口は災いの元
本日は二回投稿です。
19時にもう一度です。
掲示板にあった依頼の中で、ランク制限の無い依頼はそれほど多くなかった。
1つは常時依頼の「ゴブリン駆除」、1つは「薬草採取」、1つは「クレイジーラットの討伐」
クレイジーラットって何だろう。
ラットっていうくらいだからネズミの一種かな。
それに「駆除」と「討伐」の差はなんだろう。
「とりあえずどれ受けても大海たちなら大丈夫だけど、討伐は面倒だよ」
「討伐と駆除って違うの?」
「明確に目的地があって、対象がはっきりしてるものが討伐だね」
駆除というのはギルドが依頼主体で、繁殖力の旺盛なゴブリンやオークを間引く目的で出される依頼で、単純に駆除した頭数によって報酬とポイントが計算されるとのことだ。
一方、討伐というのはギルドに対して第三者からの依頼があり、依頼主のために特定の魔物を倒すことをいうのだ。
現場がどこかにもよるが、ある程度の移動は考えておかないといけない。
「クレイジーラットって?」
「一言で言うと、大き過ぎるネズミだね。向こうの生き物に例えるとゴールデンレトリバーの成犬より小さいくらい」
……のネズミか。
「スピードとパワーは?」
「スピードはあるよ。パワーはないけど。とは言ってもただ突進してくるだけだから、大海たちが苦労するほどじゃない」
よし。
別にどれでもいいや。
とりあえずどれを受けても死なないだろう。
あとは報酬のことだが、それは今は気にしないでおこう。
受けられる依頼が限られている中で、気にすべきはそこじゃない。
支出を抑えて依頼をこなせばいいだけだ。
とりあえず時間の掛かりそうなクレイジーラットは今は置いておこう。
「薬草採取とゴブリンを両方やってみようか」
「ま、私もそれが正解だと思うよ」
常時依頼のゴブリン駆除の紙は剥がしたらダメらしいので、薬草採取の紙だけ掲示板から剥がして受付に持っていく。
「これと、あとゴブリン駆除を受けます」
先程僕たちの登録をしてくれたお姉様だ。
「ちなみに、お美しいお姉様のお名前を教えてくださいませんか?」
いいかい?
歳上の女性には全力で気を使わなきゃいけないんだぜ。
これからずっと仕事の度に関わるのだから、尚更だ。
「大海、普通に気持ち悪いよ」
柑奈さん酷いよ。
「行き遅れに浮ついた言葉をかけることの危険性は知っておいた方がいいかもね」
姉ちゃん、それは……。
「……行き遅れに行き遅れと言ってしまう危険性は知らないんですかね、ミナミ様は」
ほら。
知らんぞ、僕は。
姉ちゃん、珍しく小さくなってる。
「タイカイくん、ごめんね。せっかく気を使ってくれたのに。わたしはパメラよ。一応ここの受付では一番の古株だから、頼ってくれていいわ。……誰かさんの言うように、行き遅れですからね」
「……姉ちゃん。パメラさんに全力で奢ってあげないと収まらないぞ」
それはともかく。
「で、薬草なんですが、どんなものをどんな状態で採取してくればよいのですか?」
「今回はね、カラミズ草というポーションの材料ね。根は要らないから、土の上に出ている部分をそのまま切ってくれて構わないよ。ただ、根が使えない部分というわけじゃないから、この依頼とは別に買取も可能だよ」
「実物の見本はありますか?」
「これだね」
指差した先の植木鉢に草がいくつか生えていた。
なるほど、見本を生きた形で植えてあるわけね。
萎れていたら見本としては成立しないもんな。
鑑定してみるとたしかにカラミズ草だ。
ポーションの材料というのも確からしい。
「ゴブリンの方の注意点は?」
「証明部位は特に無いね。魔石の買取価格に駆除報酬を上乗せするシステムだから」
「ある意味、魔石が証明部位みたいなものなんだね」
パメラさんは黙って頷いた。
よし。
これで聞くべきことは聞いた。
「じゃ、私はクランハウスに戻ってるから」
うん。
僕らの初仕事、行ってきますか。




