可愛いより面白い優先
「ただ、今となってはむしろこのクランでというよりはタイカイ君たちと一緒に冒険者をやるのはむしろ賛成だよ」
おや、どういうことだ?
「三人にとっても助かる話だろうし、ベティにとっても身元のはっきりした仲間と冒険者をやれるなら安心だしね」
まあ、身元ははっきりしてるわな。
「ベティも魔術に関してはそこそこの自信があるようだからこそ、タイカイ君を見てどう思うか楽しみだったりするんだ」
あ、妹可愛いより、面白いが勝っちゃうのね。
頭が良い人って、たまに何より「面白い」が優先しちゃうよね。
「ただ、一応王族だからね。今からすぐってわけにはいかないよ。一応、話は通しておくから今日のところは君たちだけで行ってきなよ」
うん。
フットワーク軽過ぎる王族はあなただけだとわかっています。
さて。
装備は用意済みとのことだが、防具は無し。
革の鎧くらいはあってもいいけど、体力のないうちは機動力重視と姉ちゃんが断言した。
いや、体力の無いうちほど防御力重視じゃないのか?
だがこれにはアントニオ殿下も賛成のようだ。
「君たちならそこらの魔物相手に防具は要らないよ。下手に鎧なんか着たら行動範囲も狭まってしまうよ」
用意された武器は、普通の剣。
柑奈の分だけ若干細身ではあるようだが。
さあ。
いよいよ冒険者としての第一歩を踏み出そうじゃないか。
◇
王都の外れ、西の門の近くに冒険者ギルドはある。
多くの場合、冒険者達は西の門を使って外に出ていくため、この立地は都合が良い。
近くには、宿屋、酒場、武器屋、雑貨屋など冒険者目当ての店が集まっていて、この付近一帯は少しガラの悪い冒険者たちがウロウロしている。
ただ、そのガラの悪そうな連中も僕らを見てサッと道を開けてくれる。
慌てて目を逸らす者。
軽く一礼をして端に寄る者。
恐怖か、尊敬か、恐らくはその両方だろうが。
これでは、定番のイベントが起きそうもないな。
あの「ガラの悪い冒険者に絡まれる」という。
このイベントに備え、急遽対人専用の行動を阻害する魔術を考えて来たんだけどな。
え、どんな魔術かって?
魔力をロープ状に伸ばして、相手の脚に引っ掛けるだけだよ。
魔力を流す。
そして、映像としてイメージ。
これで魔術は作れるんだから、簡単なものさ。
僕のデビュー作となったこの魔術は「カウボーイ」と名付けたんだ。
これは無属性魔術みたいだね。
だから無属性魔術Lv1になったよ。




