初めての魔術
これ、「残酷な表現あり」になってますよね。
いずれ一度だけ、残酷な表現をする予定なんです。
今後も基本は主人公が理屈っぽい異世界ものです。
魔力を循環させることを意識しだしてから、気づいたことがいくつかある。
まず、魔力を循環させるのは魔術を使えるように魔力を準備する意味合いがあるのだろうということだ。
別の言い方をするなら魔力を活性化させるとでも言ったらいいか。
魔術というのは、恐らくは魔力を外に発する術であろう。
とするなら、止まっている状況から発するより、ある程度動いている状況から発した方がロスは少ないのではないか。
カーレースなんかで行われるローリングスタートをイメージしたらわかりやすいだろう。
他にも気づいたことはあるが、今はファイアーボールを打つことに集中しようか。
殿下はゆっくりと魔力を循環させてから、ほんの少しだけ加速させ体内を二周させた。
その後で魔力を螺旋状に回転させながら左腕に通して、そのまま発射させた。
魔力を螺旋状に回転させることだけ、ちょっと神経を使いそうだ。
あとは自分の左手の先から拳より少し大きな火の球が出るイメージ。
僕はゆっくりと循環させていた魔力をほんの少しだけ加速させ、左腕を前に突き出した。
左腕の先まで螺旋状に魔力を伸ばしていく。
この間ずっとさっきのアントニオ殿下のファイアーボールをイメージしていた。
魔力は指先に集まり、少しだけ指先が熱く感じた。
いけ!
心の中で念じた。
すると、僕の左腕からはアントニオ殿下のファイアーボールと全く同じファイアーボールが放たれた。
出来てしまった。
いきなりファイアーボールが撃ててしまった。
「とんでもないな、タイカイ君は。正直、いきなりこんなこと見せられるとは思わなかったよ……」
「やっぱり、これって凄いことなんですかね」
「ああ、凄いね。少なくとも、この時点で君はこの国の大半の魔術師を追い抜いているよ」
アントニオ殿下が呆然としているが、ふと振り向くと柑奈と源太はどこかイライラしているように見える。
「あの、私たち置いてきぼりなんですけど……」
そりゃそうだ。
魔力を循環させるとか、そもそも魔力を感じたことが無いだろうからピンと来ないだろうし。
「俺たちが、その魔力を循環させるというのを覚えることは出来ないのですか?」
アントニオ殿下はしばらく考え込んだ。
「タイカイ君は自力で覚えてしまったから、こちらが忘れろとは言えないけど、一応はこれ王家の秘密の一つなんだよ」
「そうですか……」
「ただ、もうそう言っていられる時代じゃないかもな。父上と兄上と一度しっかり相談してみるよ」
柑奈と源太は頷いた。
「じゃ柑奈ちゃんと源太は魔法陣でファイアーボール覚えよっか」
姉ちゃん、ナイスフォローです。
「今すぐ出来るんですか?」
「魔術使いたがると思って3枚用意しておいたのよ。誰かさんのお出来が素晴らしくいらっしゃるせいで1枚無駄になったけどね」
姉ちゃんごめん。
天才みたいでゴメンな。




