?」


「まあ、その辺は立ち話って訳にはいかないですから」


「そう言う事なら、学長室でお茶でも出しましょうかね」



「並波大海と申します」


陛下に促され、僕は挨拶した。


「なるほど、歳格好から言って弟さんですか?」


「はい。あの無法者の弟です」


「はは、確かに……。多少やんちゃですね、彼女は」


どうやら学長も被害者らしい。


「学長、タイカイは凄いですよ。魔術を使い始めて数日にも関わらず魔術の創作に成功したんですから」


「……本当ですか?それは」


「スキルも凄いです。伝説の多重魔術を持っていますし、分析という聞いたことすらないスキルも持ってます」


「おお!多重魔術か!」


興奮が凄いな。


「多重魔術に関しては、ほとんど知られていないんだ。どういう効果があるのか、いったいどれだけ有益なスキルなのか」


笑っちゃうくらい有益ですぜ。


「学長はスキルや魔術の研究もされているのだが、多重魔術に関しては保持者がいなかったから、研究したくてもできなかったんだ」


「是非、わかったことだけで良いから教えてもらえないか?」


「基本的に、スキルLv+1個の魔術を同時展開できるようですね。それは違う種類でも大丈夫でした。例えばファイアーボールを二つでも、障壁張りながらファイアーボールでも大丈夫です」


「かなり有益だが、魔力が無いと使いこなせないだろうな」


「ちなみに、Lv10で無制限に魔術を同時展開できますよ」


「おい。また聞き捨てならない事を……」

「何故、Lv10の情報を持っているのです?」


「上げました。Lv10まで。正確に言うと、ある魔術を作る過程で勝手に上り切りました」


「おい、わかるように最初から説明しろ!」

「私からも頼む」


僕は浮遊機雷の制作過程を説明した。


「魔素が見える……魔素をそのまま使える……。正直、それだけでも驚きですが魔素を使うから自分の魔力を一切使わないとは」


「それに加えて、その発想だよな。魔術に見せかけた物理的な爆発とか、それをさらにわかり難くするために同規模の魔術爆発と混ぜるとか……」


「理屈では判りますよ。説明されれば、なるほどと思います。でも多重魔術でたかが種火の魔術をいくつも重ねる発想は、私には一生出てこないですね」


「ただ、正直使いたくない魔術でもあるんですよ」


「何故ですか?おそらく、この魔術は出そうと思えば火力は幾らでも出せるでしょう?それも魔力消費無しで」


「魔力が急に上がり過ぎるのです」


「魔力が増えたとか言うのも、これが原因か。確かに莫大な数の魔術を重ねるわけだしな」


「ガウス殿の言う通り、途轍も無い若者だな。でも、ナミナミ家の人材が多い現状は三国のバランス的にもあまりよくは無い」


「私も痛くも無い腹を探られるのは、いい気分では無いですしね」


巨大戦力扱いか?


「タイカイ殿は、今後どういう活動をするつもりなのかい?」


冒険者がメインだけど、色々やりたいことは多くなってしまったな。


「自由に活動したいですね。誰にも利用されることなく、冒険者をやりたいです。でも、正直研究したい事も沢山ありますし、魔術をもっと沢山の人の生活に役立てたいですね」


「地位や名誉は求めないのかい?」


「身を守る為に地位があると便利ですよね。でも、半端な地位はかえって危険ですし。そう言う面では学長が羨ましいですよ」


「ほう、わかるかい?」


「権力を持たない権威って、かなり安全じゃないかと思ってます」


「お前、本当にミナミの弟か?同じ環境で育ったろうに」


「環境は違いますよ、全く。僕には暴力的な姉がいた。姉には暴力的な姉が居ませんでしたから」


「……そう言われたら返す言葉が無えな」


学長は、僕の目をしっかり見た。

国王も、にやにやしながら僕を見ている。


「この学園で、新たに魔術学科を創設するつもりだ。一年後を考えている。学部長を引き受けてもらいたい」


マジか。


「当然講義を持つわけですよね?」


「と言うか、魔術を教えることが出来るとすれば君しか居ないだろう」


「現状で、魔術が学問として組み立てられていない……のですね?」


「残念ながらそうだ」


「確かに、ゼロからカリキュラムを組むとなると一年後でも間に合うかどうか」


「だが、魔術を学問として作り上げ、多くの優れた魔術師を輩出しない限り、この世界は危険に曝され続けることになる」


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