実験動物ワイルドウルフ
僕はすぐに柑奈と源太に実験の概要を説明し理解を求めた。
「発想がだんだん人外の域に達してるよ……」
そうかな?
でも、なんかできそうな気がするよ。
「大海、その魔術って、考え方自体からしてかなり危険で、知られたらまずくないか?」
「言うほどかな?」
「だって相手の魔力で相手にダメージ与えるんだろ?いくらでもその魔術使い放題じゃないか……」
そうか。
浮遊機雷の仕組みも教えてなかったもんな。
「でもな、これ二人のためでもあるんだよ。僕が他の人の魔力を操れるってことは、二人に魔力循環を覚えさせることが出来るだろうからね」
「ん?大海が強制的に私らの魔力を循環させるの?」
「それも出来るだろう、って考えなんだけど」
二人はなんとなくわかったような、わからないような、って感じなのかな。
「何はともあれ、ワイルドウルフをモルモットにして、試してみるんでよろしくね」
「手出し無用?」
僕は黙って頷いた。
◇
現れたワイルドウルフをカウボーイで捕獲。
ぐるぐる巻きにして、慎重に引っ張る。
引き摺ってダメージ与えたら嫌だし、毛皮を傷つけたくない。
さて、実験その1。
手で直接触れて、魔力を流し込んで僕の魔力で押すように循環させる。
確かに循環しだした。
魔力を流すのをやめても循環したままだ。
ただ、ワイルドウルフは苦しそうに暴れている。
MPというのが自分の体内で保持できる魔力の限界値とすれば、この反応もわからないでもない。
「……私たちも、こんな感じで苦しむの?」
さすがにこのままこれをやるのは、マズいかな。
実験その2。
過剰魔力を吸い出してあげよう。
とりあえず半分ほど貰ってしまおうかな。
僕自身も過剰な魔力を流したらどうなるか試したいし。
ああ、これはキツいわ。
過剰な魔力が息苦しく感じる。
ただ、僕の場合MPの最大量がかなり増えたので割合にしたら1%程度だけど、ワイルドウルフにしたら過剰率100%くらいだったから、苦しかったろうな。
吸い出したおかげで、ワイルドウルフは暴れなくなった。
やはり過剰な魔力が苦しかったんだな。
魔力の循環を強制的にする場合、最初に魔力を少し吸い出してあげないといけないらしいな。
実験その3
直接触れてファイヤーボールを体内で爆発させてみよう。
通常、ファイヤーボールを食らってもワイルドウルフは死なない。それどころか毛皮を傷つけることさえできない。
ワイルドウルフの体内で循環している魔力を集めファイヤーボールにしてそのまま爆発させる。
実に簡単に出来る。
この程度の魔力の操作ならワイルドウルフに直接触れなくても、自分の魔力と大気中の魔素を介在させて遠隔操作も出来るだろう。
あっけなくワイルドウルフは息絶えた。
鑑定スキルによっても、はっきり死亡が確認できた。
丁寧に解体していて気づいたのは、まず毛皮はノーダメージだということ。そして、肉や臓器はしっかり火が入っている事。
魔力を閉じ込める形になったからか、効率よく体内にダメージを与えることが出来たようだ。
「せっかく、肉が焼けたんだから食べてみようか?」
柑奈さんが言う。
いや、満遍なく火が通ってそうだけど、もう少し焼いた方がいいだろう。
というか、毛皮もまだ剥いで無い魔物の食べる相談は早すぎるだろ。
文句を言う間も無く、柑奈は火を起こし始めた。
流石にもう少し焼きたいようだ。
僕と源太は協力して解体することにした。




