殿下はいつも突然に
さて、そろそろ姉ちゃんその他と合流しなくちゃいけないのだが……。
どこに行けば良いのか?
実は合流場所も指定していない。
並波家においては、そう珍しいことでは無い。
むしろ良くあることだ。
仮に合流場所を決めていたとしても、無駄になる事も多い。
気分で行動する人達だからね。
こういう場合、まず行動を読む事が大事だ。
別行動になってから3時間以上経っている。
うちの親と源太の親が色々見て回ってると言っても、さすがに見尽くしただろう。
なら、彼らはどうするか?
その辺で飲んでるに違いない。
ばあちゃんも、まだ飲んでるはず。
姉ちゃんに合流するなら、男爵邸に行けば良いだろう。
僕らがこの世界で最初に来た場所だ。
探す手間を考えると、姉ちゃんに合流するのが一番楽だな。
「よし、じゃあ男爵邸にむか……毎度の事ですが、いきなり現れるとびっくりするんですよ」
前触れなく時空魔術で現れるのは、お馴染みアントニオ殿下だ。
「まあ、これでも私も忙しい身でしてね。早速で悪いんだが、色々陛下が聞きたい事が有るそうだ」
「僕、何も悪い事してませんよ!」
知らないうちに何かタブーを犯したのか?
……思い当たる節は有るけど、早くないか?
さっきだぞ、二人に魔力循環教えたの。
「陛下はタイカイ君の作った魔術に興味をお持ちだ。もちろん私も非常に興味を持っている。どうせ詳しいことを聞くなら一緒にと思ってね」
どっちだろう。
カウボーイも浮遊機雷も陛下の耳に入ってるんだろうな。
「今から行かないと行けないんですか?」
「そうしてくれたまえ」
「二人も一緒で構わないですよね?」
「その方がいいだろう。実際に使ったところを見た人の感想も聞かせてもらいたいし」
ここまで言われたら仕方ない。
大人しく陛下の元へ行こうじゃないか。
僕たちはアントニオ殿下の時空魔術で王城に拉致されてしまった。
だけどね、転移の際の魔力の流し方はきっちり観察させてもらったよ。
転んでもただで起きる男じゃないんだ。




