魔石を運んでくるお客様
昨日、今日と二回更新してみました。
魔石というのは、どうやら魔力の結晶らしい。
それまで循環していたゴブリンのわずかな魔力が、胸の辺りに集まってきたのがわかる。
生きている魔力がぼんやりと煙のように見えるのに対し、今は胸の辺りで鈍く光っている。
僕はゴブリンの胸に剣を突き刺し、そこから腹部に向かって切り開き、ちょうど肋骨の下、鳩尾の辺りに鈍く光っている魔石を取り出した。
「肋骨が邪魔にならない場所で良かったよ」
源太も柑奈も僕の真似をするように、魔石を取り出しに掛かった。
「魔物の死体を切り開くなんてとても無理だと思ったけど、ちょっと大きな魚を三枚におろしてると思えば、できなくは無いね」
ゴブリンの解体ショー。
こっちの世界で受けるだろうか?
受けないよな、うん。
手こずることなく、8個の魔石を回収できたが、これを剣でやるのはちょっと面倒だな。
「魔石を取り出すのは、もう少し小さな刃物のほうがやり易そうだな」
源太も同じことを思ったらしい。
「意外と包丁みたいなものが役立つかもね」
実際にやってみないとわからないことってあるよなあ。
今回、三人とも肩から掛けるような鞄を持ってきてはいるが、正直動きにくい。
「鞄も改善の余地ありだな。背負ったほうが動きやすいだろう」
今、たった一度戦闘しただけだが、よくわかった。
動きにくいのは大きなデメリットになりうる。
姉ちゃんと殿下が鎧は要らないと言った意味もよくわかる。
ただ、まだ動きに余裕があるうちに鎧に慣れることもこれからの方針としてはアリかなとも思う。
ま、反省会は後回しで。
だって、またゴブリンの群れが見えているんだもの。
「柑奈さん、源太くん、魔石を持ったお客様がいらっしゃいましたよ」
「もう、魔術とか無しで」
「早い者勝ちな!」
早い者勝ちなら、AGIに勝る柑奈さんの勝ちだと思うけど……。
僕たちは再び、ゴブリンを蹂躙した。
今度は10匹だったが、柑奈が4匹、僕と源太は3匹ずつだった。
ゴブリンと戦うよりも、どう考えても魔石回収のほうが手間がかかるよな……。
この辺でゴブリンは一旦中断で、薬草採取に向かってもいいんじゃないかな。
依頼の期限は一週間らしいけど、早ければまた別の依頼を受けられるし。
たかがフリーランクの依頼で手間取っている印象を持たれたくは無いんだ。
「ゴブリン、もういいよな?」
「……正直、こうもアッサリだと喜びもないよね」
マズいな。
柑奈さんの気持ちもわかるんだが、その考え方はマズいんだ。
今、僕たちは柔道の勝ち抜き戦をしてるわけじゃないんだから。
……反省会の材料が増えてしまったではないか。




