彼女はクロコダイル。
やばい。
話が前に進まないよ。
「さて、ミナミは今後彼らをどうする気だ?」
僕達は全員王城内の一室に移動していた。
「三人とも学校がありますしね。どちらにせよ一度は帰す必要がありますね」
そもそも源太の両親はこっちのことを知らないわけだから、源太は絶対帰らないといけない。
ただ、僕と柑奈に関してはどうなんだろう。
家族は普通にこっちでも過ごしてるわけだからね。
学校は勿論あるんだが、正直卒業も間近なわけだし、なんならもう行かなくても良いんじゃないか?
いつでも帰れると知ってしまうと、正直今帰る必要を感じないんだよね。
ただ、姉ちゃんは一度帰すと言っている。
これに逆らうことほど愚かなことはない。
「源太の両親も一度こちらに呼びたいと思ってます」
源太の両親は、常々いつかは田舎に土地を買って農業をしたいと言っている。そのためにお金を貯めて、源太が卒業してから本格的に候補地を考えていこうとしているらしい。
「もし三人がこっちで生活するのなら、ミナミは勿論我々もある程度は頼って良いからな」
第一王子様、お優しい。
ロイド様だったか?
「勿体無いお言葉、ありがとうございます」
「元はと言えば、こちらの世界の無法者が呼び出したのが悪いのだ。それに、異世界の方々が優秀で我が国に益をもたらすことは、ナミナミ家の四人が既に証明しておるからな」
陛下も大変ありがたいお言葉。
四人?
「四人?ですか?」
「四人共、いわゆる冒険者という形でこの世界に貢献してくれている。冒険者はランク付けされていて、その実績、実力に応じて上からS、A、B、C、D、E、F、Gの8段階に分かれている」
ふむ、理解しやすい制度ではある。
「現在我が国を拠点とする冒険者でSランクは5人だけだが、うちナミナミ家が二人だ」
「父さんと姉ちゃん?」
「ソウジ殿はAだな。ミサト殿もそうだ」
「え、じゃ誰が?」
「ミヤコ殿だ。我が国史上初めての70代でのSランク冒険者だ」
ばぁちゃん。
あんた、高齢者用の高級マンションに入ったんじゃなかったのかよ……。
「ミヤコ殿は、恐ろしく人気のある冒険者だぞ。だいたい、普通は40そこそこで冒険者は引退だ。そういう意味では君の両親も凄いんだが、ミヤコ殿は何と言っても圧巻の70代だからな。それでいて、オークなら一撃で撲殺するんだから」
ああ、そうだった。
ばぁちゃん女子プロレスのレジェンドだったんだよな。
伝説のヒール、クロコダイル本郷。
ド派手なメイクと容赦無い凶器攻撃が目立つが、リングの上では技も多彩で圧倒的に君臨していた、昭和の時代の女王だ。
「美弥子ばぁちゃんまでこっちで活動してたんだ……」
柑奈もさすがに驚いている。
「もう三年くらい、ずっとこっちに住んでるよ。ちなみに、ばぁちゃん彼氏ができたぞ」
いいよ、それは。
ばぁちゃんの恋の話なんて、どう聞けばいいんだよ。
「って具合でな、三人とも優秀であろうとは思えるし、こっちで力を存分に振るってくれたら嬉しいもんだ」




