カフェを作るんじゃない、文化を作るんだ
何はともあれ、物件は実際に見ないと話にならないよ。
内見は大事だよね。
一つ目の物件は確かに人通りの多い中心部だった。
やや古いことは気にならない。
厨房は完備と言っていたが、多少手狭だ。
悪い物件では無いと思う。
……カフェじゃ無いのなら、だ。
カフェにするには致命的に明るさが足りない。
この店は、外からほぼ見えない。
屈強な男ならそれは気にならないだろうが、スイーツを売りにしたいカフェには致命的だろう。
「悪く無いよね。ここ、ちょっと狭いけど雰囲気あるよ」
姉ちゃんには好印象なようだ。
源太の父さんも結構気に入ってるっぽい。
僕はここのマイナス点を二人に説明した。
暗い。
中が見えない店に女の子が入るのはちょっと厳しい。
「確かに、中が見えないと入りにくいものだったね。もう、そんな感情無いから気づかなかったけど」
姉ちゃんは自分から「恐怖感」というものが
完全に消えてしまったことに、今更ながら気づいたらしい。
二つ目の物件は多少明るさはあったが、それでも外から店内を見るのはなかなか難しい店だった。
内装が豪華というが、これはどちらかと言うと下品な印象すら与える。
店舗が広い以外に何も良いところはない感じだ。
ここまで二つを見て、もう結論は出てしまった。
そもそも、カフェを出すということはここに無い文化を作っていくということだ。
その文化の中心は、若い女性なのだ。
この世界で若い女性のための店があったことはない。だったらそれは一から作らないといけないだろう。
そういう趣旨のことを源太の両親に言った。
「文化か。それはなんだか大きな話になってきたけど、やりがいがあるというものだよ」
もう選択肢は二つだ。
店舗は四つ目の候補地に建てる。これは確定だ。
その店舗が住居兼用か、店舗専用か。
店舗専用の場合は三つ目の物件に住むことになる。
三つ目の物件は実際に見ると、凄く良いところだった。
家庭菜園というより、ちゃんとした畑だ。
水場もある。
井戸の水を見る限り、新たな井戸を掘るのも大変じゃない。
家自体も比較的新しくて綺麗だ。
ここが王貨1枚は、絶対買いだろ。
店舗候補地も見に行った。
店舗がここにあったら最高だろう。
人通りは多いけどあまり荒くれ者の姿は見ない。
男爵邸のすぐ近くだからだろう。
これで、決まりじゃないかな。




