彼らをどう扱うのか
「うん、別に取り調べも無いし、ここで始末してくれて構わないよ」
やはり。
姉ちゃんに聞いたらこれだ。
僕が殺さずに無力化できるか試したんだろ。
今後、こんな形で誰かを捕まえないといけないこともあるだろうからさ。
たださ、戦闘の最中に殺してしまうのは仕方の無いことだけど、こう言う風に会話をしてしまうとちょっとやりづらいよね。
「どうしたらいい?」
「まあ、二度と私らには向かって来ないでしょ。ほっといてかまわないよ」
無責任だなあ。
一応、ここの近くの街の代官にでも引き渡した方がいいんじゃ無いの?
「事情聞かれたり、お礼だとかで結構な時間取られちゃうからね」
ま、時間の余裕がある旅ではないからな。
「良かったな、お前らとりあえず逃げられるぞ」
僕は首領に言った。
彼らからしたら、死が先に伸びただけかもしれない。
「ねえ、あんたたち」
首領をはじめ全員の目が怯えている。
まあこの世界最強クラスの人間に楯突いたんだ。自分のやったことが恐ろしくなるよね。
「もし、真面目に働く気があって、体力があるならリーグ鉱山で働けるようにしてあげるけど、どうする?」
「あそこは確かメルガルド男爵の領地じゃなかったですか?メルガルド領なんて……」
「まあ、アイツは何にでも税を掛けたからね」
どう考えても豊かな土地のはずなのに、重税で経済が低迷し、税収が減り、さらに重税を課しという至極単純な負のスパイラル。
冗談で「空気を吸うにも金が掛かる」と言われたほどだ。
「もう、領主はメルガルドじゃないんだよ。姉ちゃんが領主になるんだ」
「そんなに税は取らないよ。私、金持ちだからね」
冒険者崩れだからよく知っているだろう。超一流の冒険者の稼ぎを。
姉ちゃんは、厳しい顔で続ける。
「ただ、鉱山の仕事は大変だよ。場合によったら死ぬこともあるかもしれない。でも、その場合だって遺族には最低2年の生活費を保障する」
皆の空気が変わった。
少なくとも今よりははるかにマシだろう。
「言い方は悪いけど、大した盗賊じゃなくて良かったな」
だって手配されてるような大物だったら、こうはいかないだろう。
首領も頷く。
「ここにいる連中だけじゃなく、他にも連れていけば受け入れてくれるのか?」
「鉱山は慢性的に人手不足だからね。腹は決まったみたいだね」
「「「「「はい!」」」」」
「リーグの代官には話をしておくから、今度こそ真面目に働くようにな」
「「「「「「「はい!」」」」」」」




